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小さい確実な幸せ「小確幸」を見つけて生きよう。

作家の村上春樹は「小さいけれど確実な幸せ」のことを「小確幸」と名付けた。たとえば、仕事終わりに飲むビールが美味しいだとか、青空の下を散歩するだとか、何の変哲もない小さなことでも、自分が幸せを感じられることこそ、人生には必要だと述べている。

人は「幸せ」と聞くと大きなことばかり想像しがちだ。お金持ちになること、仕事で成功すること、人脈が多いこと、自由に生きられることなど、いつも幸せは自分の手の届かないところにある気がする。お金を稼いでも全然足りないと感じ、欲しいものを買ってもまだまだ欲しいと思ったり、それなりに楽しく仕事をしているのに、もっと上を目指そうとする。

こうした欲求が生じるのは、人が本能的に幸せを求めているからにほかならない。人は誰もが「幸せになりたい」と思いながら生き、幸せになるために今を必死に生きている。しかし、当の幸せは近づいても近づいてもどこか遠くへ逃げていく。ある意味、幸せとは蜃気楼であり、逃げ水でもある。自分が思い描いているところに幸せはないのだ。

幸せは小確幸の集まり

小確幸という言葉を聞いたとき、普段の生活の中で幸せを感じる瞬間を思い浮かべてみた。私は幸福論の研究家ではないし、幸福論者というわけでもない。幸せは単なる結果であり、それを感じる過程こそ大事なのだと思っている。だからこそ、日常の中で自分がどこに幸せを感じているかについては、ハッキリとわかっていなかった。

改めて「幸せを感じる瞬間」を考えてみると、私の幸せはまさに小確幸の集まりだった。朝起きて瞑想しているときや、筋トレをしているとき。気持ちいい天気の中、近所の川辺をゆっくり散歩しているとき。知的好奇心が刺激される面白い本を読んでいるとき。仕事の休憩中にギターを弾いて歌っているとき。自分の考えを言語化し、満足のいくエッセイが書けたときなど。

幸福自慢するわけではないが、面と向かって自分の幸せと向き合ってみると、お金や高級ブランド品といった世間一般的に言われている「幸せ」には、まったく興味がないことに改めて気づかされた。元々競争心を持つのが苦手で、あくせく周りを気にしながら生きるのが嫌だったのもあるだろう。

自分が幸せを感じるのは「何でもない日常」であり、小確幸がいくつも集まった結果、幸せを感じているに過ぎない。小確幸もある意味結果論であり、小確幸を集めるためには、とにかく好きなことや楽しいことをするしかない。

幸せな状態は結果でしかない

私は「生きるのは楽しい」「人生最高」というスタンスでは生きていない。幸せを求めたり、リアルを充実させないとと思ったりもしない。めんどくさい相手との人付き合いは一切しないし、結婚とかにも興味がない。すべて人生の流れのままに、身を任せるように生きている。

でもそれは、幸せじゃないわけじゃない。幸せは求めずとも手に入るものだ。それどころか、手に入れようとする必要もなく、自分なりに楽しく生きていれば、それが紛れもなく幸せな状態なのである。よく「幸せは気づくもの」とも言われるが、まさにその通りだ。個人的には気づく必要すらなく、ただ感覚的に楽しい気分になれればそれでいいと思ってる。

小確幸という考え方は、何か大きなことをしないと幸せになれないと思ってる人に対する処方箋となる。お金があるから幸せなわけじゃない。家族がいるから、子供がいるから、結婚してるから幸せだとは限らない。都会に住んでいようが、実家暮らしだろうが、仕事が長続きしなかろうが、幸せを感じる瞬間は必ずどこかにあるはずだ。

自分が不幸だと感じるのは小確幸から目を逸らし、一般的な幸せな状態と自分の状態を比較しているからにほかならない。幸せとは自己満足であり、他人との比較の間に見出すものではないのだ。「人間の悩みのすべては他人から生まれる」とはよく言ったものだ。

自分なりの幸せを見つけよう

普段漠然と「幸せ」という言葉を使っているが、その正体について深く考えたことがある人は少ない。考えるのをめんどくさく感じたり、一般的な幸せを自分の幸せとすり替えている人もいる。お金や結婚が幸せだと大多数の人が思っているのも、自分の幸せと向き合わず、一般的な考えを踏襲しているからである。

もちろん、お金や結婚によって本当に幸せを感じる人もいるだろう。それでも、人生の中で1度は自分の幸せについて本気で考えてみるのも悪くないだろう。もしかしたら、別の幸せが見つかるかもしれないし、自分がどれだけ小確幸に囲まれて生きていたのかに気づくかもしれない。

現代は、仕事や生き方をそれなりに自由に選べる時代となったが、幸せも一人ひとり自分で決められる時代にもなっている。小確幸という言葉は、情報が溢れかえっている現代の中で、自分なりの幸せを見つける手助けとなってくれるだろう。

おしまい。

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