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月桃記

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調 | つりあいがとれる。ととのう。ととのえる。 音声・文章などの展開に感ぜられる気分。
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#月桃記

調

調

“ 調 ”
月桃を始めるときにこの場所の軸にしようと決めたこと

重なり合って散らばっていたひとつひとつの考え事たちが
きれいに整列してくれたから
たくさん言葉を並べなくても文章をつくることができるわたしを取り戻した
考え事が減ったわけではないのだけれど心地よい

自分を調えた

そういえば父親がはじめて入院したのが数日前のはなし
怪我だから大したことはないのだけれど
なにせ退屈に耐えられぬ人だか

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#夏 のはなし

#夏 のはなし

びっくりした

あの子のnoteを読んで
夏のはじまりを愛らしく描いていて好きな文章だななんてことを思っていた
一方的に知っているだけの子なのに その言葉選びのおかげか
“あの頃友達の心の中”みたいでうれしくなったりするなんてことも思っていた

そんなことを思いながらスクロールを続けると
末尾に我が物顔で「あなたへのおすすめ」が流れてくる
そしてそこには
「#夏」の記事がとりどりのタイトルでずらー

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雨の日、わたしと本

雨の日、わたしと本



朝に月桃を開くようになってから
涼しい時間は 読みたい本とノートと辞書を抱えて
外の机で読書に勤しむようになった
街ゆく人と挨拶をしながら出会う言葉たちは
心に涼をもたらしてくれる

夏は俄雨に降られることが多い
降ったり止んだり
強くなったりやわらかい雨になったり

今朝も目が覚めると外はザーザー降りだった
月桃に着いて子どもたちと朝の挨拶を交わし終えるころ
そろそろ雨もあがったかと
いつ

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金曜日、雨の夜、若者たち

金曜日、雨の夜、若者たち

霧雨の夜

向こうから
自転車を漕ぐ“いかにも”な三人の若い男たち
馬鹿みたいに大きな声で
愛の歌を歌いながら
わたしの横を過ぎていった

おい、青春だな

なんて思いながらニヤついていたわたしは
もうあの頃には戻れないということでよいですか

若者よ、
雨だったから許せたんだぞ
まだ21時だったから許せたんだぞ
深夜だったら、、!

、、許せてしまったかもしれんな。
なんならカメラ向けてたかもし

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余白に含まれるもの

余白に含まれるもの

立川談志が手塚治虫について話す番組を観た
昨日、再放送していたのをたまたま観たのだけれど

久しぶりにテレビ画面に釘付けだった
あの語りに聴き入っていた
ああいう大人は今どこにいるんだろう
居なくなってはいないはずなのに

呑みこんだことばに
あの間に
あの瞳に
一番伝えたかったことがあって
それがわたしにも分かる
ああ、これがすべてなんだと伝わる

そんなことを語り部がいう意味

簡単なことばは

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所有する、とは 、大人になる、とは

所有する、とは 、大人になる、とは

いろいろのものを手放したい
最近よくわたしの中にやってくる気持ち

そこにあるものがわたしに所有されている
、、、
これがどうもむずがゆい、なんかいや
手放したい衝動に駆られる

一方で
所有させないで欲しいというのは
責任逃れな気もする
そもそも所有しているという考え方も少々傲慢だなと思うのに
わたしのものではないままそこにいて欲しいなんて
わがまま極まりないよなあ
少女漫画に出てくるあの最後に

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ソウイウモノニ ワタシハナリタイ

ソウイウモノニ ワタシハナリタイ

久しぶりに時間を取ってきちんとSNSを見たけれど
やっぱりなんだか肌に合わないのです
見れば見るほどに飽きてしまうし
それなのに
本を読むエネルギーまでも吸い取られてしまう

お店のSNSもほどほどに無理なくやっているのだから
他人から見れば
じゅうぶんに離れている側の人間なのだろうけれど

なんかもっとこう、、、
無理矢理背伸びさせたがってくる媒体だったり
個人の感想を世間の感想みたいに表現しち

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子どもたちの生きる世界がきらめいてみえるのは幻想なのか

子どもたちの生きる世界がきらめいてみえるのは幻想なのか

子どもたちの下校の時間
だれかの泣き声が聞こえている

まだ小さな子どもの声らしい
どうしたのかと思っていたら
一度通りすぎたランドセルの別な子が
「早く来て!ほら帰れるよ!」
と。

こういう景色が日々目に入ると
なんだか心が清らかになるんだよな
なんて雑な思考を巡らせていたとき
さっきの“別な子”に
わたしは目をみはることとなる

「ほらいくよ、涙、流さないで!」

え、なんて言った??
“泣

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空

最近「空ける」によく出会う

予定を空ける
書棚を空ける
行を空ける
間は “とる” だったかな

「空」という文字が好きだと思う

何もないがある

そんな特別な感じが好き

限られた範囲を少し空けると
いろいろのものが流れ込んでくる
きみたちは今までどこにいたのかと胸が躍る

空いている人が好きだし
空いているものが好き
空いているところに居たいし
空いている人でいたい

お昼ごろにいつもの喫

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読みたい本がわからない

読みたい本がわからない

五月になると
多くの日本人に忍びよる五月病というやつ

もれなくわたしの元にも
その足音が聞こえている
心の落ち着かないのが
自分でわかる

心の騒がしいときは活字を欲す
読書はわたしの心を
穏やかに 優しい方法で
鎮めてくれる

なのに
読みたい本がわからないことがある

藁にもすがる思いで
手当たり次第に書物を開いていく
どの文字もが
手もとからすべりおちる

連鎖反応のように
次第に心のざわ

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あたらしいわたし

あたらしいわたし

風が吹いて
木々が揺れる
鳥の囀りがわたしの耳に届く

目を瞑って外側に心を向ける
どこかで水の流れる音がする

わたしは自然の中のひとつだとわかる

知恵をもつ生き物でよかったと思う
生かされていることをわかるヒトでよかったと思う

平和な場所に暮らしていることが
わたしにとってこの上ない幸せだとわかった

そんなふうに、今この身体が云っている
こんな日こそ
私史上に記録せねばならない日

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出会いの春

出会いの春

雨の日は音楽は流さずに
外からの音を流しこむ 今日の月桃
雨音と文字はなんでこんなに相性がいいのか

出会いはいつも唐突で
わたしの時間では
ほんのひと時で はじめましての瞬間は終わってしまう
あの話もしたかった、これを聞こうと決めていたのに
なんてあとからたくさん思い出されて
新しい出会いの喜びに 心がきゅっとなる

はじめての瞬間は 確かにほんのひと時だけれど
これからのすべての時間のはじま

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言語化、、、可視化?、、表現のこと

言語化、、、可視化?、、表現のこと

言葉にするとかしないとか
できるとかできないとか
そういう事を何度もこのnoteに綴りながら
考えてきた

今日、楽しみにしていた展示で
一瞬だけ言葉に対して晴れ間が見えた
、、ような気がしたから
霧の山道からほんのひと時だけ雲が下になる瞬間みたいな
見えたあの空を忘れる前に
必死に脳裏の画を引き戻しながら 今日また綴る

わたしが想いを言葉にすることを躊躇うのは
伝えきれないもどかしさに敗北して

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あたらしい空気

あたらしい空気

どうやら町の子どもたちに新学期がやって来たみたい
あたらしい空気が流れ始める

店先の木香薔薇が満開になったり
販売している本が少なくなっていたり
揺れる植木を眺めながら風を見たり

どうして新学期とか新年度とかいう言葉は
こんなにもあたらしい空気を纏うのか
悪くない。なんて思ったりして過ごす

この前お客さまが貸してくださった漫画
よかったんだよなあ今日読み返そう
って思うのは今朝で3日目だった

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