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ことばとわたしの生きる道

5月18日は「ことばの日」でした。日頃からことばを大切にしながら生きているので、これを機にことばについて書いてみようと思います。
書き終えたときには「ローマ字の日(5月20日)」も終盤になってしまいましたが、、笑

ことば、特にライティングで使うことばとは、切っても切れない腐れ縁のような関係を築いてきました。
子どもの頃はコミュ力があまりにも乏しく、自分の意思を伝えるのが非常に苦手でしたが、手紙や作文ではすんなりと想いを表現できることにいつしか気がつきました。特に友だちと交換する手紙では彼女たちへの重い愛をついついことばに乗っけすぎてしまい、相手との温度差を感じて「もしや引かれているのでは?」と思い悩むほど。小学校低学年のときに送った年賀状に、端から端までびっしりと想いの丈を綴って驚かれたのが軽いトラウマになっていたのかもしれません(受け取った側もトラウマになっていたかも笑)。大人になった今でも、SNSとリアルの差がありすぎる自分に凹むことがあったりします。

そんな背景もあって、文章を書く行為に無意識に力が入ってしまうことに対しコンプレックスを感じていた時期がありました。もっとさらっとした、削ぎ落とした伝え方ができればいいのに、と。
今思えば、話しことばでは伝えたいことの半分も伝えらないもどかしさを、書くことで解消したかったのでしょう。だからこそ、齟齬が生まれないよう丁寧に表現する癖がついたのだと思います。

そんなわたしがたまたま内定をもらった広告代理店に入社してみたら、希望したわけでもないのに制作職を拝命しました。新卒の8割以上が営業職と聞いていたこともあり、当然自分もそのうちの一人になるだろうと思い込んでいたためまさに青天の霹靂。こうして、ライティング業務を含むディレクターとしてのキャリアが突拍子もなくスタートしたのでした。

媒体は某結婚情報誌。自分のつくった記事が雑誌として世の中に送り出されると知ったときは、さすがに心が躍ったものです。
半年ほどの研修期間中、とにかく見本誌を読み込んだり、先輩方の原稿をリライトしたり、自分で一からコンセプトやレイアウト、コピーまで制作してみたり、取材のロープレをしたり、、制作の基礎をこれでもかと叩き込まれました。

そんななかで、思いも寄らずハマってしまったのがコピーライティングでした。限られた文字数の中で、いかに結婚式場やブライダル商品の魅力を表現するか。情報を届けたいターゲットに向けてどんな伝え方をするか。
文章の構成を考えているときも、辞書を引きながらしっくりくる表現を探しているときも、書いた文章を添削しているときも、それまで経験したことのないワクワク感に包まれていました。初めて自分の書いた文章が世に出たときは、うれしくてうれしくて思わず記念撮影したのを覚えています。

新卒1年目のわたしは、丁寧にことばを紡ぐことや、想いが滲み出るほどの表現が肯定される世界を知りました。自分なんかよりもずっと熱を込めて、たった一文、たった10字に命を懸けている人がすぐそばに大勢いる世界です。
長きにわたって心の奥に潜ませていたコンプレックスが、じわじわと溶けて消えていくのを肌で感じました。むしろそのコンプレックスこそが、ことばと向き合う自分のキャリアに火をつけたのかもしれません。

一気に視界が開けると、コピーを書くことに夢中になりました。お客さんや先輩に褒められて舞い上がったと思えば、自分は100点だと思ったものが却下になってがんじがらめになったり、感情が忙しい日々。
クリエイティブには正解はないけれど、あくまで効果を求められる広告記事であることが難しいところでした。とはいえ、もんもんと悩みながらことばを磨き上げる作業は、いつだって楽しいものです。

転職をして当時とは全く違う領域にいますが、どんな仕事であれ、コミュニケーションの基盤であることばの扱いはとても大切だと感じます。
チャットツールで仕事を進められる便利な時代になりましたが、ことば選びの匙加減でその進度に影響が出たり、チームやクライアントとの関係性まで変わってしまう可能性も。制作物においても、今ではweb上に掲載する文章がほとんどですが、いつでも編集したり削除できることに甘んじて、ことばへの責任感が薄れてしまっている人が(自分含め)増えているような気もします。

「伝える」ではなく「伝わる」ことば。
一言一句に責任と覚悟を持って、どうせなら読んでいて気持ちのよいことばを、これからも紡いでいきたいと思います。

最後に。これはただの自慢なのですが、、

昨年の30歳の誕生日に、普段は仕事の話などほとんどしない親友のひとりからもらったメッセージ。まさかわたしのことばを好きと言ってもらえるなんて、、この上ない最高の贈り物です。このことばをお守りに、日々妥協することなくことばと向き合っていこうと改めて誓いました。


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