見出し画像

離れて暮らす長女の家出から、私と一緒に暮らすようになるまで

家出をした娘(当時5年生)の精神状態が心配だったので、習い事がある日はその場所に行き、娘を見守るようにしました。

ただ、この頃、今まで好意的だったママ友から苦言を呈されました。
「行動を起こした娘に対して、それをどうしてあげる事もできないなら、会うべきではない 」と。
ママ友がそう言うには理由がありました。
家出をした翌日、通常通り学校に行った娘は、家出をして母のことろへ行き、警察が来たことを平気な顔でお友達に話したそうです。

1つ目は、大人や警察を巻き込んで大それた事をしたにも関わらず、何とも思っていない様子がママ友の常識ではあり得なかったこと。

2つ目は、今後も家庭で何か不満や嫌なことがあると、家出をすればいいと逃げ場になってしまうこと。

3つ目は、ここまで娘が行動を起こしたのに、なぜ母親である私が何もしないのかという、ママ友からすると、私に対する呆れた気持ちも垣間見れました。

ママ友の言いたいことも分かりましたが、私はむしろ逃げ道でいいと思っていたし、親権のない私は親権者の同意なしでは何もできない事を分かってもらえませんでした。

ところが、そんな状況がある日一変したのです。

ママ友の言葉が気になりつつも、いつものように娘の習い事を見に行ったところ、娘は見学をしていました。
どうやらインフルエンザにかかり病み上がりで、見学だけしているとのことでした。
しばらく話をしていると、病み上がりですでに夕方なのに帰ってこない娘を、義理の兄(継母の連れ子)が迎えにきたのです。
義理の兄は、私と娘が話しているのをいぶかし気に見て、娘に向かって「だれ?」と質問しました。
娘は正直に「ママ」と答えたのです。

私はそのときとても嫌な予感がしました。
娘と会っていることを、父親にバラされてしまうかもしれないと。

案の定、義理の兄は家に帰ると、娘が私と会っていた事を、父母に話したそうです。
娘は正座をさせられて、父親に怒られたようです。

その日の夜分遅く、すでにベットに入ってうとうとしていると、携帯が鳴りました。
時計を見るともうすぐ日付が変わる頃です。
元夫からです。
私はドキドキが止まらず、震える手足を抑えて、震える声を抑えて、恐る恐る電話に出ました。
元夫はろれつが回っていない話し方で「娘がお前がいいというから、今すぐ迎えに来い!」と怒鳴っています。
話し方で、相当飲んでいるのが分かったので、「こういう大事なことは”しらふ”の時にきちんと話しましょう」と私は言いました。しかし、そんな言葉を元夫が聞き入れるわけもなく、「いいから、すぐに迎えに来い!」と言います。
私は、洋服に着替え娘のいる場所へ車を走らせました。

元夫からのコントロールから立ち直っていたと思っていたのに、足の震えが止まりません。
あの怒鳴り声を聞いてフラッシュバックが起きました。

娘のいる家の前に着きました。時間は深夜の1時を過ぎています。
震える身体、不安な気持ちを必死で抑えながらしばらく待っていると、玄関の鍵の音がしてドアが開きました。
長男や義理の兄が、大きな透明のゴミ袋いっぱいに入った娘の所持品を次から次へと家の外に運んできます。
全部で5~6袋はあったでしょうか。
車のトランクや座席にその袋を詰め込んでいると、娘が玄関から出てきました。
ランドセルを背負って決して嬉しそうではなく、下を向いてとぼとぼと重い足取りです。
父親が娘に対して「早く行け!」と怒鳴っています。
追い打ちをかけるように、「転校手続きすぐしろよ!」と継母の声が聞こえてきました。
2人とも私の前に姿を見せることもなく、家の中から怒鳴っています。話をする余地はまったくありませんでした。
深夜の2時ころだったでしょうか。
静まり返る深夜の住宅街に2人の怒鳴り声は響き渡り、暗闇に吸い込まれるように消え、また静粛に戻る。

そんな理不尽な言葉を浴びせられた娘を、私は抱きしめてから車に乗せ、家に向かいました。

実は、長男が最後の袋を運んできた時に、私に向かって「ふざけんなばかやろう!」と怒りを露わに叫んできました。
そのことがショックでもありいったい何が起きたのか気がかりでなりませんでした。
長男とも学校でたまに会って、いつも笑顔で話してくれていたのに。

後から考えると、「父親にばれるようなことをしやがって、お前のせいで兄妹がばらばらにされるんだぞ、ふざけんなばかやろう」だったのではないかと。
父親の行動を止めることができず、行き場のない怒りと悲しみを私にぶつけてきたんだと思いました。

娘が小学校6年生の2月の出来事です。
あと3週間で卒業式という時期に転校させろと言う継母の言葉が、私には意地悪にしか聞こえませんでした。

この日から私と娘の生活が始まりました。
「いつかは」と覚悟はしていたものの、ある日突然こんなことになろうとは、思ってもみませんでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?