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デザイナー就活生に伝えたい、ポートフォリオ選考の裏側。「LIFULL DESIGNの視点」イベントレポート【中編】

こんにちは、新卒デザイナー採用担当の中村です。

先日開催した、ポートフォリオ選考をテーマとしたトークセッション「LIFULL DESIGNの視点」。この記事は、そのイベントレポートの【中編】です。【前編】の続きとなりますので、まだお読みになっていない方は是非ご覧ください。

イベントの概要

イベントは大きく4部構成となっており、下記のような流れで進みました。本記事では、主に第3部「若手社員のポートフォリオ紹介」についてレポートします。

「URITA RIKI DESIGN WORKS」

21卒でLIFULLに新卒入社した瓜田さん。学生時代に制作したポートフォリオの工夫と、収録されている1作品について話しました。

ポートフォリオについて

瓜田:ポートフォリオを制作するときにまず意識したことは、「自分はどんな人物だと思われたいか?」ということです。だから、いきなりAdobe Illustratorで作業を始めるのではなく、自分のデザインに対する姿勢を見つめなおすことから始めました。

自分の場合は、特定領域のデザインに特化しているわけではなかったため、”思考の深さ”と”表現のバリエーション”を強みとして伝えていきたいと思いました。そしてどの制作においても大事にしているモノづくりの軸として、「新しい見方で「心地よい驚き」を与える体験を作る」と一言にまとめました。

言語化したものを1つのスライドにまとめ、ポートフォリオの冒頭に入れました。これによって、選考官にどんな目線で見てほしいかを明示できたし、ポートフォリオの全体構成の骨格ができたと思います。

瓜田:また、ポートフォリオ選考官はたくさんの学生のポートフォリオを見ているので、差別化をして印象に残したいと考えました。そこで工夫したのが、作品の見せ方です。

作品を単純に並べて見せるのではなく、作品の前に「問い」を投げかける形にしました。引っかかりを作り、読み進めたくなるような構成を意識しました。

「URITA RIKI DESIGN WORKS」各作品の1スライド目を抜粋

作品「POPPED CORN」について

瓜田:代表作として「POPPED CORN」という作品を紹介します。この作品は、ストローから息を吹くと、ポップコーンが次々と弾けていく体験作品です。「映像の時間を操作する機構をデザインする」というテーマの授業課題で制作した作品です。

瓜田:先ほどお伝えした通り、ポートフォリオでは自分の”思考の深さ”を伝えたいと考えていました。そのため、どのような授業課題が与えられ、どのようなプロセスを経て作品に至ったのか、一連の思考プロセスを明記しました。考えるにあたり、リサーチを頑張ったこともアピールしたいと思い記載しています。

瓜田:この作品は、人間の知覚を基盤とした表現を研究開発した作品なので、何かの課題解決に直結するものではありません。そこで、新しい体験の開発にどのような展開力・将来性があるかという点にも触れることで、制作の意義についてもアピールしました。

アートディレクターによる講評

2年ぶりのポートフォリオプレゼンテーションが終わり、ホッとした様子の瓜田さん。その後、当時のポートフォリオ選考官であり、現在は瓜田さんの上司である、アートディレクターの三宅さんから講評を貰いました。

三宅:ポートフォリオ全体の感想としては、瓜田くんという人物像(自身の強みや制作の基本スタンス)が端的に伝わる構成になっていると思います。作品ごとに問いを立てることで読み手の興味を掻き立て、内容を見ていくと納得感が得られる、うまい編集が出来ていると思います。それを狙ってこの構成にしているという点も、意図通りのアウトプットができていて素晴らしいですね。

中村:瓜田さんの作品「POPPED CORN」は、選考官である三宅さんの目にどのように映りましたか?

三宅:イベント前半でお伝えした通り、作品をチェックする際は、LIFULLデザイン部の戦略である「Think, Make & Do.」に則り、発想力・表現力・実行力の3つのポイントでスキルを確認しています。

三宅:まず「発想力」についてですが、この作品はアイデアの視点が面白いですよね。「映像の時間を操作する機構をデザインする」という授業課題に対してリサーチを行い、気づきとしてインターフェースとして「息」をピックアップする着眼点が良いと思います。息で映像を操作するという作品は今までに見たことが無く、ユニークさを感じます。

続いて「表現力」についてです。この作品では、息をインターフェースにするために光センサーを応用しており、つくりたい体験を実現するための工夫ができていると感じました。また、インスタレーション作品なのでなかなかポートフォリオで伝えづらいと思うのですが、短い映像で端的に伝えられているのも好印象でした。

「実行力」については、先ほど瓜田くんのプレゼンにもあった通り、作品の展開力・将来性まで触れられており、作った先まで考えているところが良かったです。今思うと、こういうところにも、瓜田さんらしい細かさが出てますよね(笑)

登壇者によるトークセッション

講評後は、登壇者全員(アートディレクター×若手デザイナー×デザイナー採用担当)でのトークセッションに移りました。

【登壇者】
左上:中村(デザイナー採用担当)、右上:瓜田(デザイナー/21卒)
左下:三宅(シニアアートディレクター)、右下:伊藤(デザイナー/22卒)

中村:瓜田さん、講評聞いていかがですか?

瓜田:いやー、褒められるとにやけてしまいますね(笑)ありがとうございます。実は、ポートフォリオに思考プロセスをこんなにたくさん書いていいのか迷いました。深く考えたことは事実だけど、ポートフォリオにすべてを書くと読みづらくなってしまうのではないかと不安がありましたが、伝えきって良かったなと思いました。

伊藤:三宅さんの講評にあった通り、私も「瓜田さんの人柄がよく伝わるポートフォリオだなあ」というのが最初の感想です。私とはアウトプットの仕方こそ違いますが、「自分をどう見せるか、コンセプトの筋を通すか」という点では、似たようなことを考えながら制作していたんだなと感じました。

ポートフォリオに収録する作品がその会社の事業に近いか、例えば「IT系事業会社にはUIの作品を押し出さないと」といったことを気にする方は多いと思いますが、自分自身のデザインへの姿勢や考え方を伝えることの方がもっと大事な気がしますね。

瓜田:そうですよね。自分の作品は、LIFULLのような社会課題解決型でもないし、Webデザイン中心でもないので、不安がありました。それでも、自分のモノづくりへの姿勢を評価してもらえたのは良かったです。

中村:デザイナー採用人事として学生さんと多く話しますが、瓜田さんと同じ不安を感じている方は少なくない印象です。実際、社会課題解決型の作品がなくても問題ないのでしょうか?

三宅:問題ないですよ。制作のスタートは様々で良いと思いますが、大切なのは、作品の目的が明確であり、目的とアイデアが合致していることです。課題解決型の作品でなくても、つくりたい世界観をつくるためのプロセスや、作品の目的を達成させるためにどのように質を上げているかが大事です。

中村:ということなので、”現時点で”課題解決型の作品がなくても、安心して積極的にポートフォリオを提出してくださいね。
一方で、LIFULLは社会課題解決に本気の企業です。”今後も”課題解決のためのデザインに興味を持てない方は、フィットしない可能性があります。この辺りは、面接や面談の場などでお話しましょう。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
本記事では、若手デザイナー瓜田さんのポートフォリオの紹介パートをごレポートしました。言葉で説明するだけでなく具体的な事例を見ることによって、選考のポイントの理解が深まり、皆さんの制作ブラッシュアップにも繋がる内容になっていると嬉しいです。

【後編】では、同じく若手デザイナーの伊藤さんのポートフォリオ紹介パートをレポートします。LIFULLデザイナーとして共通する部分がありつつも、それぞれ異なるデザインに取り組んできている点にも注目してみてください。

関連記事 ※本記事は【中編】です
イベントレポート【前編】
イベントレポート【後編】

関連情報
LIFULL 採用サイト
LIFULL DESIGN(ポートフォリオサイト)
CCO(Chief Creative Officer)インタビュー


人事本部 新卒採用グループ
デザイナー採用責任者
中村 美咲(Twitter:@misakinkmr)

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