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管理職にこそ活きるキャリコン資格

こんなこと考えたことありませんか?

「会社に入社し頑張って働いて管理職になった。これから自分は何の努力をすればいいんだろうか?」
「人材育成と言われたって何をすれば良いんだ?」
「部下が何を考えているか分からない」
「また、若手の部下が辞めてしまった。何が悪かったんだろう」
これらは管理職の典型的な悩みです。日本中の数多くの管理職は同じような悩みを抱えています。特に最近は部下の若手社員の流出がかなり深刻化しています。

キャリアコンサルタントという国家資格を知っていますか?

唐突ですが、キャリアコンサルタントという国家資格を知っていますか?2016年の国家資格になった、比較的新しい資格です。現在全国で7万人弱の登録があり、学生の職業選択やニート対策、仕事上の悩み等の相談業務を主としているのがキャリアコンサルタントです。

なぜ管理職の悩みを語っているこの流れで、キャリアコンサルタントの話が出てくるのか?

それは、この資格を取得する際に学ぶことが、前述の悩みに対し有効だからです。

キャリアコンサルタントの学ぶこと

キャリアコンサルタントについて詳しく知りたい方は以下の記事をお読みください。
キャリアコンサルタントとは?すべてを分かりやすく説明します

キャリアコンサルタンになるためには多くの学習をしますが、その中で重要なスキルと知識が2つあります。
①「傾聴」「受容」と言った「聴けるスキル」
②「キャリアアンカー」「プランドハップンド・スタンス」といったキャリア理論

これらを身につけ、活用することで、管理職としてのマネジメント力は飛躍的に向上し、会社の業務も上手く進み始めるのです。

筆者自身は上場企業で長く管理職を務め、会社を退社後に思うところがあってキャリアコンサルタントを受験し資格を取得したのですが、学習した際に多くの後悔の念に苛まれました。それと同時の、私の管理職時代の部下に申し訳なかった、と思いました。

その時に私がこれらのスキルと知識を身につけていれば、もっと部下の話を聴き、向かい合い、部下のサポートをできたのではないか?そして、その時の想いからこの文を投じています。

聴ける技術(傾聴・受容他)とは?

まず、聴ける技術についてです。

「傾聴?相手の言っていることをしっかり聞くことだろう。そんなことは誰でもやってるよ」

私が傾聴が大事です、というとこのような反応が返ってくることが結構多いです。そもそも文字になおすと傾聴の「聴」としっかり聞くの「聞」では意味が全然違うので、そのように感じるのは本当の「聴く」ということがわかって無いからです。

傾聴を学習すると「傾聴は自分自身が相手の鏡になること」とか「傾聴は相手の心の声にまで耳を傾けること」というような説明を受けます。聴き手自身を無にして、相手になりきる、とでも言った方良いかもしれません。

キャリアコンサルティングで傾聴は重視されるのは、相談者が抱えている悩みの原因になっている相談者特有の思考の歪みを明らかにすることで、現実との差を明確にし、相談者に解決に向けた気づきを与えるのに有効だからです。

例えば、部下が持っている悩みを普通の会話だけで引き出せるでしょうか?また、普通に個人面談しているだけで部下の心に持つまだ言語化されていない悩みを理解できるでしょうか?これを行うのに傾聴のスキルが活きるのです。

受容とは?

受容とは、相談者(相手)の言葉、感情などを、自分の価値観で批判したり評価をしたりせず、そのまま、ありのまま受け止めることで、最近はコーチングの手法としてご存知の方も多いと思います。

受容が重要なのは、相手の価値観を受け入れることで、相手とラポール(相手との信頼関係)を結ぶことができ、相手のより深い部分の価値観や感覚に辿り着けるからです。

部下との個人面談のケースですと、部下が相談したり、意見を述べたりしたことを受容せず、いきなり否定してしまっては、部下としてはもっと詳しい話や自分の考えを説明したいとは思わないでしょう。これではせっかくの面談の時間が無駄になってします。

それではこんなやり方はどうでしょうか?まず、部下の話を批評せずにしっかり聴いてみましょう。それは違うな、考えが甘い等の気持ちはあると思いますが、辛抱強く聴いてみましょう。部下は否定されず、自分の話を聴いてくれることで、どんどん自分の考えや感想を述べる気になります。そうすれば、普段は気がつかない価値観やバックボーンを知ることができるようになります。

キャリア理論とは何か?

次にキャリア理論について考えてみましょう。キャリア理論には実は多くの種類があり、理論家も多くいます。キャリアコンサルタント試験の学科試験の問題に出てくる理論家だけでも50人以上になります。

ここでそれを説明することは余り意味が無いので、ここでは私が説明によく使うジョン・D・クランボルツ教授のプランドハップンドスタンス(計画的偶発性理論)を紹介します。

プランドハップンドスタンス(計画的偶発性理論)とは予期せぬ出来事がキャリアを左右するするという考え方で次のような組み立てになっています。

1.予期せぬ出来事がキャリアを左右する
2.偶然の出来事が起きたとき、行動や努力で新たなキャリアにつながる
3.何か起きるのを待つのではなく、意図的に行動することでチャンスが増える

この考え方はクランボルツ教授が、当時のビジネスパーソンとして成功した人のキャリアを調査したところ、そのターニングポイントの8割が、本人の予想しない偶然の出来事によるものだった、という結果が出たことを受けて提唱したものです。

仕事と自分の歯車がかみ合わず、仕事で悩んでいる部下に対し、「キャリア人生は予期せぬ偶然で変わっていく。今はたまたま良くない偶然で苦労しているが、必ずポジティブな偶然が来るから、今は頑張り時だ!」と言ってキャリア理論を説明したら部下はどう思うでしょうか?

キャリア理論はなぜ活きるか?

先の部下への説明で「プランドハップンドスタンス」という説明を抜きで、単純に自分の考えだけを述べたら、どんな印象になるでしょうか?単なる自分の上司からこのように言われたからと言って納得するでしょうか?それは難しいと思います。

世の中には管理職に向けた様々なハウツー本が売られています。その本に書いていることをそのままやっても結果は出ないと思います。ハウツー本の多くは「こうやれ」しか書いていません。その背景にある考え方やリサーチ結果、論文等は詳しく説明しないので、引用しても薄っぺらな意見になってしまうのです。

キャリア理論はどうでしょうか?キャリア理論は学問であり権威性があります。同じ話をするにしてもキャリア理論の説明を行い、その流れで意見を述べることは相手にとっては全然違います。上司の単なる意見ではなく、権威性のある理論に基づく意見、そしてその理論は本屋に行けば実際に紹介している本が売られています。

このようにキャリア理論を学ぶことは非常に価値があります。私が特に悔やんだのがこの部分です。間違った意見はしなかったつもりですが、バックにしっかりとした理論無しで思い付きの意見を言われても納得はできなかったんだろうな、と今では思います。

管理職がキャリアコンサルタント資格をとるメリット

「聴ける技術」と「キャリア理論」の重要性はわかった。でもそれと国家資格をとる話とは違うだろう。「聴ける技術」と「キャリア理論」を勉強するだけで事足りるだろう。

ここまで読んで頂くと、このような感想を持たれると思います。もちろん、それはそうです。

キャリアコンサルタントは「国家資格」として国がキャリア相談者としての知識、能力を認めた公知性のあるものです。会社には依存せず、国の中に立場を持つものです。キャリアに関する専門家としてキャリアコンサルタント、ここが重要なポイントになります。

部下の立場に立ってみましょう、普通の上司とキャリアの専門家としての資格を有する上司とで印象は同じでしょうか?間違いなく違うと思います。話を聴く際にキャリアの専門家という立場も考えながら向き合います。

また、社内的な人材育成や離職防止といった課題に関して意見を言う際も、専門家としての知見を元にして行えます。別に人事系に所属していなくても立場上の発言を行うことはできます。それは公的立場があるからです。

キャリアコンサルタントになるには?

国家資格キャリアコンサルタントになるためには「キャリアコンサルタント試験」を受験し合格することが必要です。一般には厚生労働省が認定する「キャリアコンサルタント養成講座」を受講し受験資格を得るケースが多いです。

「キャリアコンサルタント養成講座」は30万円~50万円と決して安くない受講料の講座です。ところがキャリアコンサルタントの育成を進めたい厚生労働省はこの講座に教育訓練給付金を設定しています。そのおかげでジュ個性は終了後に50%、キャリコン資格取得後に20%の教育訓練給付金を受けることができます。そのことから、多くの方はこのルートを利用してキャリコン試験を受験しています。

しかも養成講座というのは150時間の学習時間を終了の要件とした膨大な時間をとるものです。忙しい会社の管理職にそのような時間をひねり出すのはなかなか大変です。

※実務経験者での受験については以下の記事で詳しくまとめています。

下図をご覧ください。②のところに職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者も受験資格ありとあれとされています。

管理職は実務経験者枠での受験が可能

職業能力開発及び向上に関する相談、これは部下を持つ管理職であれば必ずやらなければならない重要な業務である人材育成そのものです。つまり、管理職は高価で莫大な時間がかかるキャリアコンサルタント養成講座を受けなくても「キャリアコンサルタント試験」を受けることができるのです。

実際に受験を申し込む際に必要なのは「実務経験証明書」というシートです。受験希望者は「実務経験証明書」を記入し、受験の申し込み時にファイル添付します。ここで重要なのは「実務経験証明書」は受験者が発行するもので、所属する会社が発行するものではないことです。

「実務経験証明書」には以下のように確認欄があり、確認した会社名、所属部署及び役職、氏名を記載することになっています。

注記では以下のように書かれています
⑤の確認欄は職務を行った会社において、「④職務経歴」の記入事項を確認できる上長(人事担当者、所属部署長 等)による記入(会社名、役職、氏名)が必要です。

このことからわかるように、3年以上部下を持った管理職の受験者は事前に会社(人事や所属長)に説明し証明書を出すことを承認されれば実務経験者枠での受験が可能なのです。

キャリアコンサルタントに興味を持った方は

私は企業の管理職の方に積極的にキャリアコンサルタントの資格を取得頂き、今の仕事及び将来のセカンドキャリアの選択に幅を持たせることを提案しており、仲間と「夢ロープレ研究室」というチャレンジする方のためのサポートを行う組織を立ち上げています。

今まで説明しました内容に興味を持った方は、是非一度下記の記事をお読みください。

キャリアコンサルタントとは?すべてを分かりやすく説明します
国家資格「キャリアコンサルタント試験」ロープレ試験対策ガイドー合格のコツと練習方法ー

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