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銭湯


幼い頃からよく銭湯に連れて行ってもらっていた。
家に風呂がないわけではないが広い浴槽ではなかったため、時折広い浴槽がある銭湯に行っていたのだ。
近所の銭湯に行くことが多く、そこには小さいラドン式の風呂があった。
浴室内に一定の濃度のラドンガスをとどめるため、そこの浴室は四角い透明の箱のような形をしていたのを覚えている。ちょうど電話ボックスが三つ分ぐらいのサイズだ。
幼いころの私はそこがお気に入りで他の風呂とは違うスタイルにわくわくしていた、またラドン風呂内の壁には南国の森のような絵が描かれ、よく見るとそこには見たことのない鳥が隠れていて異国の森のようだなと想像を膨らませた。
風呂を上がると食堂があり、そこで決まって醤油ラーメンを食べていた。
食券を番台で買い、それを食堂のオヤジさんに渡すと作ってくれる。風呂で汗をかいたあとの醤油ラーメンは言い表せぬほど旨く感じた。

今でも時折その銭湯に行くが番台の人も食堂のオヤジさんも未だ現役だ、そして私も変わらず風呂から上がったら醤油ラーメンだ。しかし今はそれに餃子とキンキンに冷えた生ビールが加わっている。

とても温かく、どこか懐かしい感じがする銭湯である。


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