見出し画像

うまいウニは実在する

ウニがうまいと初めて思ったのは27歳の時です。それまでウニは美味しくないと思っていました。美味しいウニを見つけてからは、粘り強い性格になれたと思います。そんな話です。


小学生の頃に食べたウニ

私は寿司が好きでした。特にエビとサーモンが好物で、回転寿司に行けばエビとサーモンだけで10皿は食べます。それで満足だったのですが、ある時ウニが気になりました。

小学生の頃のウニの認識は、美味しい食材としてテレビで取り上げられているイメージです。
ですが、リポーターの方は食べても美味しいとしか表現せず、食感や味などが謎に包まれています。

そんな不思議な食材に興味が湧き、食べてみたくなりました。しかし、いざ食べたウニ寿司は全く美味しくありません。
リポーターの人が感想を誤魔化すのは美味しくないからなんだな、そう納得しながらウニはもう食べることはないだろうと思いました。

18歳でリベンジしたウニ

私は高校ではなく高専に通ったので、バイトがOKでした。18歳になれば車の免許も取れますし、在学中から自分のやりたいことは大体できるようになります。

バイトして貯まったお金をみて、急にウニにリベンジしたくなりました。ウニの美味しさがわからなかったのは私が小学生だったから。そう思いながら改めて回転寿司へ向かいます。
結局、ウニは美味しくありませんでした。

私は回転寿司で食べるから美味しくないのだろうと考えました。マグロだってそう、質のいいものを食べなければきっと正しく評価できない。
そう考えて、いつかうまいウニを食べに行こうと誓ったのでした。

初ボーナスでウニ

社会人になります。人生初のボーナスを頂いた時に、急にウニのことを思い出します。
就職して関西に引っ越したし、大阪は店の質が良い。今度こそ美味しいウニが食べられる、急にそんな気がしてきました。

ボーナスでウニを食べようと決意してからは、すぐにATMでお金を下ろし、大阪へ向かい、見た目がオシャレな店を探し、メニューにウニと書いてあるか確認して店に入りました。
ウニを注文して出てくるまでドキドキが止まりませんでしたが、値段もそれなりだったことがより期待を膨らませます。
ところが、食べたウニは美味しくありませんでした。

私の口にウニは合わない。
そう結論付けて、美味しいウニを追い求めることを辞めました。

わざわざ九州まで食べに行ったウニ

そんなこんなで25,6歳のころ、同期の友達と飲んでいたところでウニがうまいかどうか議論をします。仲のよかった同期の2人は、こう言います。

ウニは絶対に美味い
美味しいウニを食べたことがないだけだよ

そうです、美味しいウニ食べたことないです。
だったら美味いウニを食べようじゃないかと、同期達と九州へ旅行することにしました。一応、旅行は遊びがメインですが、私は美味いウニが食べられることの方が楽しみでした。

九州旅行をほどほど堪能しつつ、福岡で夕食を食べる準備をします。ウニを食べるなら店が大事です。どこからどう見ても絶対に料理が美味しいと思わせる、小洒落た店が地下にありました。このあたりはもう酔っていたので場所は覚えていません。

予想通り、料理はどれもハイレベルで美味しものでした。注文したウニも板に乗っています。
初めて見る板に乗ったウニを見てこれは絶対に美味い、そう確信します。

しかし、ウニは美味しくありませんでした。

友達は美味い美味いと言ってウニを食べています。私はやはりウニが味覚に合わないんだと自分を慰め、ノスタルジーを感じながら九州旅行を終えました。

リンクス梅田のウニ

2019年、大阪に商業施設リンクス梅田がオープンします。せっかくなのでオープン早々に妻とお出かけしてみました。
初めて行ったリンクス梅田はどうもセミオープンだったようで、店の半分以上は閉まっていました。
あまりショッピングが出来なかったので、せめて美味しいものを食べて帰ろうと提案します。
地下のフードコートには寿司屋がありました。

"函館 立喰い寿司 函太郎"という店です。

美味いものといえば寿司だと、強引にノータイムで入店します。入ってみて気づきますがこの店、どれも結構なお値段なんですね。
そんな中で、ひときわ高額なのがウニ。
1貫700円くらいします。1皿じゃないのかよと心の中でツッコミました。
ここで、私の中の悪魔と天使が戦い始めます。

ウニはやめとけ。
どうせ美味しくない。
高いだけ。
ウニには何度も裏切られました。
私の味覚はウニとあってない。

私の中の天使と悪魔が葛藤しているような気がしましたが、良く考えるとウニ全否定でした。
そもそもウニよりホタテやコハダが食べたい気持ちでいっぱいです。
しかし、妻を見ると値段を見て怯んでいました。
ノータイムで入ったことがよくなかったようです。
せっかく美味しいものを食べようと約束したのに、遠慮して食べれば後味も良くない。

そう考えた私は、別格で値段の高いウニを注文し、妻にもウニを勧めました。
最初は遠慮していた妻も一度ウニを注文すると、今日はせっかくだから値段は気にせず食べようという気持ちになってくれたようにも見えました。

かくして、またウニへリベンジすることになりましたが、私はもう期待していません。
出てきたウニ寿司を見ても、今まで食べてきたウニと見た目は大して変わりません。

ですが、ここのウニは美味すぎました。
私は感動し、妻も上機嫌です。

美味いウニは実在する。
そして、食べた感想は"美味い"しか出てこない。

私の感想がこれです。

小学生の頃にテレビで見たリポーターが
"言った通りでしょ?"と笑っている気がします。

それ以降、たびたびここでウニを食べています。
子供達にもいつかここのウニを食べさせてあげたいな、などと幸せな妄想をしながら食べるウニは最高です。


安西先生が諦めたらそこで試合終了だよと言っていました、たしかにその通りです。
何かを追い求めるときは決して諦めずに続けることがいかに重要か、私はウニに教わりました。

もし、このnoteを見た方でリンクス梅田が近い方は食べに行ってみて下さい笑
美味しいウニは人生を変えます、オススメします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?