睡眠不足は万病の元(3)
今回は、前回の「睡眠不足は万病の元(2)」という記事の続編として、実際に生活習慣を整えるための具体的な方法をご紹介します。
前々回の「睡眠不足は万病の元(1)」という記事で本人の適切な睡眠時間が分かったかと思いますが、今の生活とのギャップが結構ある人もいたかと思います。
例として上の画像のような状態を挙げますが、この状態からいきなり理想とする生活習慣にしようとしても上手くはいきません。
習慣化するには移行期間を長く取る必要があるからです。
本人の睡眠時間が足りていないと分かっていても、園や学校、習い事、仕事に家事、他の家族との兼ね合いなどなど、色々な要素が絡まり合って理想とする生活習慣とは程遠い状態が続いてしまいがち。
そうすると、自分には無理なんだと思ってしまい、理想とする生活習慣にすること自体を諦めてしまう人が多いのです。
本来、習慣とは、長い時間をかけて繰り返し行動し、それが当たり前の状態になったもののこと。
ですから、ある程度生活習慣が出来上がっている状態から、理想的な生活習慣へと整えていくのは、ものすごい時間がかかるものなのだと長期戦の構えでいてください。
それでは、具体的にどうすれば良いのか。
まず手始めに、本人の1日の生活を1週間分だけ記録してください。
起床、ご飯、園や学校などのお出かけ、お風呂、就寝という簡単な記録だけで良いです。上の画像のようなものですね。
そうしたら、全ての項目で平均を取ってください。
上の画像のように平日5日は朝7時起床だけど、土日は昼12時起床だったという場合。
((朝7時×5日)+(昼12時×2日))÷7日=朝8.4時
1週間を平均すると、だいたい毎日朝8時半に起きているということになります。
実は、この1週間の平均からのズレが大きければ大きいほど、身体にはストレスがかかってしまうのです。
でも、疲れている時は、意識して睡眠時間を増やした方が良いって言ってたじゃんと思ったそこのあなた。
前々回の記事の内容をちゃんと覚えていてくださって嬉しいです。ありがとうございます。
そんなあなたに是非、思い出していただきたい大事なことがもう一つあります。
それは、「発達にでこぼこのある子にとって大きな変化はストレスになる」ということ。
平日の起床時間は、週の平均より1時間半のズレで済んでいます(これでも十分大きな変化です)が、休日は3時間半のズレとかなり大きな変化です。
これでは、増やした睡眠時間でせっかく身体が回復しても、大きな変化によるストレスで打ち消されてしまうのです。
発達にでこぼこのある子だけでなく”普通”の人にも言えることですが、休日たっぷり寝たはずなのに、何故か眠気や疲れが取れなかったという経験をした方は多いはず。
増やした睡眠による身体の回復を、変化によるストレスで打ち消してしまっていると考えると納得ですよね。
疲れを取るために睡眠時間を増やしたいのなら、土日に5時間ずつ一気に10時間増やすのではなく、毎日30分ずつ1週間で3.5時間増やしてください。
意外かもしれませんが、その方が疲れが取れます。
以上のことを踏まえて、具体的にどうすれば良いのか説明していきますね。
まず最初に、週の平均との差を”少しずつ”少なくすることを目標としてください。
いきなり大きく減らすのはNGです。続かなくなってしまいますし、大きな変化はストレスになるからです。
土日だけ起床時間が遅いなら、いつもより30分だけ早く起こします。減らした分は、睡眠時間が足りていないだろう平日に回してくださいね。
起こす時、「早く起きなさい」という声かけをする方が多いと思いますが、この声かけはあまり意味がありません。
早く起きろと言われて起きられるなら、いつだってすんなり起きてます。そうでないなら、「早く起きなさい」は本人にとってあまり意味のない声かけということです。
ですので、本人の意識より先に身体の方を目覚めさせます。
まずは、カーテンを開けたり電気を点けて部屋を明るくしてください。目への刺激ですね。
続いて、好きな音楽を鳴らす、ゲームで釣る、テレビをつける、こちょこちょする、話しかけ続ける、身体を揺らすなど、こちらがずっと続けられて本人がスムーズに起きられそうなものを試します。こちらは耳や身体への刺激。
最初のうちは起きてくれなくても構いません。土日なので気長に。
実際にやってみると分かると思いますが、「早く起きなさい!」とイライラしながら大声で叩き起こした時と、上記の方法で起こした時の機嫌の差は天と地ほどあります。
ストレスを出来るだけ減らすために少し早起きしてもらわなければいけないのですから、是非ともストレスが少ないだろう方を選択してください。
でも、いつも「早く起きなさい!」と大声で叩き起こしていたのなら、大声を止めるところから始めてくださいね。急な変化はストレスの元です。
そうやって起こすことを毎週土日に繰り返していくうちに、寝起きにグズることがだんだんと少なくなってきます。
30分早く起きることに慣れてきた証拠です。
慣れてきたら、さらに30分早く起こすようにして習慣化を目指します。
最終的には平日と同じ時間帯に起きるのが理想ですが、少しだけなら土日長めに寝ても大丈夫。
1時間くらいはいけそうな気がしますが、どれくらい長めに寝ても大丈夫かは人によるので、本人の様子を見ながら決めてくださいね。
意図的にゆっくりにしているので当然ですが、この方法で快眠の効果が出るのはゆっくりとしたものです。
ゆっくり過ぎて、本当に効果があるのか不安になったりすることもあるだろうと思います。
何事もそうですが、何のリスクもなく効果がすぐに出る方法が他にあるのなら、この世の中、睡眠不足で悩む人がこんなにも多いはずがありません。
もちろん、効果がすぐに出るお薬を出してもらうなど医療機関に頼ることも出来ますが、費用面でも長期間は頼りたくないですよね。
今回の方法は、国や医療機関が提唱していることからも、快眠に効果があると広く認められている方法です。
具体的なやり方が分からないと難しく感じてしまったり面倒だと思ってしまう方法なので、やらない選択をしてしまう人が多いですが、是非とも自分で出来そうなところから、自分に出来そうな範囲内で始めてみてください。
こんな簡単なことからで良いのかな、なんて思わないでくださいね。
どんなに簡単なことでもずっと続けるのは大変ですから、始めてみようかなと思えただけでも一歩前進です。
実際に始められたら、たくさんの人たちが諦めてしまうことをやっているのだと自分を褒めてあげて下さいね。
疲れたら途中で足を止めても大丈夫。ちょっと休んで、また歩き出せば良いのです。
一歩、また一歩と歩き続けるあなたを私たちはいつでも応援しています。
ちょっと疲れちゃったな、お休みしたいなという時は私たちの定例会にご参加ください。おしゃべりして、ストレス発散しましょうね。