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忘れるふりをしないこと

今日は、舞台を観に行ってきました。
こまつ座という、井上ひさしさんの戯曲のみを演じる劇団です。
2017年に「きらめく星座」という舞台を夫婦で見たときに二人ともあまりに感銘を受け、以来、毎回の作品を夫婦交代で観に行っています。

今回の作品は、『闇に咲く花』というタイトルで、戦後間もない東京の神社を舞台に繰り広げられる、当時の人々の生活の苦しさ、葛藤、理不尽さ、大切な人を失った喪失感…そんな中でも明るく強く生きていこうとする姿…
その背景には戦争のむごさ、二度と同じ過ちを繰り返してはならないためにできること、など考えさせられることが詰まっていました。

神社という存在をわたしはあまり深く考えたことがありませんでした。
お寺との違いは宗教が違うから、という程度でした。
でも、この作品を見て、神社という場は、人々がどんな状態であっても否定されることななく、アドバイスされることなく、自分の抱える思いのまま訪れることができる、きっと包容力のある場なんだと思いました。

作品の中の言葉を借りると、「道端に咲く、花のように」。

今回の主人公は、山西亨さん演じる神社の神主で父親と、松下洸平さん演じる、プロの野球選手として歩んでいくはずだったけれど徴兵され戦死したとされる息子の話が主軸にあります。

このコンビの作品は2019年の『木の上の軍隊』で初めて拝見しました。この時は、上官と若い隊員という役柄でした。今や引っ張りだこの松下さんですが、わたしは4年前に初めて存在を知りました。
松下さんの演技には本当に心を揺さぶられ、役者として、とても印象に残っていました。
山西さんは、色々なこまつ座の作品で見ているので、安心感しかないのですが、今回の親子の設定も素晴らしかったです。

作品の内容について、ネタバレしてもいいよ、という方は、ぜひこちらの記事を読んでみてください。
追体験できるくらいに舞台そのものの臨場感に加え、補足情報もあり、詳細に書かれています。

戦争のむごさ、恐ろしさ、虚無感など、経験したことのないわたしですが、こまつ座の舞台を通じて、井上ひさしさんの平和に対するメッセージをいつもひしひしと感じてます。
時代背景は違うのにどの作品を見ても不思議と「まさに今の状況と一緒だ!」と思わざるを得ません。
それくらい、実は世界は以前と変わっていなくて、ある意味、常に戦争の気配と背中合わせなのかもしれません。
でも、それを防ぐには、やはりこのような作品を見たり、当時のことを知ったり、そのことを決して忘れず、伝えていくことが大事だと思います。

見て見ぬふり、忘れたふりをしないように心に留めたいと思います。

舞台のカーテンコールコールはなんと4回!
3回目からはスタンディングオベーションでした!

また、次のこまつ座の作品も楽しみです✨


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