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2023.10月(5冊ログ)

毎月、読んだ本から「5冊」紹介しています。

1. #アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か ?

人をケアする仕事は、愛とお金の二項対立のせいで、経済的に低く見られているという事実。近代看護学の創始者フローレンス・ナイチンゲールは、看護に革命を起こした。うつむきがちでおとなしく献身的な女性と描写されているが、実は手厳しい批評家であったことをご存じだろうか。常にデータを取り、統計学を武器に、経済にもの申し、看護師の待遇改善のために戦い続けた。決して天使ではなく、現実をしっかり生きていた。

この本は経済学者が女性の価値を歪め続けていた見解を紐解く。家事は無償労働とされ、家を出ればまだまだ男性社会とされる場所でどうにか価値を証明しないといけない女性たち。
ケアワーカー不足、家族やパートナーのホームケア、背負うと表現される場面で、お金を主張すべき理由とは。

結論はなく、情報を元に議論できる社会にしたいというのが目的のように思う。その時は知識の中に、経済的歴史が入っていたほうがいい。社会問題への議論は感情的になっても何も進まない。「だから女は...」とは言わせないくらいの戦闘力を身につける本。

2. #ていねいな文章大全

文書には人柄が現れてしまう。この本は、今までの文書を通じて自分がどんな印象を与えていたかをまず認識し、技術を学ぶことで文書を通じて自分をアップデートすることにつながるものだった。

文書にも空気があり、それを整えていく作業を諦めるのはもったいないことだと感じた。文章で好感度は作ることができる。文書でTPOをわきまえない人だと感じられたら、チャンスを逃してしまう。

そして、本当の気持ちがどこにあるのかもすごく大事。文章を通じてどんな行動をしてほしいのかを伝えるために、まず相手の立場で具体策を考える必要がある。配慮のある文書を書くためには、読み手の立場でどんな気持ちになるか想像できる人でなければならない。

この本を読んで、間違って使っていた言葉や言い回しも多く、調べることを怠っていたことに気づいた。厚さ 4cmにも関わらず、ほぉ、へぇ!!え!?と言いながらあっという間に読み切った。勉強が面白いと思う時の感覚がよみがえった。文書辞典として机の上に設置した。

3.#言葉ダイエット

コピーライターが実践する文章術。ついやってしまいがちな長文をダイエットさせていく視点と技術がとてもわかりやすい。

そして結局のところメールや企画書、就職活動の『文章』とは、その文章に至るまでどのくらい考えきったか?が伝わってしまう。つまり、なんとなくそれっぽく雰囲気で乗り切ろうとすると無駄が増え、わかりづらくなり、相手の読みたくない気持ちを倍増させるほど長文となってしまう。

何かを伝えるということはものすごくエネルギーが必要で、頑張って伝えようとする気持ちを、長文であることがどこか安心させてくれるのかもしれない。本当の自分の気持ちや相手の興味に向かって言葉をシンプルにしていくことは、ハードルが高い。いやしかし、スマートでストレートに伝える勇気を持って書き続けていくしか、という気持ちをチャージ。

4. #三千円の使いかた

この世に生まれてから死ぬまで、人は『経済格差』を避けて通ることはできない。生まれた家の経済力、自分で得ることのできる経済力、築いた家庭の経済力、消費人数や活動レベルに必要な経済力。横目で『よその家』を見ながら本当は何かをずっと思っているのではないだろうか。

世間話としての旅行計画1つ、子どもの進学について話すだけでも人間関係が壊れ、精神的ダメージにつながることもある。年を重ねるほど家計経済の格差は広がるのが現実だ。

どれだけのお金があれば自分は満たされるのだろうか、家族は幸せだと感じるのだろうか、どうしても身の丈以上のお金が必要な時はどうするのか、この本の中の家族の物語を通じて考えた。考えてお金を払うことの意義、そのお金と交換されたモノや時間を大切にする、生き方の話だった。

5.#帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ

レストランのシェフを経て料理家になった高山なおみさんのエッセイ集。どの短編にも料理が出てくる。

あらためて料理ってあたたかいな~と思う。料理を作ろうと思うところから、キッチンに立って調理の工程での音や湯気、食材の旨みが引き出されていく良いにおい。全部あったかい。

楽しいときも嬉しいときも、やめるときもすこやかなるときも、料理の存在ってかなりの頻度で隣り合わせな気がした。本に出てきた手の込んだ料理や、レストランシェフの経験ならではのレシピ集が本の最後にある。人生のさまざまな場面でどんな料理を考えてきたのかが伝わる本で、高山さんならではの料理家としての信念が伝わってきた。

ていねいで、細やかで、工夫を凝らした料理を作るって本当にすごい。憧れるけど、私からするとこれは芸術に等しい。そんな中でも「ヨーグルトをぶっかけたシリアル」「ぶつ切りの明太子と輪切りの入ったタッパー」というのはすんなりイメージできたし、この描写にもちゃんと料理としての愛が入ってるんだな~と思った。

おわり。
今月も読んでくださってありがとうございました。来月も書きますので良かったら遊びに来てください。

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