見出し画像

筑波大学|ゲーム開発ツール「Unity」の動く原理を理解し、それを超える開発を【学生メンターインタビュー01】

Life is Tech ! には、中高生を教える役割を持った「大学生メンター」が多数在籍しています。彼らは中高生にITやプログラミングを教えるだけではなく、情報・データサイエンス系の大学・学部へ通い、自らも学びを深めています。
メンターたちは、大学ではどのように、何を学んでいるのでしょうか。

今回は、筑波大学情報学群情報メディア創成学類に通う島田東子(しまだ・とうこ)さんにインタビュー。入学後の授業や将来の目標などについて聞いてみました。


高校時代からUnityでゲーム開発をしていた

情報系学部を志望したきっかけは?

もともと高校時代からゲーム開発ツール「Unity(ユニティ)」を使って、自作のゲームをつくっていました。なので、ゲーム制作や3Dコンピュータグラフィック(CG)を本格的に学びたいと思って、情報系学部を目指しました。アートやメディア系学部という選択肢もありましたが、ゲーム開発を原理のところから学びたいと考えて、情報系という結論になりました。

筑波大学情報学群情報メディア創成学類を目指すことは、高校2年くらいから決めていました。国公立大学で、学部(学群)として「情報学」を本格的に学べるところは意外と少なかったこともあり、ここひと筋で受験をしましたね。

入学後、どのような科目を履修していますか?

筑波大学情報学群は、大きく「ハード系」の情報科学類と「ソフト系」の情報メディア創成学類に分かれます(実際は知識情報・図書館学類もある)。IT用語でいうと情報科学類はサーバなどインフラ系を支える「バックエンド」の分野、情報メディア創成学類はデザインやCGなどインターフェースを扱う「フロントエンド」の分野になります。私は、主にゲームや動画などのコンテンツ制作に興味があったので、情報メディア創成学類を選びました。

筑波大学では、1年次に全学共通の必修科目として、「情報リテラシー」や「データサイエンス」という科目を履修します。これは文系の学生も履修するので、本格的なプログラミングをやるというよりは、Excelなどのソフトでデータを扱って、レポート作成やスライド資料作成をするための基礎知識を学びます。

情報メディア創成学類独自の科目としては、1年次に「プログラミング入門A・B」を履修します。ここで、最近広く使われているプログラミング言語「Python(パイソン)」を使って、簡単なデータ分析や図表の作成を行う実習をします。

本格的にプログラミングを学ぶのは、2年次からです。その名も「プログラミング」という授業で、C言語を基礎から学びます。C言語は、C++C#と呼ばれる派生言語の親元のような存在で、ここでプログラミングの原理を叩き込まれます。大学で情報学を学ぶ意義を感じるような授業ですね。

「裏側では、こんなに複雑なコードが動いてたんだ!」

入学後、特に面白かった授業はありますか?

2年次に履修した「コンピュータグラフィック基礎」ですね。この授業はめちゃくちゃ面白かったです。授業は実習形式で、C++というプログラミング言語を使って、コードだけで図形を描画する課題などに挑戦します。

もともと私は、「Unity」というゲーム開発ツールを使って、ゲームのキャラクターなどをつくっていたのですが、その仕組みを理解することができました。キューブ1個表示するのにも裏側では、こんなに複雑なコードが動いてたんだ!という発見がありました。授業の課題では、「イカ」の形をしたCGをコードだけで描画したのですが、これが実際に表示されて、動いたときには感動しましたね。

その後、3年次になると「情報メディア実験」という授業があって、前期ではC++を使って、「物理エンジンを使用したアプリケーション開発」という課題で、実際にゲームアプリケーションを開発しました。後期の授業では、7人チームで3か月かけて、作品をつくる予定です。いろいろな特技を持つメンバーが集まっているので、いまから楽しみです。

島田さんは、高校時代からゲーム制作をしていたということですが、大学入学後、どのようなスキルが身につきましたか?

結局、高校時代は、ゲーム開発ツールを使いこなしていただけだったんですよね。その裏側で、ゲームの背景画像を表示したり、キャラクターを動かしたりするプログラミングの原理を学べたのは大きいですね。

順番でいうと「プログラミング(基盤技術)」→「Unity(ツール)」→「ゲーム(作品)」となるわけですが、「Unity」で描画する仕組みの裏側がどうなっているかなんて考えもしませんでしたからね。これがわかってくると「なんで動くの?」「どういう仕組み?」「どの言語?」とどんどん気になってくるんですよね。知的好奇心が刺激されまくりです。

実際、いまゲーム制作会社でインターンシップをしているのですが、社員の方が、「Unityを使える」と「Unityの仕組みがわかる」では、まったくスキルのレベルが違うと語っていました。就職した後、仕事の仕方も変わるようです。確かに、「Unity」が動く原理を理解できれば、それを超える開発ができるわけですからね。

情報系やデータサイエンス系を学んで困ることはない

大学で学んだ情報系の知識・スキルを活かして、将来やりたい仕事はありますか?

エンジニア職に就きたいという未来像は変わりませんが、具体的に何をしたいかはあえて決めていません。ゲーム制作はずっとやってきていて、いまも楽しいのですが、将来の職業をゲームクリエイターに限定したくないんです。いまはCGも楽しいし、ゲーム開発ツールを支えるシステムにも興味があります。「プログラミング言語を使って、動くコンテンツをつくる」というジャンルで、幅広く将来像を模索したいです。

最後に情報系・データサイエンス系に興味がある受験生にメッセージを!

私は「この分野に行きたい!」って決めたら、一直線になってしまうタイプなので、あまりアドバイスできることもないのですが……でも、あえて言えば、情報系に興味があるなら、数学やプログラミングの面で不安があっても迷わず突き進んでください!

「やった後悔より、やらなかった後悔のほうが大きい」ってよくいいますよね? 私もそう思っています。実際、情報系やデータサイエンス系を学んで困ることはないです。就職活動の現場でも注目されているし、最近はIT分野だけでなく、幅広い業界で学んだスキルを活かせると聞きます。

筑波大学情報学群の例でも、心理学、生物学、脳科学、認知科学などを融合した授業や研究室が探せます。情報系って、それだけ幅が広いんです。ぜひ情報系学部で学びながら、自分が本当に興味のある研究テーマを見つけてください!

記事提供
データサイエンス百景:https://ds100.jp/future/s-009/


島田さんの高校時代のストーリーはこちら:
「中高生でプログラミング言語を究めると、将来の幅が広がる!」
https://life-is-tech.com/news/interview/221026-girls

ライフイズテックでは、中高生の学びを支える 大学生向けITリーダー創造インターンシッププログラムを開催しています。
詳しくはこちら:https://leaders.life-is-tech.com/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?