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2021年7月個人と組織の発達に関する本を読みました〜読書記録シリーズ〜

はじめに

2020年の12月以来お休みしていた読書記録を復活させようという試みの第一弾。7月編です。先月読み切れた本は13冊でした。
 
それでは紹介していきます。

ティール的経営編

指示ゼロ経営 リーダーが「何もしない」とうまくいく
評価:オススメ度☆☆☆
   読みやすさ☆☆☆
概要:ティール組織が出版されるよりもかなり前の1999年から参加型経営を実践し始めて、その後の紆余曲折を経て2010年に本格的に機能し始めたという著者の取り組みから導き出された型やステップについて具体的な事例と共に紹介されています
感想:最近、本を読むとそれがどのくらいの実践から生み出されたのか分かるようになってきた気がしています。その意味で、この本は著者の膨大なチャレンジから生み出された本だと感じるくらい濃い内容が書かれていました。特に印象的だったのは、ミーティングの質を高めていくこと、チームビルディングに関する取り組みです。ティール組織化に限らず、組織変革には関係性づくりは欠かせません。ティール的な経営を念頭に置いた上で、この関係性づくり・質の向上をどのように進めていけばいいのかというテーマについて書いてあるのはこの本ぐらいではないでしょうか。しかも、そのプロセスもステップバイステップで整理されているので、本気で実践したい人にとっては必見の内容と言えます。純粋に著者へのリスペクトが湧く書籍でした。
会社にお金を残さない! ~「ノルマなし!管理職なし!給料全公開!」の非常識な経営術~
評価:オススメ度☆☆☆
   読みやすさ☆☆☆
概要:1986年の創業以来、さまざまなチャレンジの結果、昨今話題の「ティール組織」で書かれているような特徴を持つ経営を実践され続けている広島県のメガネチェーン店、メガネ21社の創業者による解説本
感想:ティール組織に書かれている内容は、結果として見られる特徴だと言われていますが、この経営スタイルにまつわる情報は思想・原理・理論・方法/プロセス・結果/特徴という5つに整理することができると思っています。この本はメガネ21社のユニークな特徴だけではなく、その結果を生み出している思想や原理についても語られているため、読みやすい文量ですが経営について根本から見直すような鋭い示唆をいくつも得ることができます。現在のメガネ21社の代表は息子さんが務めていらっしゃるそうで、経営がどこまでこの書籍の内容を踏襲されているか分かりませんが、店舗型ビジネスにおけるティール的経営の1つの完成型(※ 生き物のように改善し続けるという前提)としてぜひ知っていただきたいです。

組織と感情編

とあることがきっかけで「組織と感情」について調べようと思い、関連しそうな本を購入しました。母数が4冊と少ないですが以下の3つに焦点を当てたものに区分することができました。

(1)リーダーという個人

→EQがベースにある

(2)リーダーという個人とチーム

→EQがベースにある

(3)チーム・組織の風土

ビジネスの現場でうまく活かすという目的のために必要なことが網羅的にまとまっていると思ったのは(2)の感情マネジメントがオススメです。一方で、チームにおいて個人や個人同士の関係を超えた領域での感情が与える影響について学びたい場合は(3)の2冊がオススメです
 
個人的には、(1)の書籍で紹介されていたロバート・プルチックの"感情の輪"と(2)で紹介されている"ムードメーター"が興味深かったです。

成人発達理論編

リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス
評価:オススメ度☆☆☆
   読みやすさ☆☆☆
概要:著者の経験に基づく知見を成人発達理論に当てはめ、小説化した本
感想:日本における成人発達理論の第一人者とも言える加藤洋平さんは、書籍の中で個人の発達段階を知ろうとする上では"(本人が)どんな言葉を使っているか以上に、それらの言葉をどのような意味でどういうふうに使っているのかで発達段階が明らかになっていきます。(組織も人も変わることができる! なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学より引用)"と言われています。その観点からなのか、この書籍はノウハウが載っているというよりも、主人公が具体的な状況の中でどのように出来事を捉え、どんな思考・感情の動きがあった上で行動しているのかについて具体的に書いてあるため、発達していく上での認識・判断・選択についてのイメージがしやすく、何度も読むことで普段の仕事における選択肢が増えそうだなと思いました。また、NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)という、自分の内と外に平和をつくるための体系化されたプロセスがあるのですが、このプロセスでは①観察②感情③ニーズ④リクエストというステップが提唱されているのですが、この本はビジネスシーンにおけるこの4つのステップについて具体的にイメージするのにも役立つと感じました。
人が成長するとは、どういうことか ーー発達志向型能力開発のためのインテグラル・アプローチ
評価:オススメ度☆☆
   読みやすさ☆☆
   個人的ヒット度☆☆☆☆
概要:日本におけるケン・ウィルバー研究の第一人者でる著者が"発達志向型能力開発"という、能力開発・人材開発のアプローチについてまとめあげた本
感想:個人的に大ヒット!!私は成人発達理論の道は、加藤洋平さんの書籍から始まったのですが、それらを読み進めていく中で生まれていた疑問が解消されるようなエッセンスがふんだんに書かれているのが本書でした。各発達段階についての解説も読みやすく楽しかったですし、インテグラル・アプローチという名に相応しい、日本で発売されている成人発達理論のスキマを埋めて、読者に足場を与えてくれる名著だと思いました。ただ、そもそも対人支援者向けに書かれている本のため、誰しもにオススメできるものではありません。超入門編の私のnoteを皮切りに、加藤洋平さん著の『組織も人も変わることができる! なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学』から手にとっていただくのが最適かなと思います。何度も読み返したい本です。

ビジネスパーソン向け心理学編

嫌われる勇気は発売当初に読んだ記憶がありましたが、改めて読んだ上で続編とされる幸せになる勇気を読んで思ったことは、これは2冊読まないとダメだということでした。1冊目では腑に落ちないことの理解が2冊目で補完されているように思います。(実際にあった問い合わせに答えるように書かれたのでしょうか?)また、アドラーを日本に持ち込んだとされる人など、心理療法としてのアドラーの実践家の方からは批判の声もあったようですが、実際に治療が必要なレベルの方や、従事者向けではなく、ビジネスパーソン向けに書かれていると思うとより適切に内容を受け止められるのだと思いました。特に印象的だったのは幸せになる勇気の方で書かれている"問題行動の5段階"についてでした。このあたりはティール的組織への移行プロセスにおいて起こりうることの対策のヒントがあるように感じました。ちなみに、2冊目は内容はいいんですが、青年の情緒不安定さがより増していて、その不自然さが気になってしまいました。しかし、感情的な表現で読み手の心を揺さぶり、印象に残そうとする手法なのかな?とも思い、何となく韓流ドラマを観たときに感じた「争いが多いことで感情が揺さぶられて、嫌な気持ちにはなるが刺激となるためなぜか気になる」という感覚を思い出しました。

第四の生き方―「自分」を生かすアサーティブネス
評価:オススメ度☆☆☆
   読みやすさ☆☆☆
概要:女性の著者が主に女性向けに、自己信頼を取り戻すために必要な、自分の要求をきちんと表現する「アサーティブネス」の考え方・取り組み方を架空の人物像などを用いながら解説している本
感想:NVCについて学んでいた時に、アサーティブというのがあるなと思い出し、どうせなら原典と呼ばれるようなものを読みたいと思って購入しました。NVCにも通じますが、自分も相手も対等に大切にしようとするコミュニケーションのあり方とやり方だという印象を持ちました。ビジネスシーンにおいて特に感情を扱うことは限られますし、ましてやネガティブな感情は内に押し込めるという選択が多い一方で、それらを抑圧し続けることは精神的健康のためにも良くありません。これからは今まで以上に、個人・チーム・組織の3つレイヤーにおいてネガティブな感情や個としての望みをどう扱っていけるかが大切になっていくと思っています。この本ではそれらについての理解を深め、実践するためのヒントがたくさん得られるのでオススメです。

話題書編

プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる
評価:オススメ度☆☆
   読みやすさ☆☆☆
感想:twitterでよく目にする&思うところあったので購入。もともとこの言葉を言い始めたのはけんすうさんという方で、尾原さんはそのコンセプトに合う事例をキュレーションした感じ。読んで思ったのは、エコノミーとついていますが、実際は経済資本だけではなく、人間関係資本や社会関係資本の3つの資本をプロセスと交換しているんじゃないかなと思いました。各論ではこれはプロセスエコノミーなのか?と感じるものもありましたが、こういう流れがあるとざっくり知り、より詳しく知りたい場合は、気になったテーマに入っていく、そのための目次的な本という意味で価値があると思いました。また個人的にはプロセスエコノミーの先駆者的クリエイターは高橋歩さんじゃないかなと思いました。
進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」
評価:オススメ度☆
   読みやすさ☆☆
感想:この本は一度読んで何かが分かったという類の本というよりも載っているワークを試してみることを通じて「進化思考」という本質にせまっていくものだと思いました。進化思考とは何か?というと、著者本人が書いていますが「進化思考は、生物進化のように2つの思考プロセスを繰り返すことで、本来誰のなかにも眠っている創造性を発揮する思考法だ。」
そして、その2つの思考プロセスとは
・適応の思考:適応状況を理解する生物学的なリサーチ手法
・変異の思考:偶発的なアイデアを大量に生み出す発想手法
と表現されています。
こういうことを書くと怒られそうですが、挫折しない読み方としては第1章と第2章の変異について書かれている箇所、第3章の適応について書かれている箇所、第4章、終章を繰り返し読み何となく全体像のイメージがついてから変異と適応の各論について書いてある箇所を読んでいく&ワークをして手を動かすことをオススメしたいなと思います。

さいごに

8ヶ月ぶりに書いた読書記事ですが、一度失われた習慣を取り戻すのは一苦労ですね。2021年前半も振り返ってみると21冊読んでいたのでどこかのタイミングで記事化したいところ。

もし私のスタイルをお気に召していただけたのであれば過去の読書記録もよかったらご覧くださいませ。




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