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【子育て】ヒゲ息子、世界進出を企む

コロナで国境封鎖する国もある中、デジタルの世界でだけは、相変わらずとことんボーダレスだ。

ヒゲ息子はオンラインゲームでアメリカ人の友達ができたと喜んでいる。

しかし、ボイチャでの会話をよくよく聞けば、

「アハァ。アハァ。オゥイェー。」

とそれっぽく相槌を打っているだけだ。
それだけで英語が得意というのだから、世の中は言ったもんがちである。

思えば、ヒゲ息子には1歳から英会話に通わせ、お金も時間も随分使ってきた。

私自身、イギリスに高校留学したのが16歳。
その時から将来自分の子どもにも英語をと決めてきたのだから気合いが違う。

最近になって、急にヒゲ息子が

「俺も母ちゃんみたく外国の友達たくさん作りたい。」

だの、

「留学したい。」

だの、嬉しいことを言ってくれる。

英語が強い学校に通いたいと急に言い出したのもつい最近だ。

母は嬉しかった。
自らそう言ってくれる日をどれだけ待ったことか。

しかし。

その喜びは数日と続かなかった。

「ほら。英語頑張るって言ったくせに英語どころか何も勉強してないじゃん。」

と、不覚にも私はヒゲ息子を責めてしまった。

するとどうだろう。
ヒゲ息子はまた例のドヤ顔で、しかも耳に手を当てるポーズをし

「ワッディジュセイ?」

と言ってきた。

つまりはWhat did you say?だ。

まさかの英語返しで私は不意打ちを喰らった。

それからというもの都合が悪くなると、彼はワッディジュセイ?と言ってごまかすのだ。

会話が進まないし、その言い方がまるで新喜劇にでも出てくるお決まりのネタのようで、私の怒りは魂が抜けるかのようにスーッとどこかへ消えてしまう。

そういえば昔、すごくしつこいキャッチセールスに追いかけられたことがある。こちらが何か言うまで追いかけてくるつもりのようだったので、英語で追い払ったことがあった自分の過去を思い出した。

ワッディジュセイ?と言ったかどうかは定かではないが、やはり親子ということか。

イギリス人にいじめられた時は、関西人でもないくせに関西弁でまくしたて相手に謝らせた。言葉はすごい。

と、感心している場合ではない。
ヒゲ息子を調子に乗らせるわけにはいかないのだ。

昨日また、ワッディジュセイと言ってきた彼に、英語で返事をし続けてみた。

案の定、アハァ、アハァしか言ってこない。
答えが「はい、いいえ」にならない質問にアハァはご法度である。

しかし、それでも彼は豪語する。
得意科目は英語であると。

結局、最後は言ったもんがちだ。
根拠のない自信はこうして生まれるのだ。




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