<台風15号ボランティア>静岡市清水区・葵区に行ってきました
先月9月23日-24日に発生した台風15号。
台風により、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
強い風とともに長期間にわたる長雨で、多くの被害をもたらした静岡に、KOKUAメンバーが10/2(日)に災害救援にいってまいりました。
コロナ期間中を除けば、災害が起こるたびに、被災地に救援活動に向かうKOKUAのメンバー。
学生時代から10年以上も、様々な被災地に足を運び続ける理由は、「そこに困ってるひとがいるから」「たったひとりで救援活動をしたとしても、微力でも誰かの役に立てることを知っているから」だと言います。
今回は、そんなメンバーが訪れた、災害から1週間後の被災地の様子(静岡県静岡市清水区葵区付近)と、体験談をお届けしたいと思います。
今回は、泉、中山、疋田、池上、そして外部パートナーの金田さんの合計5名がKOKUAとして参加してきました。
※今回、ご本人に許可をいただき撮影・取材をさせていただいております。
タイムスケジュール
なぜ静岡は、こんなに大きな被害になってしまったのか?
台風15号は勢力はそれほど強くなかったものの、中心の北東側に活発な雨雲が広がり、東海地方の各地で大雨となりました。
24日(土)6時までの48時間雨量の分布を見ると、静岡県内の広範囲で300mm以上の雨が降り、8時間で400mm近い雨となったのです。
緊急安全確保が発令された浜松市や磐田市なども、激しい雨の継続時間は6~8時間となっており、比較的短い時間で大量の雨が降ったことで、大規模な浸水や河川増水、氾濫などの大きな被害につながったとみられます。
またKOKUAが向かった清水区葵区付近の川には、流木や土砂によってせき止められている箇所もありました。それらによって、水が流れず氾濫したことも、水位が上昇した原因のひとつとされています。
今回KOKUAメンバーが担当したのは、工務店と、床上浸水になった一般のご家庭1軒と、床下浸水になった一般のご家庭1軒のお手伝いに伺いました。
今回は、工務店と1軒の一般家庭の様子についてご紹介します。
※ここからはインタビュー形式でお届けします。
被災状況(工務店)
ー工務店での復旧作業中は、どんな様子でしたか?
疋田:当時は、被災してから9日目。
ずっと同じような作業を、店主やご家族など少人数で行っていたため、復旧作業がいつまでかかるか分からない、途方に暮れていた様子でした。
あと一週間はかかるだろう…と思われていたそうですが、週末にボランティアが入り、僕らが作業した当日の午前中に完了できたので大変喜ばれていました。
メインは木材の運びだしだったため、力仕事が多く、店主やご家族だけでは明らかにマンパワーが足りない状況でした。
ー作業をしていく中で印象に残ったことはありましたか?
疋田:「ずっとここに住んでいたが、こんなに災害が起きたのは初めて」という言葉が印象的でした。水位は1mほどもあったようです。
僕らは11時半くらいに作業がおわって、昼休憩まで時間が少し空いたので、街を歩きながら、現地の方と話すことができました。
街を歩きながら、現地の方々に何か困っていることはありませんか?とヒアリングさせていただいていましたが、多くの方が、他のお宅の心配をしていたんです。
その時に、
・被災したあとに、誰にどうお願いしたらいいかわからない
・ボランティア要請の仕方がわからない
という声を多く聞きました。
同時に、「話を聞いてくれてありがとう」と言われることもあり、話を聞くことだけでも、精神的なサポートに繋がることを感じました。
もちろん、行政もヒアリングしていると思うのですが、網羅しきれていないという現状の課題と、被災後の支援をスムーズに実施するための情報伝達なども大切だなと思います。
被災状況(一般家庭 Kさん-仮名)
ー被災当時、どんな状況だったのでしょうか?
泉:平屋の一軒家に住んでおり、あと少しで床上まで浸水するところだったようです。水位が劇的に上がり、逃げるに逃げられず、2階もないので、もう少し水位が高くなっていたら、命が危険な状況でした。
30年以上住んでいて、こんな災害はじめてだったそうで、台風が来ることはわかっていたけど、特に対策することもなく、土嚢を数袋置いていたが、今回の被害には耐えられず浸水。
泉:備蓄食品も、昔に購入したものだったため、消費期限が切れて食べることができなかったそうです。
避難所は、山を越えた場所で道中に土砂崩れに巻き込まれる心配があったため、自宅待機を選んだとおっしゃっていました。
ーどんな作業をされましたか?
中山:ぎりぎり床下浸水だったので、母家と離れ、そして倉庫や、床下のヘドロを掻きだしました。
10人くらいで、いくつかの部屋ごとに分かれて作業しましたが、当日だけではすべての作業は完了できませんでした。
高齢かつ持病もお持ちなので、ご本人だけでは作業できず、
被災後は呆然としてしまい、明日からどうすればいいのか、ご飯ものどを通らない毎日だったそうです。
中山:今回のご家庭は、断水はありませんでしたが、3日停電。
電気がつかえない不便さもあり、家の備蓄食が使えなかったため、近所に住む弟さんに頼んでギリギリ生活していたと伺いました。
「まさかこんなことになるとは、自分が被災するなんて……」と何度もおっしゃる姿が印象に残っています。
「ボランティアの存在にとても助けられた、このご恩は一生忘れない」と作業中何度も言ってくださり、災害救援に参加するたびに、ボランティアのマンパワーがお役に立てることを改めて実感しました。
超高齢化社会、日本全国に共通する災害の課題
ー今回の静岡ボランティアを通じて感じたことを教えてください。
泉:今回、被災地として訪れた静岡市葵区は、日本全国に多い高齢化が進んだ町でした。親戚付きあいが強い反面、Kさんのような独り暮らしのお年寄りの方も多くいらっしゃいます。
住民の方は、ご自分のご自宅だけでなくグループホームの対応をされている方も多い印象でした。
もちろん事前の避難や備えをしている方もいらっしゃったと思いますが、
備えができていなかった
まさか自分が被災するとは……
家の目の前が川になるなんて……
という実際の声を多く聞きました。
中山:僕らは、日頃から防災を呼び掛けている身ですが
逃れることのできない自然災害に対しては、前もって情報を知っておくこと、共有しておくこと、備えておくことだけでも、心理的に違うのではと、身をもって感じました。
また、今回は町自体の繋がりが強かったこともあり、ご近所同士での助け合いの姿も多く拝見しました。
一方で、都会に住む方は
隣に住む人と交流がある方はどれほどいるのだろう。
もし隣人が、高齢者だと知らなければ、すぐに助けることはできるのだろうか。
と考えさせられる場面が多くありました。
僕らがKOKUAとして、もっと多くの方に、現状を伝え、ひとりでも多くの方に行動に移していただける仕掛けをしていきたいと、身を引き締める経験となりました。
以前の新潟でもお伝えしましたが、災害救援は、続けることが大切なので、静岡での活動も、定期的に関わっていこうと思います。
▼前回のボランティアレポートはこちら
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