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文系社会人が「お金とは何か?」を学び始めた時の方法と参考書籍を紹介します。


はじめに

お恥ずかしい話、私は人生でお金について深く考えたことがありませんでした。株式、債券など経済用語が全然分からず、何となく苦手意識があり避けてきたのですが、とあるきっかけがあり、2018年1月にお金の成り立ちについて本格的に学び始めることにしたのです。その学びは今も続いていますが、初期に学んだ軌跡について共有したいと思います。

どのように学び始めていったか

「お金とは何か?」その学びの道の入門ガイドとして選んだ本は2冊あります。

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「お金2.0 新しい経済のルールと生き方/佐藤航陽著/NewsPicks Book/2017」

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「新しい時代のお金の教科書/山口揚平著/ちくまプリマー新書/2017」

この2冊は、お金の起源と定義・お金の変化・お金の未来といったテーマについて分かりやすく平易な言葉で書かれています。2冊目の方が軸足がさらにお金そのものに置かれているため、歴史についてより詳しく書かれており、お金そのものに興味を持ちやすくなると思います。仮想通貨だけではない、
未来のお金についても書かれているところも面白いです。そのため、私はまず初級編としてこの2冊を繰り返し読むことにしました。

実はこの繰り返し読むことは難関校に合格する受験生の勉強法を参考にしています。どんな方法かというと「完ぺきにできる教材を1冊作る」そのために、少なくとも7〜8回は反復練習をするというものです。このようにすることで自分の潜在意識が「私は、この教科はできる!」とプラスの思い込みをしてくれて、勉強がますます捗るという方法論があるのです。確かに、難しいと思いながら続けるのは苦痛ですが「面白い!」と感じれば続けることは苦痛ではなくなりますね。お金の勉強は私にとって「難しい」という印象がありました。継続するためには、そもそもこの行為を「楽しい」と思えるようになることが最優先だったので、基礎教材とは言えないが、この2冊をこの方法で読むことにしました。

その結果、単語にも慣れ、分野自体にも親しみが持てるようになり、本には書かれていないことへの疑問、好奇心も浮かんでくるようになりました。そして次は、より専門的に書いてある本を読んでみたいと思うようになりました。つまり、学ぶことが身近になり、ワクワクすることになり、「自然と」もっと学びたいという意欲が出てくるようになったのです。当初の狙いが成功したと思いました。
 
そして3冊目の選定に入ることにしました。2冊目の中で、参考書として「21世紀の貨幣論」という本が紹介されていました。早速Amazonで調べ、書評も見ていった結果、「お金の歴史」というテーマであるなら、「マネーの進化史」の方が、より客観的に分かりやすく書かれているという評価を見つけることができたので、店頭に行き、見比べた結果、ほぼ同ページ数ながら文庫化されていて価格が半分以下だった「マネーの進化史」を選ぶことにしました。

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「マネーの進化史/ニーアル・ファーガソン著/早川書房/2015」

この本は文字も小さくボリュームがある本ですが、経済ニュースに出てくる基本のキーワードや難しそうなキーワードが、もともとはどういう歴史の必然で登場したのかが書いてあります。先の2冊の内容では、本の厚さの関係もあって省略せざるをえない因果関係が詳しく書かれているため、物語としてお金を捉えるのにとても役立ちました。

重要なことを忘れていました。「想起」という言葉を知っていますか。これは記憶術などの文脈で使われることの多い単語なのですが、簡単に言うと「思い出す」ということです。知識を入れっぱなしにするのではなく、「想起する」時間を持つことで定着のスピードが高まります。

エビングハウスの忘却曲線で言えば、記憶の定着のためには誰かに教えたら一番いいのですが、当時の私は1人で引きこもりたかったので、本を大量に読みつつ、翌日の朝にはパソコンのワードに本の内容を思い出しながらひたすら打ち込むという方法を取ってみました。

そういったことを繰り返していく中でお金のことがどんどん分かっていきました。

お金の起源には諸説あります。一番広まっているのが物々交換説(物々交換をより便利にするため)ですが、上記で紹介した書籍の中では違う説が出てきます。それが「個人の間の賃借の記帳」説です。

「AさんがBさんに○円貸しました」という内容を粘土版や石に記録したものが残っていたそうです。

この説は短く説明するのが難しいので今回は省きますが、そこから転じて、記帳・帳簿に始まった会計の成り立ちについての歴史も学んでみたくなりました。このテーマについてこちらの本が一番オススメにされていたので購入しました。

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「帳簿の歴史/ジェイコブ・ソール著/文藝春秋/2015」

こちらは「マネーの進化史」と比べるとぐぐっと読みやすかったです。先の3冊を何度も読んだ上で臨んだので「あ、このこと知ってる!」ということで復習になったり「こういう話もあったのか!」と発見もあり、とても面白く読めました。ちなみに、世界史では会計ができていない国家がどんどん転覆しているのでとりあえず会計はやっておこう!という気分になります(笑)

また、この本を繰り返し読むことで「ブロックチェーン」が感覚的に掴めるだけではなく、なぜ画期的なのか?についても理解しやすくなると思います。なぜならば、ブロックチェーンとは、オンライン上の取引台帳システムであるため、オフライン上の取引台帳や記帳にまつわる歴史を物語的に捉えられることで、概念を理解しやすくなるためです。

この点については以下の書籍を読むことで私はイメージを掴むことができました。

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「入門ビットコインとブロックチェーン/野口悠紀雄著/PHPビジネス新書/2018」

ビットコイン、ブロックチェーン関連の本はたくさんあって正直迷いましたが著者の野口氏が先に紹介した「マネーの進化史」の解説を書かれていたことと、文量の少なさが決め手になりました。また「マネーの進化史」を読みやすく感じていた私は野口氏も似た定義の前提で話を展開しているだろうと推測したことも理由の1つです。その結果「内容が入ってくる入ってくる!」もちろんまだ腑に落ちたとは言えませんが「難しい」とは感じずにビットコイン・ブロックチェーン情報を捉えることができ、ニュースでも何を言っているのかが分かるようになりました。
 
また、これらの読書を通じてお金、金融の主流について理解を深めることができました。(今の会計・金融は、15世紀のヨーロッパで発達していき、アメリカでさらに発達したという、言ってみれば欧米が(戦争が!?)築き上げてきたもの)大切なことは、行動し、活かすことなのでまだこれからですが、そもそも分からないことが分からない状態だったため、その入り口に立つことができたのは大きいのです。

さいごに

とはいえ、1つ注意点があります。上記の学びはグローバルに影響力を発揮していたヨーロッパ、アメリカの視点で語られているものです。一方で歴史の中で支流のように扱われているアフリカ、アラブ、アジアのそれらについても知らないため、片手落ちだとも思っています。また、実は「マネーの進化史」には古代のことが最低限しか書かれていないため、古代のことも抜けていると言えます。個人的に古代は「お金とは?」を進めていく中で浮かんだ「価値とは何か?」という疑問の答えを探るヒントがあると思っているため機会を見つけて学んでいきたいと思っています。

「お金の探究」シリーズ続編はこちら。


おまけ

ちなみに最近は同じ方法で、経済とは何か?資本主義とは何か?数学とは何か?数とは何か?を学んでいますが、どんどん理解が深まり、見えなかった形式が見えるようになり楽しいです。

そのシリーズのうち「数・数学とは何か?」の探究記事はこちら。


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