2023.4月(10冊ログ)
毎月、読んだ本から「10冊」紹介しています。
1. #成熟スイッチ #林真理子さん
40年以上前に女性がバリバリ第一線で活躍してしまうなんてこと自体がレアだから出会えないような人が書いてくれるエッセイは、本当にありがたい。
ベストセラー作家時期の中で「娘ファースト」の時代もあり、超年下のママ友からパシリをさせられてたって、誰も想像していなかったはず。世の中の人はまったく本なんか読んでなくて、母親はこんなことをしないといけないのかという勉強になったとか。
人間関係の心得・世間を渡る作法・面白がって生きる・人生を俯瞰するの4章構成で害にならぬよう、「かっこいい成熟した大人になる」心得だと思った。これからの出会い、社交やお金の流儀を知っていると、まだ見ぬ不安は解消され、未来を楽しめるかもしれないとまで感じた。
2. #稼ぎ方2 .0
Web3.0ブームで知られるようになった「クリエイターエコノミー」 。これまで消費者として経済活動に参加していた人が、販売者にもなれるようになった経済圏の働きかたと稼ぎ方について。
私というより、私の子ども世代はもう確実にこっちに向かわないと危ないだろうな、と思う話。親として知っておいた方がいい、日本ならではの今の常識、変えないと危険な理由が書かれている。
すぐに小さく始める、とりあえずやってみる、インスピレーションを無視せず、なんとなくの5つくらいのアイディアを同時に動かすくらいの手広さとフットワークの軽さで、新しいプラットフォームにはとりあえず飛びついておきたいと思う。
3.#夢と金
なんとなくまんねり、ぼんやり仕事している人は読んだ方がいいでしょう。夢を実現する、という気持ちがなくても無視できないと思う。お金の価値を本当の意味で知らないのは社会人としてヤバいので。
「夢を叶えるためにはお金が必要」という印象が強いタイトルですが、そもそもお金がないことで、夢どころか、死んじゃうというシビアなことを知っておいた方が良い。事件や事故が起こったときにお金が背景にある場合がある。夢を叶えようとしている人たちを引きずり落としたくなるのも、自分のお金が原因かもしれない。夢だけを見ている人も目を覚まさなきゃいけない。いろんなひとの「夢と金」を網羅している壮大だけどシンプルでわかりやすく説明された本。
4. #機嫌のデザイン
“別に前向きではありません。ただ、機嫌がいいだけです。”本書のこの言葉が著者のシンプルで本質思考を物語っている。よくある本じゃなさそうだって思いますよね?その通り。
数々の受賞歴があるプロダクトデザイナー69歳の書。わずか2日間で7万人以上がフォローをし、その才能が見つかってしまった。そぎ落として出来上がるデザインを作るスタイルなんだろうな、と想像してしまうほど、無駄がまったくない。押しつけもない。印象としては理想の上司。そうなりたいビジネスマン必読。
5.#その働き方、あと何年できますか?
生きていけるから仕事をしてしなくてもいい、という状況だったとしても、仕事をしていなければ人としての尊厳を欠いてしまうかもしれない。
空白の時間を埋めることだけが目的の仕事をある程度「重要なタスクですよ感」は必要になる。やらなければいけない理由をつけ、大義名分を与えることが管理職の仕事としてまた増えていく。
来月もまた働きに来るために必要経費を渡す、衣食住と少しの娯楽費、これで健やかにまた来月も働きに来れる。
嫉妬の中にやりたいことがあることに気づき、人目を気にせずやってしまってみる。バカだと言われても全然いい。やらなければならない優等生をやめて、無難におさまらずとりあえずやってみて、それをやり続けるシナリオを見つけるためにその領域の情報を収集し続けよう。
6. #嫌いなら呼ぶなよ
言い方を選ばずに、ストレートに行くと。ヘイトをぶっ放すのには、「綿矢りさ」さん、手っ取り早い。企画、執筆から出版までどのくらいかかってるかわからないけど、今、今だなって思う。
今、この時代の本じゃないとこの表現には出会えないな、ってのを読んだ時は快感である。たぶんそれって言っちゃいけないワードばかりが集められていて、でも本当の奥底では言ってやりたい。だから湧き起こされてスッキリする。
7.#私、誰の人生もうらやましくないわ。
見た目の印象と楽しさもあり、読みものとしても成立するぎりぎりの文字数と、目に飛び込んで読む前に頭に残るひらがな・カタカナ・漢字のバランス。
コピーの考え方、広告の考え方、代理店とのあれこれが書かれたコラム部分も、とても身近に感じられて面白かった。
テクニック本じゃないからこそ、感じることで得るものがあって、コピー、広告、販促ツールに関わる人にはとてもおすすめ。
8.#夜に駆ける YOASOBI小説集
「小説を音楽にする」というコンセプトで活動していると知って面白いなぁと思って。原作小説を読んだクリエイターが、そこから音楽に創作していると。この本にはYOASOBIの4曲の原作小説がピックアップされていて、どれも違う作家さんが書いたものですが、ショートショートフィルムのような恋愛小説だった。
この本の最後はYOASOBIの2人のインタビュー記事。小説を読んでの感想と、そこからどう考えて何を採用して何を補填するのか、どう音楽にしていくのか、のイメージが語られていて、ここにこの音楽企画、制作の面白さが出ていた。
この本には、「夜に駆ける」の原作小説が掲載されており、この話のインスパイアからあのテンポと光のあるサウンドと柔らかい声で構成されてる音楽に昇華させるってすごいな、、という衝撃と共に、今、今??だけど、、無限リピートしております。
9.#ママはキミと一緒にオトナになる
9歳の息子と2人暮らしエッセイ。子どもが3、4、5年生になる3年間の日々が綴られている。母と息子の「会話」がリアルだし、母としての感情も赤裸々に。でもやわらかい表現に押し付けがない。
この世代のお子さんがいる方には、強烈な共感と涙活になるんではなかろうかと。
子育てって、運用なんだよね結局。日々いろんなことが起こって、都度決断しなきゃいけなくて、でも親が勝手に決めることもできないし、子どもと話し合うにしても、正解がわからないまま。あの時手を差し伸べてくれた人のことを思い出し、これからその手になれるように、私は今、母親業をやっているのかもしれない。
10. #蜂蜜と遠雷
3年ごとに開催されるピアノコンクールを舞台に音楽を描き切った青春群像小説。って、この映画見たことあったんだった。でも全然印象が違った。
音楽家をテーマにした映像は好きでよく見るんだけど、音楽が流れない小説って、なんてうつくしいんだろう・・。びっくりした。芸術に触れた感覚が残った。
「天才」と表現される特定の人は、誰かが目を付けたからに過ぎないって思ってしまう。もっと自由で良いと思うけど、やっぱり音を表現できる天命みたいなものはあるっぽい。
コンクールで勝ち抜く意義、音楽を取り戻すこと、好きを貫きたい気持ち、音を聴けばわかってしまう誰かのこと、家庭環境、劣等感、悔しさ、悲しさを無視できない日々に幻想を見るように光を見つけていくコンテスタントは、みんな凛としていた。
おわり。
今月も読んでくださってありがとうございました。来月も書きますので良かったら遊びに来てください。
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