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ジェンダー平等118位に想う

世界の男女格差の状況をまとめたランキングで日本は118位というニュースをみた。それに対してのネットやTVのお決まりの報道になんだか一言申したくなってしまったw

日本では男女格差が大きく根深くて、女性にとって住みにくい国になっているという点についてはその通りだと思いながらも、なぜ住みにくいのか、女性にとって(というか、男女にとって)住みやすい環境とはどういう環境なのかを考察している記事をほとんど見かけない。皆無かもしれない。これとても誤解を生みやすいトピックなのだけど、あえて記事にしてみたいと思います。

男女平等

そもそも男女平等とはなんだろう?以前にも簡単にnoteしたことがありますが、これをもう少し別の角度から考察してみたいと思います。

男も女も「同じ人間」なのだから、性差のない平等な権利を与えられるべきだという主張はもっともだけれど、平等な権利っていったいなんだろう?むしろ聞きたい。みなさんにとって、男女が心地よく「平等である」とはどういう状態を言うのだろう?

ほとんどの人は経済的自立だと答える。でも経済的自立ってなんだろう?女性が「ひとり」でも生きていける環境だろうか?男性と女性にて経済的に収入格差があることはもちろん知っています。それが性差別によるもの「だけ」ではなく、社会的な構造に問題があるということもわかっててあえて踏み込んだ問いを投げかけるのですが、収入において平等が実現されれば、男女が心地よく平等であるとほんとうに言えるのだろうか?もちろん経済至上の社会において、経済的な自立が実現できなければ、相対的に男性よりも女性は将来に対して大きな不安を抱くことになるでしょう。。。そうであっても、人間の本質的な生き様や理念といったものを「経済」の秤にかけた瞬間、たいていわたしたちはその背景にある「もっと大事なこと」を取りこぼしてしまう。

男女の違い

そもそも男女は「同じじゃない」。生物的に異なる生き物です。ここを履き違えると、女子マラソンは廃止してしまえ、女性専用車両は不公平だ!男女ともすべからく「同じ」であるべきといった極端で稚拙な議論しかできなくなってしまう。。。

あらためて男女の違いとはなんだろう?これについて議論されること自体が稀なように思います。

わたしはお仕事で組織経営やチームビルディングのようなことに首を突っ込むことが多いのですが、男女では明らかに得手不得手が異なるように思っています。もちろん、全ての男性がこうで、全ての女性がこうだ!と言うつもりはありません。人はそれぞれみな異なる個性をもっていますから、女性らしい特徴を持った男性もいれば、男性よりも男性らしい女性もいます。女性はこうだとか、こうあるべきだといった偏見を主張したいわけではありません。(が、このような話をすること自体が、偏見だとみなされてしまう。フェミニズムって男女を同一視することなんですかね?)

男性の特徴

非常にざっくりとですが、一例を上げたいと思います。お仕事をする際に感じていた、わたしの感覚として、男性の特徴としていつも気にかけていることは、男性はコミュニティーの輪から「外向きのベクトル」に意識をはらう生き物だということです。

自分の所属するコミュニティーに対する外敵の脅威から守ったり、外の状況を分析し遠くを見据えたり、将来の進むべき道を模索するのには男性的な知性が向いているように思います。そういった意味では、現在のビジネスの競争原理は男性的だと言えるのかもしれません。

女性の特徴

いっぽうで、女性の特徴としてわたしが特に気にかけているのは、女性は反対にコミュニティーの輪に対して「内向きのベクトル」に意識をはらう生き物だということです。

ですから、業務フローの構築ひとつとっても、このような取引をすることによって、社内のどこに負荷がかかって、どこにテコ入れが必要なのか、女性は分析するまでもなく感覚で「わかり」ます。自分たちがより楽に心地よく仕事ができる環境を育てるには女性的な知性がふさわしいのです。

男女の視点

わたしが組織編成をする上で、これまでの成功・失敗事例を鑑みると、この男性、女性どちらの視点が欠けてもたいていうまくいきません。男性的な視点が支配的なチームでは、先の見通しや戦術ばかりに気を取られ自己満足なだけの非効率な体制ができあがります。また女性的な視点が支配的なチームでは、足元ばかりに焦点があたり、部門横断的な決断ができなかったり、物事が足踏みして前進しなかったりするのです。つまり、バランスが非常に重要です。

そして、ここで強調したいのは男性、女性それぞれに特徴があり、それぞれが活躍できる場があるということです。男性、女性を同じに扱ってもうまくいきません。それぞれにふさわしい適所があるからです。そしてその適所を見極めることこそ本質的な「心地よさ」につながるのです。

いまのコミュニティーを考える

さて、もう少し込み入った話をさせてください。

いったん男女問題から離れて、現代社会における「コミュニティー」を考えてみたいと思います。これはnoteでいつも話していますが、現代社会では「コミュニティー」といえる集団はことごとく解体されてしまっています。唯一残った家族ですら核家族化しており、たいてい3人とか4人の集まり。これはもう集団とはいえません。コミュニティーというのは、マーケットの反意語だといった話を常にしていますが、マーケットによってわたしたちの所属するコミュニティーはどんどん先細りしているのが現状です。

このあたり興味があれば以下のnoteに目を通していただけるとうれしい。

わたしたちの生活において、安心安全を求めリスクヘッジをするためには、ある程度の数をもったコミュニティー(=集団)が必要になるのです。個々人の自己責任などという言葉が流行っていますが、原理的にリスクヘッジは個人ではできません。リスクヘッジには、お互いを支え合える規模を持った集団が必ず必要になるからです。この集団が「ない」からこそわたしたちの将来に対する不安が拭えないのではないかとわたしは考えています。

女性の居場所

さて、ここで女性問題に話を戻したいと思います。では、この分断されたコミュニティーのなかに女性の居場所はどこにあるのだろうか?これが、わたしにとっていまもっとも大きな疑問です。

女性はコミュニティーに対しての内向きのベクトルが特徴です。ところが、内向きのベクトルが向かうべきコミュニティーが存在しないのですから、女性の居場所自体が、現代社会には「ない」のです。これこそが、女性問題の最大の核心ではないかと思うのです。

コミュニティーが分断され、個と個が競争しあうだけの社会です。すると対外的な脅威を押しのける外向きのベクトルが優位になります。なって当然ですよね。だって、コミュニティーがないのですから。かといって、男性的であることが幸せかといったら、そんなこともない。。。数少ない扶養家族の安全を背負い常に外敵にさらされた自己責任という名の怪物と戦い続けなくてはならないのですから。。。

このような環境において、「女性の経済的自立」だとか、「女性の社会進出」だと言うとき、これらの主張が何をもたらすのか。。。根本の解決になるのだろうか?わたしはこのような主張を聞くといつも余計に不安になります。

これはつまり「女性を男性化する」だけじゃないのか。。。

優秀な女性社員の退社劇

先日、TVの旅番組かなにかで、脱サラをして農家を営む元キャリアウーマンの短いインタビューがあった。彼女は元々金融業界でバリバリと働いていたやり手の社員だったらしい。収入も男性並にあって、地位もある程度確約されていたと言っていた。男女平等問題が彼女の会社では重要視されていて、才能のある女性はどんどん管理職に抜擢されていく気風があったそう。それにもかかわらず、彼女はなぜ脱サラしたのだろう。。。

「男女平等ってそういうことじゃないって思った。」「多くの女性にとって望ましい風潮かもしれないけれど、、、私にとっては居心地のいいものではなかった。」そんな風に遠慮がちに小さく彼女がつぶやいたのが今でも印象に残っています。わたしはこの言葉に目が覚めたし、救われた思いがした。TVはなぜ女性のこういう声をもっと拾い上げてくれないのだろう。。。

これこそ女性自身が男性化してまで平等を主張することになんの意味があるのかという真摯な心の叫びだったのではないだろうか。

女性の大いなる期待

このような状況をみると、社会にとってや、わたしたち個の生活の安心安全にとって、いまもっとも必要とされているものこそ、コミュニティーや相互に助け合える集団の再構築だとわたしは思っています。

この集団の構築は、より端的に表現するなら、女性の心地よい居場所を確保することで実現できるのです。内向きのベクトルが重要だということです。

いまのニュースのコメントであったり、自称フェミニストの主張であったり、ジェンダーレスなどといった主張は、このような社会の大きな潮流を踏まえたとき、それとかけ離れた結果を生むように思えるのです。彼らの主張はむしろ経済至上主義の延長線上にあって、ビジネスの強豪と競争し戦い抜く力をもった女性を優遇しようと言っている。これは本質的に大多数の女性を不幸にするのではないか。

男女問題を単に賃金や指標の格差に置き換えた瞬間、これらの視点はまるで失われてしまうのです。日本でこの差が縮まらないと言うとき、単に既得権益に執着する日本人男性を責め立てる前に、その背景には、経済市場の波に飲み込まれまいとする日本人女性のたくましい意識が働いているのではないか?そこにもっと焦点を当ててほしいと思うのです。

りなる



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