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仕事を「疎結合化」デキる人(実践編3)

さて、ここまで順調でしょうか?チームワークを疎結合化すること、その実践編としてタスクを細分化すること、そしてそのために情報を仕込んでおくこと、という話をしました。

今回で、いよいよ最終回です。

リモートワークが上手く行っているチームは、仕事が「疎結合化」されている、という記事を以前書きました。

※ 疎結合ってなに?という人はこの記事から参照ください。

さて、今日はこれまでで一番難しいことを言いたいと思います!

実はもっとも難しいのは「ルールを守る」ことです。

なーんだ。簡単じゃないかと、思うかもしれません。でも、これができないのです。口をすっぱくしていいたいので、今回はこれだけに記事を使いたいと思います。なーんだ、と思わずに、ぜひ最後までお付き合いください!


0・100ゲーム

0・100ゲームなんて言葉をわたしはよく使うのですが、これは0点か100点しかないということです。中間の及第点の50点とか、よくできましたの90点とかありません。

どういうことか、交通ルールを例に考えてみましょう。

人も車もわんさかいる大都会の道路を時速60Kmで走っても事故りません。なぜなら、信号機が青なら進め、赤なら停止、というルールがあるからです。

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これ実はすごいことなんです。

決め手はルールそのものではなく、そのルールが「守られていること」、または「守られている」と信じれることなのです。高度な社会であるほど、ルールは守られます。そのほうが効率がよいと知っているからです。

この信号が絶対守られるという信頼があるからこそ、時速60Kmで交差点に迷わず突っ込むことができるのです。

同じようなことが仕事でも起きます。

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色々なタスクが疎結合化し自律的に動けるのは、ルールが守られているからです。

ルールが守られなかったときのことを想像してみましょう。

影響は全体に及びます。

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ルールは「たまに守られる」であってはいけないのです。

この信号機「たまに守ります」だったら、どうでしょう?交差点に時速60Kmで進入する勇気ありますか?

ルールが守られていると信用すればこそ滞らないのです。全速力で走り抜けられるのです。

つまり、おおよその人が守っていればいいというようなグレーゾーンでは意味がありません。例え自分ひとりが頑張っても、守らない人が1%でもいるとルールとしての効果は半減してしまいます。場合によっては、無意味になってしまうでしょう。

なぜルールを守ることがそんなに重要で難しいのか、それはタスク管理において、ルールを守ることは0・100ゲームだからです。


1|ルール施行は100点が基本

一度ルールを作ったら、そのルールは理想は100%遵守されるべきです。原則として100点満点を目指しましょう。

少し実際の職場をイメージしてみてください。以下のようなダブルチェックの仕事を想像してみましょう。

ルールが徹底されていれば、文字通り2回のチェックで終わります。

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ところが、実際にはルールは90%守れれば合格といった感覚のメンバーも多いのです。違いますか?

あなたの周りの業務で「決められたことを100%守ってくれる」と信用できるメンバーがどれだけいますか?納期、月初データ処理、エスカレーション、ファイル共有などなど、仕事には様々なルールがあるはずです。

逆に信用できないとどうなりますか?

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暗黙的に誰かがこっそり監視をしていたり、リマインドしてくれたり、裏でデータやモノを手直ししてくれていたりしませんか?結局、誰かがべったりとタスクに張り付くことになるのです。

これが、疎結合化を阻害する大きな要因となります。

監視、手直し、事後処理、同類事象の総チェック、次回発生しないための改善検討、、、などなど、たった2ステップの処理に対して、大量の見えないリソースが投入されていたりします。

少し補足すると、ルールを100点の精度で守らなければいけないという「意識が欠けている」という見方もできます。日本人はみんな真面目なので、比較的ちゃんとルールを守るでしょう。だからこそ厄介なのですが、「ちゃんと」の意識がみんなバラバラなのです。

人によっては、「ちゃんと」が90点であったり、98点だったりします。でも、原則として100点を目指すべきです。

この意識が共有化されにくい原因のひとつは、ルールを守るべき人(黄色)と、それを是正する人(青色)が別だからです。だからこそ、不満の火種になり、モチベーションを大きく下げる要因にもなっています。

「これ本来おれのやる仕事じゃねーよな。。。」
「なんでわたしが毎回、○○部の尻拭いしなきゃなんないのよ!」

こんな言葉が休憩室から聞こえるようになったら注意です!(笑)

部門や立場によって重要視するものが違うので、各部門が全てのタスクの重要度を正確に推し量るのには限界があります。だからこそ、ルール化が必要なのですが、大事なのは重要度がわからないからこそ作ったルールは「100%守る」ことなのです。

2|例外を許容しない勇気

ルールがどの精度で守られているか徹底的に検証してください。チーム内、他チーム間との「横」の繋がり、そして、上司と部下、社員と非正規社員などポジションを通した「縦」の繋がり全てで検証しましょう。

・ルールはチーム内で共有されていますか?
・他のチーム間で同じ温度感を持って運用されてますか?
・ポジション間(特に社長や部長や役員)でも等しく守られていますか?

ルールが厳格に守られると、暗黙的にやっていた仕事の量がみるみる減少していくはずです。中途半端では効果は半減します。

さて、恐らくここで半数の人が大きな組織の壁にぶちあたります。

組織には「特別」が存在します。

特に、縦のつながりの中で起きやすいのが、社長は特別だとか、社員の言うことには逆らえない、といったものです。

もちろんそういった見解にも一理あるのはわかります。

例えば、時給5万円の社長と、時給1,000円のアルバイトだったら、社長の時間を拘束するくらいなら、ルールを多少曲げてもアルバイトの手間を増やしたほうが合理的だという考えが成り立ちます。

ただ「ルール遵守」の観点において、特権扱いを許容してうまく回っている組織はわたしの知る限り、ほとんどないように思います。

なぜなら、ルール遵守は0・100ゲームだからです。1人の例外が、全体に影響します。密結合を助長するのです。そして、影響はその一時だけでなく、全体の動きを鈍化させるのです。本来、時速60Kmで進入できたはずの交差点で、全員がいつも一時停止をする羽目になるのです。

時間単価を語るのであれば、単価の低い「タスク」をアルバイトに割り振るべきです。タスクを切り出しましょう。社長であれ上司であれ、ルールに例外をつくるべきではない、というのがわたしの個人的な見解です。

ところが、どうしても地位が高くなるとルールに例外を持たせたくなるものなのです。ルールに例外をつくらないことには、相当の勇気と覚悟がいるでしょう。

こればっかりは、アドバイスのしようがないのですが、、、勇気をもってください。上司の方、マネージャーの方、社長は、率先してルールを遵守する文化をつくりましょう。その覚悟を決めてください。特定の人が守らなくてよいルール(たぶんそれは不必要なルールです)は、むしろ撤廃を検討してください。

高度な組織ではルールが守られます。それにより必ずよいフィードバックが得られるでしょう。ルールを守ることは、疎結合化したタスクを守ることにつながります。

3|せめて、例外というルールを設ける

それでも、どうしても例外が必要ということであれば、、、例外というルールを設けましょう。

交通ルールでいえば、つまり救急車やパトカーです。

ある特定の条件(サイレンが鳴ったとき)だけ、例外を適用するなど、ルールを細かく決めておきましょう。

そうすることで、常に注意を払う必要がなくなり、影響を限定的にすることができるでしょう。

ただ、例外ルールだらけ、、、にならないように気をつけてください。

全ての車がパトカーだらけ、にならないように。。。できれば例外は作らないのがベストです。

考えてほしいこと

さて、ここまでで仕事の疎結合化の話はおしまいです。

疎結合化の管理方法と、それをルール化して守ること、それによって恐らくかなりの業務が効率化され、従業員に大きな時間の余裕が生まれるはずです。(そうなることを願っています。)

最後に、わたしからみなさんにお願いがあります。考えてほしいのです。

「その生まれた余剰の時間をどう活用するのか?」

これは業務改善において、見逃されがちですが最初に必要な議論だとわたしは思っています。

新たに生まれた時間で別の仕事をさせますか?
新たに生まれた時間分の工員を削減しますか?

または

早々に完了させみんなで遊びますか?
その時間を使って親睦を深めますか?
好きな事業を自由にさせますか?

あなたが業務改善の担当を任されているとします。

あなたの責任は業務を改善することだと今は思っているかもしれません。

ところが、業務改善したにも関わらず、不幸になるメンバーもでてくるということをしっかりと知って欲しいのです。

以前わたしは、業務改善を行って2、30%ほどの余剰時間を捻出することができました。チームはこれをとても喜びました。

ところが数カ月後、その余剰時間には新たな業務が単に割り当てられ、これまで8時間でこなしていた10のタスクが12ないし13になっただけでした。

余剰時間はなくなり、タスクと責任だけが増えたのです。

わたしはその事実にとてもショックを受けました。業務改善などしないほうがチームは幸せだったのではないか?そのことにずいぶん悩みました。

だからこそ、業務改善そのものを目的とするのではなく、改善した後に生まれた余剰時間で何をしたいのか?そこを真剣に議論して欲しいと思います。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました。


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