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16.3% 減少する労働組合の組織率

23年度労働組合基礎調査(厚労省)から

 厚生労働省が2023(令和5)年度の「労働組合基礎調査の概況」を公表しました。
年々減少傾向にある労働組合組織率ですが、今年度も大きく見れば減少傾向にあります。社労士試験の労働一般常識対策でも要チェックです。

 まず、労働組合員の推定組織率は、16.3%(前年比△0.2ポイント)で過去最低となっています。
内訳をみると、労働組合数が前年比△1.1%、労働組合員数は前年比△0.5%という結果です。
女性組合員だけでみると、推定組織率は12.4%。前年比△0.1ポイントでした。

パートタイム労働者の組織率

 次にパートタイム労働者の労働組合員の推定組織率は8.4%。
前年比で△0.1ポイントだったものの、全ての労働組合員数に占めるパートタイム労働者の割合は14.3%で、前年より0.2ポイントの増加です。
労働組合員全体でみると、パート労働者の割合が高くなっているようです。

産業別にみる現状

 産業別では、組合員の組織数は1位が製造業、2位が卸売業、3位が建設業、4位が運輸業・郵便業でした。
最も組織者数が増加したのは、宿泊業・飲食サービス業。次いで、サービス業、建設業の順。
減少幅の大きかったのは、公務、製造業、運輸業・郵便業、金融業・保険業の順となっていました。

 スタバやウーバーイーツなど新たに結成される組合も報道されていますね。

民間企業の現状

 民間企業の規模別の状況では、労働組合員数は869万2千人。前年比△0.2%。
企業の規模別にみると、1000人以上の規模が全体の67.3%。300人から999人規模が12.5%。100から299人規模が6.3%など。

労一、白書対策に要チェック

 白書・統計対策では、受験予備校の講義の中で「順位と大まかな数字は見ておきましょう」と、言われました。文章だけではイメージしづらいかもしれませんので、「労働組合基礎調査の概況」で掲載されている表をチェックしておくとビジュアルでイメージしやすいでしょう。
また、受験予備校などでは単独で白書対策なども実施されているので活用するのもありです。

労働三権は労働者の権利

 働く身としては、労働組合の組織率の低下は気になります。
それだけ対等な労使関係下にある労働者が少なくなっているわけです。
日本国憲法第28条は、「団結権」「団体交渉権」「団体行動権(争議権)」
の労働三権を保障しています。
とはいえ、さまざまな個人の置かれた生活環境も相まって、組合結成や加入などなかなかかなわない事情もあります。
しかしながら、減らない長時間過密労働、人員削減による過重労働、非正規労働、低賃金、「底なし」のサービス残業や過労死、過労自殺など働く環境は一向に改善されません。

権利を行使し、労働者の地位向上を

 使用者側に力関係が圧倒的に偏っている現状。対等な労使関係には労働者の団結は不可欠です。しかし、組合が結成されていても、企業内組合で労使協調路線となっている組合もあり、労使対等、労働者の権利の保障など決して十分な状況とは言えない現状もあります。

そうした現状とともに組織された労働者が少なくなっている状況の中で、圧倒的に強くなった使用者の不正を含めた「暴走」に対する労働者の側からのブレーキが利かなくなっているのではないでしょうか。

対等で健全な労使関係は、生産性の向上に直結

 社会保障制度のあり方をめぐって経済界側からの抑制圧力が強まっています。同じ会議のなかで労働者の側からの発言を強くするためにも、労働組合の力を高めていかなければなりませんが、これはまた別の議論に任せることにします。

 いずれにしても、労働者にとってきちんと権利が保障され、権利が行使できるようになるとともに、地位の向上をはかり生産性の高い職場の実現は大事。健全な労使関係は、使用者にとっても事業にプラスの効果をもたらす不可欠な要素だと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。



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