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『目の見えない人は世界をどう見ているのか』伊藤亜紗

幼いころ目の手術をして、しばらくの間、左目が見えなかった時期がある。

手術の前は見えていた左目が、目を覚ましたら眼帯でおおわれて見えなくなっていた。
目を覚ました時は、そういうものかと思って落ち着いていた記憶がある。

けれど、退院後も眼帯をして生活する中で、右目も見えなくなるかもしれない、と、だんだん不安になってきた。
見えなくなった時のために、と、わざと両目をつぶって家の中を歩いたり、食事をしたことがある。

幸い順調に回復し、両目が普通に見える生活に戻ったけれど、あの時の不安な気持ちと、目の見えない世界で過ごす不思議な感覚は、いまも残っている。

見えない世界で過ごした不思議な感覚を、どう伝えられるのか考えてきた中で本書を読み、自分がわざわざ言語化する必要はないと思った。そして、より深く「目で見ない世界」を知ることができた。

目が見えないことは、視覚以外の感覚をつかって世界をつかむこと。
とても、やわらかで自由な世界を持つこと。

それは、ダイバーシティが必要とされる現代の世の中で、普通に受け入れられていい感覚だと思う。

<感謝の気持ち>
kei 様、素敵な画像ありがとうございます。
この本を読んで想像した、やわらかな世界のイメージにぴったりだと感じて使用させていただくことにしました。


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