仕事を「疎結合化」デキる人
リモートワークにも上手い下手があるように思います。
働き方が変わってきた昨今気づいたことと言えば、上手い人やチームの仕事は「疎結合化」されている、ということ。
どのツールがいいとかオンラインセミナーが盛んに開催されていますが、仕事が上手く回らないことに関して言えば、ほとんどの場合ツールがなんであろうと、ツール自体は問題を解決してくれません。
問題の根本は仕事が疎結合化されているかどうかにかかっているのです。
疎結合 vs. 密結合
「疎結合(そけつごう)」とはなにか。IT用語ですが、複数のシステムがお互いに、ゆるーくつながっている、という意味。お互いの処理に依存せずそれぞれが独立して稼働できる状態のことを言います。
反対に「密結合(みつけつごう)」という用語があります。これは複数のシステムがガチガチにつながっている、という意味。Aの処理を行うには、Bのシステムが動いていなければならず、Bが止まってしまうと同時にAも止まってしまう。依存型のしくみのことです。
なら全部「疎結合」にしちゃえばいいじゃん?と、言われればその通りなのですが、このゆるくつながる、というのは非常にめんどうなんです。お互い必要なデータは何で、どのタイミングまでに何がないといけなくて、もし間に合わなかった場合やエラーが発生した場合はどうする、、、みたいな手順を事前に細かく決めておかなくてはいけません。
逆に「密結合」の場合は、常にお互いが稼働しているから、そんな手順などなくとも、必要な時に必要なだけお互いデータを取りに行けばよいので、めちゃくちゃ楽ちんなのです。
自由に仕事をするとは、相手の時間を拘束しないこと
これはとっても大事なポイントです。自由に仕事をすることを自分の裁量で時間配分ができることだと考えている人が多いようですが、これは半分間違っています。
自分の時間を自由にできるということは、他人から時間を阻害されないことが担保されなければなりません。裏を返せば、チーム内全員が、他人の時間を拘束しない、と言うことでもあるのです。
他人の時間を拘束しない、他のタスクに極力依存せずに自律的に仕事が適度に分断化されている必要があります。つまり「仕事の疎結合化」です!
自由に自分の裁量で効率的に仕事をこなすためには、仕事の疎結合化がその大前提として必須なんです。
現場は「密結合」だらけ
意識的にオフィスでの仕事内容を振り返ってみると、密結合の温床だということがわかるでしょうか。
例えば、電話。
電話は相手が一緒に作業をしないと成り立ちません。電話が鳴った途端、相手の仕事はストップし、電話が終わるまで他の作業が中断します。まさに密結合。ホウ・レン・ソウを必ず電話でしろなんて上司がいますが、無意味だとわたしは思います。
誤解のないように、電話がすべてダメという意味ではありません!電話は感情や思いを即座に伝えるのに最も有効な手段です。なので、チームワークに電話やビデオ通話などは非常に有効だと思います。
使い所や頻度を間違ってはいけないということ。
「密結合」は手軽で早い、という思い込み
密結合でのつながりは楽ちんです。気になった時にふと電話で連絡をとる、Slackで話しかける、オフィスだったら後ろを振り返って、○○さーーーんって声を掛ければ、それでタスクが終わってしまいます。
特に、「来客用のコップどこに置いたっけ?」みたいなどうでもいい内容は、さくっと声をかけて聞いてしまえばいい。。。と思いがち。
確かにシステム開発において言えば、それでおしまい。でも現実はそうはいきません。
聞かれた方は仕事が大なり小なり中断されてしまうということをよく覚えておいてほしいのです。
先日つぶやいた、仕事が中断されることで、つながりのない仕事を並行処理すると完了までにかかる時間が著しく悪化するという実験を紹介しました。これ実はゴールドラット博士の考案したTOCの研修でやっていたもの。
密結合化されたコミュニケーションによって自分の仕事はすぐに片付いた、かもしれません。
でも、相手のやりかけの仕事は処理速度が半減したという認識を持つべきだと思います。つまり、その逆も発生しうるということ。
加えて、生産性の向上とは、自分ひとりではなく、チーム全体で図られなければ意味がありません。
生産性の上がらない日本の職場ではこんなことが日常に発生していると思われます。リモートワークになってみて、こういったことがSlackや電話などに現れることで、顕著化したのです。
リモートワークすることによって、仕事が分断されなくなって効率化したという声を聞きますが、それはつまり物理的に声をかけにくくなったことで密結合のコミュニケーションが控えられたというだけの話ではないでしょうか。
この根本を解決しないことには、リモートワークになったところで仕事の自由度は上がりません。本質的な効率化など期待できないのです。
仕事を「疎結合化」しよう!それこそが、リモートワークの真価が問われるところなのです。
つづく
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