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昨年に続き、「マティス 自由なフォルム」を観てきた(学生無料の日)

国立新美術館へマティスを観に行ってきました。学生無料の日につられて、昨年に続いての鑑賞です。

学生無料の日

今年のマティスは「キャノン・ミュージアム・キャンパス」という企画に参加させていただきました。展覧会の特別協賛であるキャノンが設けてくれた日で、学生無料なのです。CSR活動の一環だそうなんですが、こういう企画はキャノンさんにぴったりですよね。内容とドンピシャ。

この日は火曜日で、実は休館日。SNSで情報を得たものの、日にちを何度も確かめてから向かいました。

入り口も閉まり加減で警備員さんが立っているし、受付に向かうあちこちにも係の方がいて、ちょくちょく関係者かどうか確かめられます(若い学生じゃないからかな)。

私の他に女性二人組が来ていて、警備員さんと話して引き返していきましたが、私は「大学生です」というと特にIDを求められることもなく、入館できました。

もちろん、受付では学生証を提示します。

無料の日だから混んでるかもなーとおっかなびっくりだったんですが、時間帯のせいなのか、なんでもない平日だったせいか、ゆったりと落ち着いて観てまわることができました。

さらに休館日だから、お店は閉まっているだろうと思ったら、開いていて、ポストカードやクリアファイルを買うこともできました。

出口にはインスタをフォローすると引けるくじ引きをやっていて、これもしっかり参加。アクリルチャームをいただきました。

東京都美術館でのマティス展との印象の違い

さて、2年続きなのでどうしても比べてしまいます。

昨年のマティス展では展示内容、数に圧倒されました。今回はそれに比べてなんとなく簡潔ですっきりみやすい印象でした。

でも帰って出品リストを見比べたら、

東京都美術館「マティス展」155点
国立新美術館「マティス 自由なフォルム」161点

あれ、今回の方が多い。

もちろん一点一点のボリューム感もあるだろうけど、少し意外でした。

都美術館のほうは画家としての人生を辿るような構成(ちょっと重厚?)になっていたのに対し、今回はテーマごとにまとまっていた感があるので、それが原因なのかも。

どちらがいいという話ではないけれど、前回に比べて、単純に楽しい展示だったなあと思いました。

東京都美術館の展示と違い、同じフロアだったので、最後まで観てから戻って気に入った作品をもう一度じっくり鑑賞することもでき、これは良かったです。

オーディオガイドを借りてみた

この日はオーディオガイドも無料。借りていた人、多かったです。せっかくなので、私もとても久しぶりに借りてみました。

以前、鑑賞中ちょっと邪魔になるかもとか解説が長すぎるとか思ったのと、観覧料が高くなってきたのとで、ずっと借りることはなかったんですけど、たまにはいいもんですね。特にこの日はゆったり観られたこともあって、解説を聞く余裕がありました。

最初の絵にあるサインはマティスのスペルが逆になってるなど、解説がなければ気づけなかったこともあり、得した気分になりました。もっと詳しく知りたい方は…と、解説が分かれているのも、ペースに合わせられそうで親切だなあと思いました。やっぱり私のような感想を持っていた人多かったのかな。以前より良い印象を持ちました。

個人的お気に入りポイント

前回のマティス展についてでもインテリアのことを少し書いたけれど、今回、描かれたモチーフの現物の展示、というのがいくつかありました。

マティスがこだわっていた室内装飾の一部をみることができ、大満足。私もヨーロッパをバックパックで周遊していた時に行く先々で何枚か布を買って、帰国後部屋にかけたりしていたから、この感覚はすごく身近で、難しいことは抜きにしてとても楽しい。

一番嬉しかったのがオダリスクのテーマの背景にかかっている布の展示。もちろん経年劣化はしているのだけど、これかーと、その前でしみじみ。オダリスクの絵、なんだか好きなんです。

他にも「ロカイユ様式の肘掛け椅子」という絵の中に描かれている肘掛け椅子とか、いかにもエキゾチックな雰囲気の三日月のついた火鉢とか、これは確かに描きたくなるよねというようなものが並んでいて、思わず私も描いてしまった。

落書きで面目ないけどこんなやつ。

こうしてみると適当すぎるスケッチ(笑)

描かれたモチーフというのではないけれど、使っていた絵の具やパレットなども展示されていて、マティスの部屋が絵画から抜け出してきたような、想像を掻き立てられるようなエリアでした。

気になったのは、絵の具のチューブのいくつか、下がカットされていたこと。

最初、少なくなってきたので下をカットして最後まで使い切ってたのかなあ?と思ったんですけど(私は調味料のチューブとかよくやる←庶民の感想)、よく見たら中身がまあまああるチューブでも切られている。

これはもしかして、チューブから直接塗っていたんでしょうか。だから点描の点が点じゃなくて長方形ぽいの???と思ったり。なんでしょうね。謎。

不気味なナイチンゲール

「舞台装置から大型装飾へ」というセクションでは、「ナイチンゲールの歌」のための舞台衣装が飾られていました。ヴァンスのロザリオ礼拝堂での上祭服と共通する雰囲気があるんですが、異彩を放っていたのが「機械仕掛けのナイチンゲールのための衣装」。

ナイチンゲールだから鳥さんなんでしょうけど、こんなの夜出てきたら泣く! カラフルに素敵に仕上げていて不気味さ倍増。怖くて目が釘付け。

再びまずい絵でスミマセン

展示会場では舞台の様子も映し出されていました。

ヴァンスのロザリオ礼拝堂を再現

さて、東京都美術館と構成は違っていても、展示の最後は同じように、切り絵→ヴァンスのロザリオ礼拝堂で締めくくります。

切り絵では大作「花と果実」が修復されて展示されています。前にはベンチもあり、ゆっくりと楽しむことができます。このセクションから撮影可でした。

人気のいない瞬間を狙って撮影。

そして最後にあるヴァンス礼拝堂の再現がこの展覧会の目玉。
小さいながら礼拝堂内部が再現されていて、時間を早回ししたように、ステンドグラスを通して入ってくる外からの光が移動します。

実際の礼拝堂はもっと圧倒的な光に包まれる感じなので(一回行ったことがある)、本物そっくりとは言えないとは思うけれど、それでも雰囲気は味わえますし、時間の経過もあわせてデザインされた光を体感することができます。

昨年のマティス展では実際の映像を鑑賞できましたが、その時の記憶とあわせて脳内で拡張してみるとより楽しめるかも。
手前の部屋には模型の展示もあり、全体像も掴めると思います。

昨年のマティス展に行った人にこそおすすめかも

マティス、このあいだ観たばっかりだしなーと思ってたんですが、同じ画家でも展覧会の構成が違うとまた違った見方ができるんだな、など、意外にも新鮮に楽しめました。

多少なりとも知識が蓄えられていたというのも、より楽しめる一因かもしれないですね。

ここに書いた以外にも味わい深くていつまでも観ていたいような彫刻(あの妙なゴツゴツ具合はクセになる)や、デッサンもたくさんありました。切り絵のセクションではタペストリーもあって、これもとても良かったです。

今月、5月27日(月)まで開催です。金曜、土曜は20時までなのはうれしいですね。

お花が綺麗でした

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ところで展示されていた50年代の別冊文藝春秋の表紙では「マチス」という表記でした。昨年noteを書く時、最初マチスって書いてしまいあれ?となったんだけど、いつからマチスはマティスになったんだろう。


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