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住宅・不動産テック事業成長 虎の巻【カスタマーサクセス編】


みなさんこんにちは。
リブ・コンサルティングの篠原です。

今回で投稿5本目になります。だからなんだという感じなんですが、
気張って参りましょう。今回は住宅・不動産業界におけるカスタマーサクセスのポイントです。

【目次】
・カスタマーサクセスの住宅・不動産業界攻略手法
①    「ここまで言わないと分かってもらえないんですね、、、」
②    初速をいかに生み出すか
③    フランチャイズの取り組みから学ぶ
・おわりに

カスタマーサクセスって重要?


さて、今回のテーマのカスタマーサクセスですが、比較的まだ領域的にも若い分野かと思っておりまして、そもそも業界特化云々にかかわらずあまり体系的にポイントが整理されていないんじゃないかなと感じています。
そもそも日本市場全体のコモディティ化が進んでいく中で、90年代ごろからCRMという概念がかなり日本でも重視されるようになり、SaaS隆盛によるストック収益最大化の中でカスタマーサポートといわれる受けの姿勢ではなく、顧客の事業成功を通じて自社の利益を最大化していくカスタマーサクセスとして近年少しずつ話題に上がるようになりました。
部門として整備しつつ、イクラちゃんのようにチャーンを連呼している方も多いのではないかなと思います。

細かい文脈は飛ばしますが、現状住宅・不動産領域では業界再編が進んでいます。
M&Aの動きも加速しており、小規模事業者の数はここ10年でかなり減少しており、戸建ドメインでいくと上位0.5%の企業が全体の50%超のシェアを持っています。
こんな中で闇雲に新規開拓を続けていても、リストは枯渇し、いずれアカウント数は頭打ちを迎えます。ですので、既存顧客からの収益をいかに高めていくのかということが必然的に重要になってくるのです。

カスタマーサクセスの住宅・不動産業界攻略手法


はい、ということで住宅・不動産業界においておさえるべきカスタマーサクセスのポイントは以下の3つです。

①    「ここまで言わないと分かってもらえないんですね、、、」
②    初速をいかに生み出すか
③    フランチャイズの取り組みから学ぶ

①    「ここまで言わないと分かってもらえないんですね、、、」
色々なサービスのカスタマーサクセスのお手伝いをさせていただいている中での頻出ワード第一位がこれです。
やはりどこまでいってもアナログな業界(詳しくは初稿参照)。結構落とし込みにパワーがかかります。
まだ住宅不動産における営業領域はなんとかなるんですが、特に建設や施工領域のサービスを展開しようとされる方は覚悟が必要です。現場にべったり張り付いて一つ一つの機能や使い方をその場でレクチャーすること○回、、、みたいな世界観です。
ここはそういうもんだと割り切ってこちらが諦めずに粘ることが前提になるんですが、その場合サクセスにかかるコストを見誤る可能性大なのでこれから展開される方やホリゾンタルから攻めて来られる方は特に要注意です。

②    初速をいかに生み出すか
その上で、どこに一番コストをかけるべきかというとオンボーディングです。食わず嫌い的な感じなので一度体感してもらって良さを感じてもらえればその後は利用が進んでいくのですが、そこまでが遠いんですよね。かつ、中途半端に導入から時間が経ってしまうと「これは利用しなくても良いサービスなんだ」という空気感が全体に流れます。そうなってしまうとそこからの挽回はほぼ不可能です。
ただ時間をかけるだけでなく導入初期から全体として利用する流れをいかに戦略的に創り出すのか。例えばの取り組みをいくつか挙げます。

1.     導入に向けた現場説明会
例えば皆さん実施されているであろう現場向けの使い方説明会。実は勝負はその前から始まっています。あるあるの失敗事例でいくと、そもそも参加率が悪いこと、そして話半分に聞かれていること。商談や現地確認を理由に向き合ってくれません。終わったあとに内容もほとんど頭に入っていません。これだとかなり非効率になりますので、対策が必要です。
具体的に何をするかというとまずは導入を決めた経営層から対象者全員参加の徹底をしてもらうことです。サービス導入直後の熱感が高いタイミングで依頼することが重要です。その上で、説明会の冒頭で経営層より直接導入の背景と利用徹底に向けた強いメッセージを話してもらうこと。細かいですがこういったことの積み重ねが大事ということを理解していただければと思います。

2.     現場個人目線のメッセージ訴求
皆さんが使ってくださいと伝えるときに、こんな業務が減りますとかこんな形で売上が上がりますということをよくお伝えされているのではないかなと思います。ただ、やっぱり話半分で聞かれている現場の方には伝わらないが実情です。そんな中で意識すべきは個人目線での具体的なメリットの訴求です。例えば、「残業が減るので夫婦の喧嘩が減ります」「月内目標達成ギリギリのときに顧客の掘り起こしができます」など。ネタっぽくなりますが、そのくらい個人の感情を動かすような伝え方が重要です。

③    フランチャイズの取り組みから学ぶ
カスタマーサクセスという言葉でいくとなかなか紐づきづらいのですが、この業界にはフランチャイズ本部が多数存在しています。そういった本部は自社の加盟店である住宅・楓堂産系の企業に対して利用活性化のアプローチをかなり丁寧にやっています。たとえば加盟店同士の勉強会や情報交換会、優秀企業を決める全国大会など。
いわゆるコミュニティタッチという言葉ができる前からユーザーの活性化に向けたPDCAを回されているので非常に参考になる部分が多いです。特にもっとテック企業で取り入れてもいいなと思うのは、若手向け勉強会です。例えばセールステック関連のサービスを提供しているとしたら各社の若手営業マンを集めて住宅・不動産営業の方法やサービス利用方法に関する勉強会を開催するイメージです。
業界柄、社内で育成の仕組みが整っている企業は多くないですし、コロナの影響もあって他社交流の場を持てていないので結構喜んで参加してくれます。定例企画化を進め、「若手はとりあえずあそこに参加させておこう」という流れになれば、今後の新入社員すべてに利用促進を行うことができます。

おわりに
ということで、まだまだ領域的にも新しいカスタマーサクセスのポイントについて業界ならではの文脈に沿ってお話させていただきました。
すこしでも皆さんの参考になれば幸いです。

ありがとうございました。

株式会社リブ・コンサルティング
住宅・不動産インダストリーグループ
マネージャー
篠原健太

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