「イラストレーター10人分のイラスト」を描く
学生時代から働き始めた写植会社を辞めるという時に、お世話になっていた方からアルバイトの話をいただきました。
年賀状のイラストの仕事です。確か20点ほど描いたと思うのですが、その時のオーダーがいろんなイラストレーターが描いたようにしてくれというもの。
若手のイラストレーターへのアクセスが今ほど豊富でなかった時代だったからか、それとも単に手間の問題か。退職してドイツの友人を訪ねに行くという話をしていたので餞別代わりに声をかけてくれたのかも。
専門学校のイラストの授業でこれでもかというくらい練習した、様々なタッチや画材で描く課題が役に立ち、線画、点描画、墨絵っぽいもの、アクリル絵の具などなど画材や技法、モチーフを変えて10人のイラストレーターがそれぞれ2種類ずつ描いたように仕上げました(あくまで自己評価ですが)。
実はそれまでイラストの仕事は本格的にしたことなかったんですが、そんなことはわかっていて頼んでくれたんですよね。実際、旅費として大いに助かりました。私も精一杯考えて描き込みました。
当時、女性は学校卒業後数年働いて結婚退職というのが主流であったと思いますが(少なくとも世間からのそういう押し付けが強くあった)、私が仕事を辞めて外国に行くというのは面白がってくれた人が多かった気がします。
そういえば、独立するの?と聞く人もなぜか何人もいて。でもあの頃独立するとなるとそれなりの設備と場所が必要で、今みたいにはいかなかったんですよね……。キャリアはスタートしたばかりでまだまだ未熟でもあったし、うっかりその気になって独立なんてしなくてよかった。
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