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父が一度も言わなかったこと。言葉にならない「願い」が人を育てる

何度も書いていますが、私の父はいわゆるDV夫でした。
ですので、毎日あれやこれや「怒る」ネタを拾ってきては、怒鳴っていました。
今考えると、怒りに触れるアンテナが敏感なの人だったのでしょう。

そんな父ですが、一度も私たち子どもに向かって怒らなかったこと、言わなかったことがあります。

今日は、「言わない」ことのパワーと紐づけて、部下や子どもへの指示や注意の仕方についてお伝えします。

父が言わなかったことは


「勉強しろ」


です。

母も同じでした。ですので、私や妹は、一度も父母から

「勉強しろ」
「成績をあげろ」
「良い学校へ行け」

などを言われたことはありません。

逆に、
「もういい加減勉強せずに、寝ろ。電気代がもったいない。」


と叱られたことは、何度もあります(苦笑)。

そういうと、よく言われるのが

「そんなこと言わなくても、あなたも妹も優秀だったからじゃないの」

確かに、勉強ができないという面で、父母を困らせたことはなかったなあと思います。

しかし、その一方で

「そんな遠くの大学なんて、いかなくてもいいだろ!」

と、一回まわって世間とは反対のこと言う父母を相手に、議論(喧嘩)することがありました。


発端は妹です。

妹は、非常に優秀な子でした。いや、変わった子でした。

妹が小学2、3年の時に
「ニュートンが読みたい」
と言い出して(学研が出している科学雑誌です)父母が猛反対しました。

「そんな本を、あんたが読めるハズないでしょ。お金の無駄だよ」

しかし、絶対に読むからと押し切って購読!

毎月毎月、部屋の片隅で食らいつくように読んでいた妹を思い出します。

私はもっぱら「りぼん」「花とゆめ」なんていう漫画大好きでした。

妹が、「マヤ文明の秘密」とか「ブラックホールの仕組み」とか、全然私には興味のない内容を読破しているのを見て

「やばいな、こいつ」


と思いながら、ハス目で見ていました。

父親も自分がノータッチの分野に、妹が関心を持つことが不思議みたいで

「お前は、将来学者にでもなれ!」

と冗談めかしていっていたら、妹は本当に学者になってしまいました。


私も、妹も父が嫌いでした。恐れていました。

ですので、その父から「勉強しろ」と言われたら、きっとその言葉に背いたでしょう。

父の世界観に染まっていない世界で生きたかった。

それは、勝ち負けとか(パチンコで勝負している人でしたので)、出世するしないとか(これも会社での勝負でしょうが)、金を儲ける儲けないとか、中日ドラゴンズがどうとか、父が関心をもたない世界に逃げたかったのだと思います。

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それが、勉強とか、音楽とか、そういう世界でした。

世界を創るのは、言葉です。
父の言葉がおよばない、息苦しさを感じない場所に、逃げたのかもしれません。

しかしながらも、結果的には、父と母の願いをかなえるべく私も妹も生きてしまった。

父自身の潜在的な願いは、有名大学を出て出世すること。

それは、妹が体現しています。

母の願いである、「優しい人と結婚して、家をもって、子どもと穏やかに暮らす」は、そういえば私が体現しています。


言わないけど、

心の奥の純粋な「願い」を子どもは敏感に感じ取っている。

しかし、それを口に出されると逃げたくなるんですね。

無言で、「言わずともわかるだろ~~」的な圧かけられると、またちょっと違いますが。

上司も親も、短期的に叶えるべきこと、実現すべきことはあります。

それを指導することは、必要不可欠です。

しかし、潜在的な「願い」は何なのか?
その願いは、自分の願いなのか、相手を思った願いなのか。


そういうところを、ちゃんと区別しておくことが大事です。

そして、そこからズレずに、相手が本当に困った時の助言と暖かな見守りさえあれば、大丈夫。

部下や子どもは自分の目標や夢をもち、それは表面的には親や上司の期待からズレたように見せても、いつか寄り添って叶えていきます。


でも、言いたくなるのが親や上司のサガ。

その葛藤を乗り越えるのが、親や上司の役目なのかもしれません。




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