「失うものなんてなにもない」という悟りは挑戦する人生への入場チケット

『繊細ながんばり屋さんが生きづらさを手放すための55の禅語集』出版への道　〜其の三十八〜

今手にしている所有物（モノ・環境・役割）にいつの間にか縛られてしまっていませんか？

『本来無一物』
すべての事物には実体がなく空であるから
執着すべきものなどなにもない

もちろん、あなたが積みかさねてきた経験や知識、それを通じて積みあげてきた信頼やお金、築きあげてきた役割やポジション、それらを「意味がない」「手放したほうがいい」と言いたい訳ではありません。

ただ、もしそれらがあなたを苦しめる原因のひとつになっているなら、「手放してもだいじょうぶ」だとお伝えしたいのです。

きっと本書を手に取ったあなたは、学校生活でも会社員としても、きっと人並み以上に「がんばれてしまう」人だから。

ぼくも人生を通じて、ずっとそうでした。

「あなたはしっかりしてるから大丈夫。自分のペースでがんばってね！」

　「お前はキャプテンなんだからな。全員の模範になれよ！」

　「君は自分で考えて動けるだろう。どんどん先輩の仕事も奪っていきなさい！」

ずっと、ずっとずっとそんな風に言われてきて、　その言葉に笑顔で応えてきました。

それは前向きなモチベーションというよりも、今ある信頼や愛情を失いたくない（裏切りたくない）という恐れだったのだと思います。

何らかのチームにおいては、メンバーを「できる（がんばれる） / できない（がんばれない）」で大別して、①をしきりに褒め称え②の面倒をみる形になりがちです。

でも、気づいてほしい。

①と②の間には「言われなくてもある程度できちゃうけど、実はしんどい」と思っている存在がいることに。

目立つほどはできないけど問題は起こさない。

怒られはしないけど褒められもしない。

認めてもらいたくてがんばればがんばるほど透明人間になっていく存在。

そうして自作自演の「報われなさ」に負の感情をため込んで、壊れていったぼくの心を癒やしてくれた言葉のひとつが『本来無一物』でした。

人は生まれながらにして持っているものはなにもない。

たとえなにかを失ったとしても、死ぬ訳じゃない。

それはあくまで「戻る・還る」ですから、今ある「重たすぎる荷物」は安心してそっと手放してみてくださいね。

合掌

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