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高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

セ=セラピスト 利=利用者 家=家族
セ「立ち上がれますか?」
利「できません、立たせてください」
→実際はものにつかまれば立てる

セ「歩けますか?」
利「全然、歩けないんです」
→実際は歩行器で歩ける

セ「◯◯さんは、ごはん食べておられますか?」
家「食欲が無く食べられてないんです」

→いつもの7割程度は食べられる
 えてして、医療職・介護職スタッフが利用者本人や家族へ質問した時に『客観的事実』と異なる回答になることがあります。言葉をそのままスタッフが受け取ると、「あぁ、食べられてないのか」「歩けないのか」となり、もしかすると生活上フォローの方法が変わる恐れもあります。
 極端にいうと、歩ける方なのに車椅子を使用するなどになる可能性があります。おそらく利用者や家族はウソはついてません。利用者や家族がイメージする「歩行状態」や「食事量」に達していないことで「できない」という表現になるんですね。
 四捨五入の切り捨てみたいなものでしょうか。そのような場合「いやいや、まだ『四』残ってるじゃないですか。」とスタッフは思うわけです。この場合、『四』は本人の能力です。そして『四』を大事にしながら生活をフォローしていくと、『四』が『五』『六』と増えていくわけです。しかし、『四』を切り捨てると『ゼロ』です。『ゼロ』は能力ゼロです。スタッフが能力ゼロと判断すると、利用者に対して全て全介助になります。全介助は残存していた能力も奪っていきます。
 そういった理由から、スタッフが利用者や家族から情報を聞き出す際は注意が必要です。この情報は本人や家族の主観に偏っていないだろうか?と。反対に利用者・家族からスタッフへはできるだけ『客観的事実』を伝える必要があります。

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