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【保育園に対する社会的要請と対応策~株式会社が運営する保育園の可能性とリスク~】

【保育園に対する社会的要請と対応策~株式会社が運営する保育園の可能性とリスク~】

こんにちは。LiCドキュメンテーターの宮田です。
今回は10月30日に開催したWSについてお伝えしていきます。

WSの目的と開催場所、参加メンバーについて

2019年10月30日(木)
渋谷道玄坂にあるカフェ併設の本屋さん、
BOOK LAB TOKYOにて

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【保育園に対する社会的要請と対応策】と題し、保育園の存在意義や
「組織的・計画的保育」の必要性や実現のための方法について
考えていくセミナーを開催しました。

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参加メンバーは、幼児施設経営者、保育士、設計建築家、理学療法士、保育園人事採用担当者などなど。幅広い職種の方々にお集まり頂きました。

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【株式会社に幼保運営の規制緩和から考えられる目的の変化~当初の目的と今のニーズ~】

当初その目的は何だと考えますか?
そう、今も問題にあがる「待機児童」です。

2000年ごろから特に待機児童がニュースでも
取り上げられるようになりました。そして、それは今でも続いています。

なぜ、少子化と言われているのにも関わらず、
待機児童問題は今もなお健在なのでしょうか・・・・?

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株式会社が乳幼児教育を運営できるようになったとき、
国の目的は「待機児童対策として」

今、待機児童の増加の裏には、働くことに対する選択肢の幅の広がりや、
それを認める日本の社会文脈があるのではないでしょうか。

金銭的に苦しいからやむ終えなく働くという、選択肢のみではない。
子どもを産み、育てていくなかでも、これまでと同じように「働きたい」

「自分にしか出来ないことをしたい」「働くことで繋がりを持ちたい」と

自分の人生のキャリアを考えたとき、選択肢の幅が昔よりも広がり、
働くニーズが高まってきているように考えます。

【株式会社に幼保運営の規制緩和から考えられる目的の変化~未来を見据える乳幼児教育の文脈から~】

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更に、近年
「乳幼児時期の育ちがその後、
 成人になったときのEQ (非認知能力)に影響がある」

「乳幼児時期の経験が人格形成の土台だ」

「幼い頃に豊かな実体験や対話の経験があると、
 その後の生きる力に繋がっていく」

といった、乳幼児時期の育ちを重んじる考えが日本でも増えてきています。

特に、この先20年後今の子ども達が大人になり、
日本の未来を担う人材となって社会に存在するとき

どの様な力が必要なのでしょうか?

どんな社会になっていると思いますか?

どんな風に人生というキャリアを築いて行って欲しいですか?

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私たちlearning in context は選択肢が広がり、自分たちで環境や仕組み、
仕事、ライフスタイルを創っていくような、
クリエイティブソサイエティ(創造的社会)になってくると考えています。

そして、その中で一人ひとりが自分らしく幸せに生きていくには、
なにが必要でしょうか?

例えば、それは
【自分で考え、選び、決定する力】【試行錯誤する力、表現力】
【対話と内省】【学びの実践共同体であること】だったりして。

すると、これからの保育園の目的として、
「待機児童の緩和」と言う「場の社会的存在価値」に加えて、

「子供の学びの豊かさ」を意識した
「保育園の質の向上」を目的としていく事が、
私たち大人の使命ではないでしょうか?

※「保育の質の向上」と言うと、今が悪くてというイメージがあり、
実は好ましくないなと、最近考えています。
なぜなら、これまでの日本の教育には、文脈から読みとくと、国が目指した人材育成とマッチしており、それによって全国民の識字率の高さや、これまでの教育で育った大人達が築いてきた、経済の発展と言う実績があるからです。が・・・一般的には認知の高い言葉であり、他にいいなと思う言葉が思い浮かばない為、今回は「向上」と言う表現を使用します。


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そして、これからの文脈を読みとくとき、
今までの教育アプローチでよいのでしょうか?
と言う疑問が沸いてきませんか?

更に国が2018年から施行した保育指針はとても素晴らしく、
未来を見据えたアプローチの乳幼児教育指針となっているのです。

※学習指導要領は分厚いですが、
是非お時間あるときに少しずつでも読んでみて下さい。

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【新教育指針、現場現状はいかに?】

さて、これまでの話を元に、
日本の現場を深掘りしていきましょう。

今回参加して下さったメンバーで、
社会福祉法人の認可園に勤める方からは(以下、社会福祉法人=社福)

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「なぜ株式会社って疑問があり参加しました。社福にだって、研究会は多くあり、先進的な教育をしているところもある。」

株式会社で保育園を立ち上げた方からは、

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「理想の保育園を設立する際、社福は制度や手続きが大変で。。。
 設立する手段として株式会社の方が簡単であり、
 開園までのスピード感が速い為選んだ。」

「実際、社会福祉法人では、国の制度が時として自由度を奪い、
 実行できない教育アプローチや運営が今はあるように感じる。」

とのこと。

ここで、株式会社が保育園を運営する可能性のひとつとして、
【より自由度の高い保育実践を実現するスピードが速い】
という事が挙げられます。

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なぜ株式会社で働いているのか?実際に聞いてみると

株式会社で実際に働いている保育スタッフ二名に、
【なぜ株式会社の保育園を選んだか?】その理由を尋ねてみると・・・

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「保育理念に魅力を感じて入社したため、法人格を意識したことはありません。これまでの自分の経験を活かして、子ども達と過ごせる職場、加えて無資格でも、正社員として働ける場としてあったのがここでした。」

「自分は子どもが好きだからこの仕事に就いた。前者と同じく法人格は意識していなかった。前職は違う仕事であったが、子どもが好きで、子どもに携わる職に就きたかったし、
この様に、多様なバックグラウンドをもつ人と関わり、育つことは、これからの社会を生きてい子ども達にとっても、良いことだと思っている。」

これに対して、有資格者からは、【今後資格を取るつもりはありますか?】とクリティカルな質問があり、

「実際に働いてみて、保育の勉強や専門性の必要性を感じた。だから、これから取ろうと考えています。誰かに強制的に“資格を取りなさい”と言われたのではなく、自ら必要性に、気づき資格取得を志したことは良かった。」

この時、この文脈から2つの問いが
浮かびました。

1、【どの様な時に保育の専門性の必要性を感じたのか?】

2、【資格取得に至るまでの内発的動機付けを、働くまで感じられるような仕組みがあると、保育現場における事故やリスクは変化するのか?】

皆さんも是非、一緒に考えてみて頂けらと思います。

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今回のセミナーのまとめ

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株式会社か運営する保育園の
【可能性として考えられること】
・より自由度の高い保育実践を実現するスピードが速い事で、
 未来を生きる子ども達にとって、
 学びの深い乳幼児教育のアプローチできる。
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・多様なバックグラウンドをもつ大人との関わりから、
 多様性が身に付く環境が整う。
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・資格取得の有無に関わらず、
 子どものための仕事に就きたい人が正社員として働くことができる。
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・日本の乳幼児教育の為のメソッドを研究、開発するため資金運用が可能である。
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・乳幼児教育の仕事の魅力に出逢い、その人の新たな可能性が開ける。
 時として、資格取得と言う、専門性を高める道のりへ進み、
 より深い知識を持った人が増える。つまり、人材不足の保育業界において
 問題可決における可能性を生み出している。


株式会社か運営する保育園の
【リスクとして考えられること】
・資格取得取得の有無に関わらず、正社員として働ける為、
 保育の専門性に乏しい人材が職場として偏ってしまうかも知れない。
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・乳幼児教育をビジネスとする際、これからの社会的価値は何か
 そのモノサシをしっかりと定め、選ばれる園で無ければならない。

今回のセミナーでは、
社会的価値の高い園のモノサシ(定義)として、
【子どもの学びが豊かであること】があがりました。

ここも深掘りしたくて。
じゃあ、この【子どもの学びの豊かさ】とは
どの様なことをあなたは意味していますか?

少しイメージしてみてください。どんな子ども像でしたか?

その想いを皆さんと対話しながら、
深めていけたらといいなと、感じています。

今回参加してくださったメンバーの皆様、
最後まで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。


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