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バリキャリ男子

今回のnoteは以前に執筆した陰キャイケメンに続く娯楽的なもので、ここ数年くらいで特に東京などで増えてきているように思えるバリキャリ男子の話を書こうと思う。バリキャリ男子って何?って読者諸氏は思うだろうけれども、どちらかというとバリキャリ女子を手本に生まれてきた存在と言える。本noteは基本、全部無料で読むことができるが、最後に投げ銭(200円)の欄を作るので、記事が面白くて、また執筆を応援したいと思った場合は是非ともお願いしたい次第になる。

1. 前史(昭和時代の就労)

中高年以降はもちろん、若い読者諸氏らもなんとなく知っているように、特に昭和の時代は男女分業が当たり前であり、男性は企業などで働き、女性は基本的には専業主婦として家事育児をするのが当たり前であった。

昭和24年のオフィス風景
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この時代は性的分業がとてもはっきりしている傾向があり、看護師や医師、教師などの一部の仕事を除いて女性でキャリアウーマンとして長く働いている人は多くなく、企業などに一般職で就職する女性も結婚と共にすぐに退職していくという状況であった。実際には、自分の意思で退職したとは限らず、会社の規定に「結婚したら退職するように」と書かれていた場合もあった時代であり、今から考えてみると大変驚きな世界であったともいえる。

戦後の昭和時代の生涯未婚率。生涯未婚率とは生涯未婚率とは、50歳時点で一度も結婚をしたことのない人の割合を指す。
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24/hakusho/h25/html/n1221000.html

そのようなこともあり、上のデータが示すように昭和時代は生涯未婚率が極めて低い状態であり、多くの男女は結婚して、場合によっては子供を複数人得ているということも普通の状況であった。

しかし1972年に勤労婦人福祉法が施行された。本法については以下の引用に説明があるが、女性の勤労は実際にはかなり抑えられているような社会であったのが、徐々にこうして改善されてきたのである。

子どもをもつ男女労働者が,職場での身分や地位を失うことなく,休業や時間短縮などができる制度。1960年代に,電電公社や民間企業で実施され始めたとき,この制度は,育児のために退職せざるをえなかった女性労働者の退職を防ぎ,乳幼児をもつ母親労働者の母性保護のための経費を軽減するという企業の労務管理としての意味を併せもつものであった。したがって,制度の対象はあくまでも女性だけだった。

https://kotobank.jp/word/%E5%8B%A4%E5%8A%B4%E5%A9%A6%E4%BA%BA%E7%A6%8F%E7%A5%89%E6%B3%95-1303944

また1970年代にはアメリカから始まったウーマン・リブ運動の影響や、「国連婦人の10年」(国連により1976年から1985年と規定)をきっかけに、日本でも「女性も男性と同じ権利を得られるべきだ」と主張する運動が起き始めていた。そして1979年に女子差別撤廃条約に日本が署名し、1986年に、多くの読者も知っている男女雇用機会均等法が施行されたのである。昭和(1925-1989)の最後にこのように法律的に勤労における男女同権のルールが作られるに至った。

そして平成時代になり、多くの女性がキャリアウーマンとして総合職をはじめとして様々な分野で大いに活躍するようになっていったのである。

昭和末期~平成初期の働く女性
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2. バリキャリ女子

ここでバリキャリ女子について説明する。基本的にシンプルな定義としては「バリバリ働くキャリアウーマン」のことを指す。正確な年数などは分からないが調べてみた限りは2000年代後半にはもはや出てきた言葉だったようである。

CanCamの記事によると、バリキャリ女子は:

1.仕事が好き
2.効率のよさを重視
3.人に頼らない
4.自分軸をしっかり持っている
5.美意識が高い

以上の5つの要素を持っている。

実際のところは原則として年収500万以上とか、思考回路が男性的だとか管理職や経営者を目指すなどキャリア志向だとか細かい条件があるようであるが、特徴として強い就労意識と美意識があるというのが特徴である。

平成末期から令和の働く女性
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言うまでもなく、バリキャリ女子が出てくる前の世界とは、会社や省庁、またはアカデミアのような学術機関についても、管理職というか上級の職はほとんど男性が占めていたのは間違いがない。そういう点では、セクシャルハラスメントなどの深刻な問題もあっただろうと察するが、基本的にはバリキャリ女子たちは、男性上司・先輩の影響を強く受け、職業人としての成長を遂げてきたケースが多いというのは容易に推測できることであり、確実に多数のケースでは事実として当てはまるであろう。そして時代は、次のそのバリキャリ女子達から指導を受けてきた男性社員たちの世代が始まっていくのである。

3. バリキャリ男子の出現

そしてバリキャリ女子の後に、バリキャリ男子が出てくる。「バリキャリ男子とは?」と怪訝に思うのは当たり前であるが、要はバリキャリ女子が上司や先輩で、その指導や影響を受けることにより誕生した、誤解を恐れずに言えば女性化している男性社員たちのことである。前章でも記述しているが、バリキャリ女性のこれまでのむくつけき男性社員たちとの違いは、基本的には女性であることと、美意識が高い事である。
 女性であることとは何かと。ジェンダー平等の時代に何を言ってるのかという話もありえるだろうが、女性は男性とは基本的に様々な気にするところが異なる。また生理があったり、女性ならではの様々な事情がある。当たり前であるが現時点では、女性は上半身裸で天下の往来や職場を歩くわけにもいかない。男性は捕まらないのにである。女性は男性と異なり、様々な点を気を付けながら生活している。男性は男性で髭を剃ったりなどある程度の気遣いはあったが、女性、特にバリキャリ女性はその比ではなく服装や化粧、様々な事を考えて、それなりに課金をして生きているわけである。彼女らバリキャリ女性は、いわゆる旧来の男性達から主に指導を受けて成長してきたので、男性の考え方や習性についてそれなりに継承している。しかし並行して、女性ならではの感覚(美意識など)や習慣は保持しており、さらには男性から継承した文化と融合させて生活習慣を形成しているところがあるだろう。そんな彼女らがついに管理職や経営者になり、若い男性の部下を獲得して指導をするようになったら、その男性部下たちは彼女らバリキャリ女子の文化を継承していくことになるのである。
 そんなわけで、バリキャリ女子の感覚を引き継ぎ、また彼女らの機嫌を損ねないように調整してきた、小綺麗な男子達が今の時代どんどん増えている状況になる。彼らはとにかく清潔感に気を付け、女性が気にするようなことを自分も気にするようになり、どことなく趣味の一部も女性上司・先輩たちの影響か女性化しており、さらには化粧をするようになった若手男性社員も増えている状況である。それはマーケットを見れば大変分かりやすい。

https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20220609-OYTAI50002/

国内市場全体(1.2兆円程度)からみれば、まだまだであるが男性向けスキンケア化粧品などの売り上げは10年前とくらべて程度1.5倍の額になっている。つまり男性の美意識が上がっている状況にあり、またより適切な言い換えをすると、美意識が要求されている時代になってきたともいえる。ジェンダー平等が言われ、男性がほとんどだった企業や省庁における総合職、大学における上級の教員職などに女性が増えてくるようになった結果、女性の上司・指導者が増え、結果として女性的な価値観を男性も理解し、学び、適応していくことが求められるようになっていった。その結果、もはやバリキャリ女子の男性版というか男性継承者というか、美意識が高い小綺麗で女性的な価値観も理解しつつあるバリキャリ男子が登場してきているのである。

そのような状況になると、今度は中高年の男性もまたその美意識に適応しようと努力するようになり、上のリンク先の記事のように、メンズコスメの購入者も増えている状況である。
 いわゆる就労する世界において女性の価値観がどんどん取り入れられてき、男性もまたそういう点では女性化していく時代がこうしてやってきているということになる。そういう点では、もはや外見を小綺麗にするだけにとどまらず、様々な習慣もまた女性がやってきていたような事柄が取り入れられてきており、ある種「女々しい」男性も増えていると言えるかもしれない。ただそれが悪いのかどうか。本稿ではそこまでの議論はしないこととしている。

4. 終わりに

男性は長く化粧品などを女性のようには使おうとはしてこなかった。それは男性優位社会では、男性に対してそのように外見の見てくれを化粧をすることで良くするということを要求していなかったからである。しかし平成から令和と女性の指導者が増えてきて、女性が強い社会にこうして転換されてくることにより、結果として美意識の高さを男性も要求されるようになり「女性の生理的うけつけ」を配慮した外見および言動が求められるような時代となるに至ってきた。そのような今の時代に強い男子層の一つが、以前に記事を書いた陰キャイケメンたちになる。

彼らは男性からはいわゆるチー牛と言われている層の男性と見分けがつかず、男性コミュニティやカーストでの評価は何かしらスキルや業績がない限りは決して高くはないが、女性からは明快に他の男性陣と識別できることが多く、肌や目が綺麗で全体的に中性的な外見ということで一部の女性からは以前から人気があった。彼ら陰キャイケメンは女性が強くなり、今のような男性にも美意識が要求される時代に、とても強い存在となり得るだろうと予想される(いや、すでにその強さを存分に発揮できている状況かもしれないが)。
 そしてここ最近、男性アイドル、特に韓国からのアイドルの外見が現実味がないほどに良い人たちが増えているように思える。

米国ホワイトハウスで記者会見を行うBTSメンバーたち
BTS V (キム・テヒョン)氏
https://www.elle.com/jp/culture/celebphotos/g42342930/bts-v-best-gallery-221227-hns/

もちろんBTSなど韓流スターというか韓国アイドルたちが出てくる前も、日本では様々な美形男子、滝沢秀明氏、木村拓哉氏やジュリー氏などがいるにはいたわけなのだが、今、一般男性陣への美意識の要求が高くなっており、そういう点で今時の韓国アイドルなどの存在はかなりの影響力を社会にもたらしているのではないかと考えられる。
 社会における強者の組成が変貌すると、それに伴い、一定の属性の人々の文化習慣などもそれに合わせて変化していくものであり、バリキャリ男子の出現は、今の社会の世相を大いに反映しているものと私は考える。一つ思うこととしては、バリキャリ男性達は内面も十分にバリキャリ女性の影響を受けていることになり、立身出世などより自分の生活や今の課せられたタスクを楽しむということを重要視することは当然あり得るだろうし、また恋愛結婚についても、なんとも女性的な価値観を重視するようになるだろう。同様な価値観を持つバリキャリ女性がパートナーになることが多いだろうとも予測されるところであるが、教育費の高騰と生活費や遊興費の値上がり、それでありながら必ずしも報酬が連動した上がり方ではない現状などを考えると、バリキャリ夫婦の場合はDINKSが増えることや子供を得るにしても1人だけ、多くても2人というようなケースも増えるのではないかとも思っており、この層の少子化は他の層より進むかもしれないとは思っている(もちろん私のスペキュレーションではあるが)。
 最後に、私は一介の分子生物学者に過ぎず、こういった社会的世相を研究することについては専門家ではない。そういう点では、色々な点で調査不足であったり、誤解をしている部分もあるかもしれない。ただ色々な女性陣などとも多数話をし、状況などを聞いてみる限りにおいては、バリキャリ男子的な存在は確かに出現してきて、増えているということに同意をする人達ばかりであった。本記事はここまで読むことができたように無料とした。それなりに多くの人たちに読んでもらい、何かしら今の社会を生きていく上で役に立てられるようなところが少しでもあれば幸甚である。以下は投げ銭をしてくれた人たちへの御礼になる(マガジン購読者も見ることができる)。

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