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祈りの山へ/御嶽山

「2014年9月、皆さんはどこで何をされていましたか?」そう約6年前だ。僕は岐阜県と長野に跨がる信仰の山・御嶽山頂にいた。その頂き「剣ヶ峰」は3067mの独立峰だ。そしてその約3週間後、9月27日・御嶽山は7年ぶりに噴火し死者58を含む戦後最悪の火山災害となる。そして2020年8月あれから6年が経ち、世界が凄まじい速さで変化する中「田の原登山口が再び開かれた」と聞き、お盆休みの最後に6年振りとなる御嶽山を目指した。

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出発は午前3時。目的地までは下道を進み4時間の予定だ。メンバはーDA MONDEでお世話になるFさん。257号〜19号〜256号を使い、王滝村を抜け、スキー場を上がり御嶽観光センター駐車場へ。一度のコンビニ補給を含む予定通りの4時間。準備を手早く済ませ登山を開始する。天気は快晴だ。

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田の原口からのアクセスは登山道を直登し、王滝山頂を目指す、各方向から頂上へのアクセスが可能な御嶽山にあって最短の頂上アクセスルートとなる。頂上までは約3km少し、往復で約6.5km・累積標高は約700mほどだ(ガーミンのログデータより)。ただスタート付近はすでに標高2000m付近であることから登りは少し息苦しく、ペースをあげるという訳にはいかない。予定では下山まで3時間半〜4時間と考えていた。

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天気は快晴で白装束の方が設置された像ごとに祈りを捧げ、螺貝を吹いていた。あの最悪の火山災害を経て信仰の山であるとともに祈りの山となっている。そしてまだ活火山であるため登山にはヘルメット携帯が求められている。そしてこれだけ暑い夏と言っても最終的な標高は3000m近くになるため、ウィンドブレーカーなどの防寒着もあった方が良い。

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偏光のサングラス越しにみる美しい青空と山の緑。こ御嶽は登り始め付近の標高が高いため、すぐに森林限界を迎え、一面ハイマツなどに覆われた景色が広がる。少し息苦しいが時折螺貝の音色や祈りの声を聞きながら標高をあげていく。気づけばもうそこには秋の風、秋の空の気配を感じる。

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木段〜ゴロゴロと岩が転がる登山道を進むと程なく今日の目的地・王滝口山頂に到着する。山小屋はまだ解体途中であり、社と避難小屋、そしてシェルターが再建されていた。ただ本来であればこの大滝口山頂からアクセスできる最高峰の剣ヶ峰やお鉢周りをすることはできず、登山道は閉鎖されている。また大滝山頂を目指すこの登山道も現在のところ9号目〜山頂はアクセス時間が制限されており午後2時〜朝7時までは閉鎖されている。

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社を離れ避難小屋の裏手からはいまだに吹き上がる噴煙が見え、硫黄の強い匂いが感じられる。また山頂付近は風が強く、やはり下界とは違う冷たい風が吹き荒れるため、やはりウィンドブレーカーの着用を勧める。避難小屋は非常時以外の立ち入りが制限されていたため、避難シェルターの中で軽くエネルギー補給をし、足早に下山する。

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そして下山から見える風景は大パノラマだ。眼下に広がる山々その先には木曽駒ヶ岳に代表される中央アルプスの峰々、さらにその先には甲斐駒ヶ岳などの南アルプス、そして富士山まで。とにかく素晴らしい空気、晴天にも助けられ素晴らしい大パノラマを楽しむことができた。下山し行程時間は3時間半。予定通りの行動ももちろん嬉しいが、御嶽山で感じた清々しい山の空気と季節を先取りする秋の気配は本当に素晴らしいものだった。

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最後に、これは6年前の写真だ。王滝口山頂に登頂し、そこから剣ヶ峰へ向かう途中に見たエメラルドグリーンに輝く天空の池だ。8月よりも秋深まる9月上旬、そして火山事故が起こった9月下旬がまさに山の上は秋、素晴らしい青空と、空気だったに違いない。そう、突然この山が自然の驚異、その力を見せつけるまでは。その事故でお亡くなりになった方々へ哀悼の意を表したい。どうか安らかに。


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