エンタープライズセールス振り返り
今年1年、ナレッジワークにてセールス責任者として過ごした日々を振り返る。
役割変更
2022年4月入社。4月20日プロダクト正式リリースに向けて、2名の営業メンバーの一人として入社。2023年1月から複数メンバーが入社。2023年4月からは、担当営業を終了。マネジメントに専任。商談の推進状況の確認/アドバイスのPDCAマネジメントと、各種ノウハウをナレッジ化する事やそれ各メンバーに実装しパフォーマンス最大化に貢献するイネーブルメントに取り組んできた。更に、マーケティング、インサイドセールスとの連動性を高める役割も担う。
組織の将来のグロースを考えて、極力組織の停滞を生み出さずに済む必要な役割変更だった。1年と言う短い期間での切り替えができたことは、良いスピード感だった。
切り替えられた要因は、セールスハンドブックに、自身がナレッジワークの商談実績の中で得た知見を一定以上込めることができたこと。これが大きかった。これなしには、役割変更後のマイナス要素が大きかったと思われる。
また、商談以外の売上拡大に必要なあらゆるアクティビティに、自社で売上をあげた経験のあるメンバーが工数をさける状態を作れたのもプラスに働いている。
まもなく、同時に入社したメンバーも、4月にはセールスイネーブルメント専任となる。着実に組織強化に、シフトチェンジできていく。もちろん、ジョインしてくれたメンバーのパフォーマンスとパイプライン醸成の数値から判定できたことで、各メンバーの日々のチャレンジに感謝しかない。
ユーザー企業様の支援
自身の経験では、過去、プロダクトリリース後の営業活動においては、売ることが最優先にされがち。さらに、なかなか大手よりも、SMBによりがち。なので、事例化されたとしても、当事者同士では極めて価値のあるものなのだが、マーケットにはなかなかインパクトに欠けるところがあるのが実際で、数を並べる必要があった。
ただ、今回ナレッジワークでは、自身が1年間担当したお客様が、着実に事例化されるようなプロジェクト遂行がなされていったことが大きかった。ロゴをお借りすることは、地道な対話の積み重ねで実行できるし、それが当たり前になれば、お客様も掲載することについてハードルが下がる。しかしながら、事例化することはあらゆる因子のベクトルが合わないとなし得ないため、総合力が試されるもので、弊社の強さが出ていると思う。
これにより、他メンバーが営業する際に商談ツールとして各種コンテンツを利用できたり、ユーザー訪問、ユーザー登壇イベントへの誘致など、ステータスを高めるためのチャネルを開発することができた。
年末にも以下の事例/動画が発出されたことで、さらなるインパクトを作ることができるだろう。お客様には感謝しかない。
来年以降も、様々な形で事例、採用リリースが出せる予定となっており、より営業はしやすい環境が作れていくことが何より有り難い。営業しやすいと言うのは、イコール購買しやすいと言うことでもあり、お客様の検討プロジェクトの生産性向上も繋がることで、双方に価値があると言って良いと思う。
これは、全てお客様あってのこと。良い関係を作ることに、日々腐心していることがここに来て、花が咲きつつあると言っていいと思う。お客様のセールスイネーブルメントへの飽くなきチャレンジとお客様むかいの役割を担う各組織、プロダクトチームのチャレンジの合流によって、成せること。これからも、コミュニティ形成、お客様同士の連動性を高める対話に注力していきたい。
主体性を生み出す営業
売れる営業と売れない営業はもちろん分かれるわけだが、売れる営業の中でも、お客様に主体的にさせる営業と、受動的にさせる営業に分かれる。
これは、まだ正直解明できていないのだが、商談の初手から、各種日々の対話で使う単語レベルまで、テコ入れしないとなかなか形にできない内容になる。
「いかがでしょうか」「どうでしょうか」などの言葉を使えば、その瞬間から瓦解するような世界。繊細な対話が必要。私の場合は、ほぼ使わない。あくまで、推進する/選択するのは相手がするもので、僕らが伺いを立てるようなことはしない。もちろん成績は上げたい。ただ、それをやると、途端に、発注する側と発注される側になってしまい、上下関係のようなものが仕上がっていく。
過去は、鼻から上下関係があった時代もあったが、かなり緩和した。今の時代、変な関係性を作っている因子を作っているのは、売り手のことのほうが多い。
なので、重要なのは、『売り手側のスタンス』だ。
売り手型として、どういうプロセスだと検討が進むのか、落とし穴はどこにあるのか、メリット・デメリットは何があるのか、導入体制はどうあるべきか、運用体制における陥りがちな状況はなにか/理想はなにか等を積極的に示していくことが前提となる。
積極的にハードルを示していく。そして、それを乗り越えるか否かを、ご判断いただくことが大事。有耶無耶に、押し流すように、商談を進めていくと、これはできない。しっかり判断をしてもらう機会をたくさん作ることで、自社で判断した…と言う事実を残し、必要要件も捉えた上でのプロジェクト推進へといざなう。
これをしっかり行うことが、プロジェクト推進時のリスクの低減に繋がり、成功率が高まり、上記に書いたユーザー企業の支援へと繋がる。
商談がドロップすることは怖いこと。
ただ、それよりも、プロジェクトが破綻することのほうが怖い。エンタープライズは、なかなかプロジェクトが崩壊することはない。逆に崩壊しないからこそ、過剰な工数が両社にかかってくる。それと比較すれば、早めに判断を常に仰ぎ、難しければ次回…とすることの方が、最適と私は思っている。
再商談化案件多数
商談の終わり方が重要であることを、実績の中で強く感じた。この1年、再商談化して、契約となったものが私の過去やったものだけでも、非常に多くあったためだ。
上の章で書いたように、積極的にハードルを示していることで、ドロップすることは多い。ただ、そこで、どう終われるかは常に、計らっている。
営業担当としては、どのお客様にも貢献できると考えているので、将来一緒にプロジェクトができたらと思う。
そのため、商談が一旦終わると言う段においては、再商談化の条件をお客様とすり合わせる。
『◯◯という状態になったら、もう一度議論しましょう。』と。
これを言う前の撤退の潔さと、この言葉を言う際のスマートさが大事。
パイプラインは多い方が良い
すごく当たり前のことなのだが、パイプラインは多いほうがいい。エンタープライズは時間軸が読めない。様々な因子によって、状況が変わる。過去の経験上、必死に抗って、契約に至らしめたこともあるが、その後どうなったかと言うと、上の方で書いたように、無理やりはじめて、いい形になったケースはない。
なので、徹底的にパイプラインは積んだほうがいい。これが私なりの結論。実際、ナレッジワークでは、パイプラインは多めに積んでいて、スリップもある。ここに目くじらを立てていくことはしない。もちろん、やるべきことをやっているかは、当然見ているが。
少ないパイプラインで、なんとかしないといけない状態を作っているとすれば、それは、セールスの問題ではない。これは確信している。セールスはいつも都合の良いポジションにされがち。まぁいい思いもしているから、いいのかもしれないが。
セールスだけで解決できることは結構少ないので、パイプラインをいかに多く持てるようにするかは、エンタープライズにおいても必須であることは忘れないようにしたい。
商談チェックの再現性
ナレッジワークでは、商談チェックを週1回既存と新規30分ずつ定例会議で行っており、それ以外は、適宜メンバーからの相談や、進捗状況が思わしくないものについては、マネジメントから指摘する…と言ったことをしている。一般的なレベルだ。Salesforceに入っている内容は、シンプルにしており、大量のデータ入力を必要にはしていない。
ネクストアクション日、リスク/案件概況/スケジュール(ここにかなりコダワリあり)を記載することが基本項目。
今年意識してよかったことは、商談にフィードバックする側の再現性だ。
麻野さんから上記を指摘されたことで、一気に切り替え。基本、ハンドブックをベースにフィードバックを行うようにしている。それにより、指摘にブレが減り、対話の時間も極めて短時間で済むようになってきた。
ただ、これだけでは、今後担う人が、フィードバックをする前の、商談の状態を正確に捉え、リスク因子を探ると言う部分が、ハンドブックでは対応できないと思い、『パイプラインマネジメントのポイント』と言うドキュメントを作成。まだ社内公式なものにはしていないが、自身の案件の状態を多角的に捉えるためのポイントを洗い出した。
これにより、自身の日々見ている景色が、再現性のあるものになることを期待したい。これは検証中。
事実なのか
何度か書いていることだが、今年一番改めて学んだのがこれだ。
営業担当は、都合の良い事実を捉えがちであること。
誰かが言っていた憶測を事実と捉える。これが、営業の最もリスクとなるものだし、エンタープライズにおいては、巻き戻して動くことが極めて難しいため、取り返しのつかないものになる。
事実なのか…。を日々問える人材でありたいし、そういう文化を醸成したいと思う。
終わりに
娘が横で寝ている中で、2時間で書いた雑文。ただ、自分にとってはとても整理することができた良い時間だった。他にもたくさんあるのですが浮かんできたものだけざっと書きました。また、細かなところは書き記せないことも多いのですが、どなたかの参考になれば幸いです。
ナレッジワークをエンタープライズSaaSの最高峰となるように、今後も腐心したい。セールスだけでなく、マーケ、ISの水準も引き上げていきたい。
エンタープライズセールスは、情理と合理どちらも必要な複雑系の仕事。フレーム、ロジック、KPI等でなんとかなるものでもない。だから面白い。たくさんのチャレンジャーが出てきたことを感じるので、切磋琢磨できると嬉しい。
今年は、様々なスタートアップの若き営業の方々への勉強会や対話をすることも多くあり、彼らの成果最大化については、今後も一生懸命支援していきたい。常に数名浮かぶ彼らが、素晴らしい営業へとさらに進化することを願って。やっとハイボールが飲める。