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梅雨の合間に坂を登る

呼吸が荒い、そしてとにかく苦しい。170bpmを超えた心拍数は全く下がらない、というより下がる気配すらない。ここでサドルから腰を上げ、ダンシングでも入れさらに踏み込んだリズムでなく、何となくなし崩しになるように自分からリズムを壊せばきっと楽にはなるんだろうと思う。けれども「ここまで来たし」「あとあのコーナーを曲がれば…」という風に考えてしまい「楽になるよ」という誘惑を何故か自分から振り払おうとする。そこまで行けば終わりがあることを理解しているからか…登る速度の速い遅い以上に、自転車で坂を登るという行為は本当に不思議なものだ。

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荒天が続いたここ数日が嘘のように晴れ、清々しい風が吹き抜ける。天候のせいかどうかははっきりしないが、今日のヤングキャッスルは大盛況で、片づけを終え、サイクルジャージに身を包み出発したのは4時を過ぎていた。せっかくの梅雨の晴れ間ということで、少しゆったり時間を持って練習しようと考えていたが、あまり時間的な余裕もなく、R301をいつものように和田まで登ることにした。

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今日は久しぶりにロードバイクを引っ張り出してきた。本当に「久しぶり」で、いつ以来だろうか…思い出せない。いつも楽しむMTBやCXバイクと比べても、改めて乗ってみるとロードバイクは全てが速く走るために作られたまさにレーシングマシンだと思う。低重心とハンドリング、そして機敏な加速どの角度を切り取ってもバイクが速く走ることを要求するような気がするし、なぜかレベルに関わらず乗り手も不思議とそれに応えようとしてしまうような感覚にさせられる全く持って不思議な乗り物だ。しかし恥ずかしいことに久しぶりすぎてサイクルコンピュータを起動してみるものの、どうやらスピードセンサー&ケイデンスセンサーの電池が切れているのかサイクルコンピューターと同期しない。しかたないので「まぁ、いっか」と走り出す。データが取れないので実際に自分がどの程度の速度で走ったのか、正確なところはわからない。しかし心拍数だけは見えているので、その運動強度がトレーニングゾーンであったことは間違いない。

しかしイントロに書いたようにとにかく苦しかった約25分弱だった(体感的にそのくらいでなかったのかと思っている)。「より速く、より遠くへ」まさにロードバイクとはこうした目的のためのバイクであると思う。目的を達成するためのピュアなギア。誰にもおすすめできるものではないが、このギアにはこのギアにしかない素晴らしい魅力に溢れている。

そして帰ってきてから暮れゆく街の彩を感じながら、ビールを飲み少しジム仕事をする至福の時間。少しだけ初夏を先取りしたかのような夕方だ。

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