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本棚より「ままやと姉・向田邦子」

向田邦子さんも私の好きな作家のひとりですが
妹さんの和子さんが邦子さんに関する
エッセイ集をいくつかだしていらっしゃって
そのうちの一冊をご紹介します。

「ままやと姉・向田邦子
かけがえのない贈り物」
文春文庫1997/11/7
向田 和子 (著)

向田邦子さんといえば、
ちゃぶ台をひっくり返すので有名な
「寺内貫太郎一家」の脚本家です。
他にも「時間ですよ」を手掛けたことも。

私はかつてお正月にやっていた
新春ドラマスペシャルシリーズが
とても好きでした。
向田邦子さん原案での作品です。
加藤治子さん、田中裕子さん、
小泉今日子さんが出演されていたことを
覚えています。

向田さんはとてもおしゃれで快活な方
だった印象があるのですが、
妹の和子さんはとても静かでおとなしい
そんな印象の方で、妹からみた
邦子さんの横顔を書かれています。

「ままや」という小料理屋を
和子さんにさせるくだりも
とても邦子さんらしくて
「ままや」はすでに閉店されてしまい
あったらぜひ訪れてみたかったなと
おもっています。

姉妹っていいな

このエッセイ集を読んでから、
姉妹って羨ましいなと思うようになりました。

なんていうのか、お互いを補いあっている
そんな印象で、一見、邦子さんが
静かで控えめな和子さんの背中を押している
のですが、逆に、邦子さんはきっと
和子さんに支えられていた部分もあった
はずです。

向田邦子さんは取材中の飛行機の事故で
別れも告げずに永眠されたのですが
その前に大きな病気をして、遺書も
残されていたようです。

「向田邦子の恋文」というエッセイ集も
和子さんは出版されています。
邦子さんの作品を裏打ちするかのように
語られている人柄が見え隠れするエッセイ
ばかりで、妹という立場からごく近くで
見守り続けてきた姉の姿は、華やかなだけ
ではなく、心配りのあるユーモアある
やさしく強い女性だったよう。 
そして密やかな哀しさやつらさも
抱えていたからこその強さだったんですね。

そういった姿を知るにつれて
人間味あふれる作品により魅力を感じずには
いられなくて、何度でも読み返したくなる
そんな向田作品であり、和子さんのエッセイ
だとおもっています。

一方で、ずっと仕事仲間として歩んでいらした
久世さんのエッセイ集
「触れもせで 向田邦子との二十年」も
とても味のあるものだと思いながら
拝読しました。

古いドラマたちも、もう一度見てみたいな
なんて思っています。

これを書きながら気づいたのですが、
私はどうやら、作家の周辺の人が書いた本が
好きなようです。
八木重吉の奥様の書かれた本も読んだし
夏目漱石の奥様の響子さんの本も読みました。
どれもこれも本当に作家や詩人が、
人間として、心に残っていく、
そんな作品ばかりで、おすすめしたい本です。

🌼

不器用でも器用でも
ひたむきに生きている人を
とても美しいと思う

そんな風に生きていけたらいいなと
思い続けている

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