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和泉式部の「子はまさりけり」

昨日で74才になった私の母は、心配性。

今も、
ああでもない、こうでもない、
こうなったらどうしよう、大丈夫なん?
どうする?どうする?どうする?どうするん??
…が多い。

心配で眠れず、食べすぎる母

小さい頃から、なぜ母は心配ばかりするのか、
「心配」とは何なのか、
心配という気持ちで、何かできることがあるのか、
不思議な気持ちで母を見ていました。

私のことが心配!大丈夫か?と言い、
妹のことが心配!お金、大丈夫やろか?と言い、
弟のことが心配!やっていけないんじゃないか?と言う。

挙句、それで眠れないとまで言い出す。
眠れないから朝までテレビゲームをしたとか、
たくさん食べすぎたとか言う母に、
なんでやねんという気持ち。

「とりあえずアルバイトでもして、
バイト代でも渡してあげれば?
そしたら疲れて眠れるんじゃない?
いい人、いい仕事を紹介してやれるように、
自分があちこち出かけてみたら?
そしたら食べてる時間もなくなるんじゃない?」とは、
思ったとしても、母には伝えませんでした。


とにかく、心配、心配と言ってオロオロ。
あなたが心配なの~と
眉間にしわを寄せた顔の、押しつけ感。

いったい、「心配」ってなに?

心配して苦しむくらいなら自分でできることを
なんでもいいからしてみればいいのに。
なぜ、
寝ずにゲームしたり、
たらふく食べて健康を損ねたりするのか、
私には理解不能でした。

家事と子育てのサポートをしてくれるのは、母

そんな母も、私のことを心配する延長線上で、
子育てしながら働く私を、
できる限りサポートしてくれているので感謝です。

洗濯物を取り入れてくれたり、
家で留守番している息子たちと一緒にいてくれたのも母。

あなたのお母さんはよく頑張ってると、
息子たちに言ってくれ、
私が息子たちのそばにいないことを悪く言うのではなくフォローしてくれたのも母。

留守番をする息子たちに寄り添い、
新聞代を払ってくれたり、
荷物を受け取ってくれたり、
電話の出方、勧誘の断り方を
息子たちに教えてくれたのも母。

金曜日の晩は、
私も残業したり宴会にも行きたいだろうから、と、
小さかった息子たちを
学童保育に迎えに行ってくれ、
晩ごはんを食べさせてくれ、
お風呂に入れてくれたのも母。


その都度、折にふれ、
あなたが心配だと、
ずーっと今も言われるけど。

いつの世も・・・

私が大好きな和歌をたくさん残している
平安時代の歌人、和泉式部ねえさん。

情熱的で独創的な恋愛和歌も好きだけど、
彼女の、死者を偲ぶ悲しみに満ちた和歌もすごいと思う。

彼女には娘(小式部内侍)がいて、
その娘が何人目かの子どもを出産した後に亡くなりました。

その亡くなった娘を思ってつくった和歌。

とどめおきて 誰をあはれと 思ふらむ
子はまさるらむ 子はまさりけり

この世に人を残して亡くなった娘。
誰を気にしながら亡くなったのでしょう。
きっと子どものことなんでしょう。
母である私より、
子どものことでしょう。

という和歌。

和泉式部は自分の親を亡くしたときより、
自分の娘を亡くしたことの方が、
悲しく苦しかったんだと思います。
親のことよりも子どものこと。

だから、
自分の娘を失って悲しみの中にいるけど、
その娘は、
母である和泉式部のことよりも、
きっと
自分の子どものことを心配しているんでしょう。
という和歌。


和泉式部だって、親より子ども、だから。
娘も母である私ではなく、
子のことを思っているにちがいない。
という和歌。

愛ですね。


働き始めた息子を思うと・・・

私の息子は、高校を卒業し、
工場で働き始めました。
1時間近くかけて車で通勤する18才。
8、9時間の肉体労働の後、また車で帰宅する。
腰が痛い、手首が痛い、腕が痛いと。😭

😭

もう、
心配で心配で心配で・・・・!😭
考え始めるといてもたってもいられないうえに、
眠れなくなりそうなので、
食べて気持ちをまぎらわそうかなと思います。(笑)

私は幸い、仕事で毎日、
身も心もヘトヘトなもので、
よく眠れていますが、
ああ、辛いだろう息子と代わってやりたい😭
運転だって、
できるなら送迎してやりたい😭
お弁当だって、
手作りでサポートしてやりたい😭(息子に断られた)

母と違うのは、
少しの間、忘れることができる、
キツイ仕事が私にはあること。

母は、そんなキツイ仕事が辛いだろうと
私を心配している…


いつもこの世は繰り返す。

↓ 和泉式部ねえさんの和歌に寄せて


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