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【ビジネス思考】売上を伸ばすヒントは物乞いから学べる

先日物乞いに「お金を恵んでくれませんか」と声をかけられました。
こういう経験は誰しもあると思います。
僕にとってもそれはありふれた経験だったのですが今回はなぜか時間が経った今も印象に残っています。
その物乞いについて色々と考えていくうち、なぜかビジネスをやっていくヒントのようなものに思い至ったのでノートでシェアしようと思います。


駅近くで物乞いに声をかけられた

まずはその時の情報を簡単に整理しておきます。
僕は駅前の松乃家で、おろし梅ロースカツ定食を食した後帰宅しようとしていました。
時刻は夜の8時頃だったと思います。

駅の出口付近を歩いていると、スーツケースを持った旅行者風のアジア人ぽい若い女性に声をかけられました。
「すいません」と非常にか細い声だった気がします。
僕は知らない人によく道を聞かれる方なので、「また道に迷った人かな」と思って立ち止まりました。
するとその女性がティッシュ箱くらいの大きさの小さなホワイトボードを出してきました。

そこにはだいたい以下のようなことが書いてありました。

私は留学生です。
コロナウィルスのせいで仕事がなくお金に困っています。
どうか少しでもいいのでお金をください。

この時点で僕はこの女性が旅行者ではないことをはっきりと認識しました。
そして少しの後ろめたさを感じつつも「すみません」と言って立ち去りました。
以上が事の顛末です。


僕がお金を払わなかった理由

こういうエピソードはありふれたものだと思います。
街でこういう人に声をかけられてお金を払う人は少数派ですよね。
「物乞いは卑しく恥ずべき行為である」
と考えている人も少なくないでしょう。

しかし僕はといえば、実は物乞い行為が恥ずかしいこととは思っていなかったりします。
さすがに物乞いを経済活動と認識しているわけではありません。
が、お金をもらいたい側と払いたい側が同意していれば、どれだけ大きい金額が授受されようが完全に自由だと思っています。


これは後々気づいたことですが、僕がこの物乞いにお金を払わなかったのは物乞い行為自体が悪いからではなくて、単純に彼女のマーケティングが甘かったからです。


3つのNOTを越えられなかった

デジタルマーケティングに携わっている人であれば三つのNOTという言葉を知っていると思います。

3つのNOTとは

三つのNOTというのは

NOT read = 読まない
NOT believe = 信じない
NOT act = 行動しない

という意味です。

例えば Web 上であなたが何か自分の商品の宣伝をしたとします。
そこに訪れてあなたのキャッチコピーなり商品説明内容を読んだお客さんの頭の中にはこの三つのNOTが存在しているのです。


要するに殆どのお客さんはあなたの商品説明を

①ほとんど読むことすらしませんし

仮に読んだとしても

②それが本当に良い商品だと信じませんし

よしんばその商品の優位性に納得したとしても

③わざわざお金を払ってまでそれを買わない

ということですね。

いかにしてこの三つのNOTを乗り越えていくかというのがマーケティングの大きな課題として常に存在しているわけです。

物乞い活動も一つの営利活動であることは間違いありません。
今回の物乞いをしていた方は僕の頭の中にある三つのNOTを乗り越えることが出来なかったということです。

まず彼女は最初のNOT read(読まない)の壁はクリアしていました。
今回の物乞い行為はデジタルマーケティングと違い対面での営業です。
なので僕が立ち止まって話を聞こうとした時点で「読まない」の壁はクリアしていたとみなしていいでしょう。

彼女は旅行者風のスーツケースを持っていましたし、「すみません」という声がとても小さくて困っている感じがしたので迷子になっている人と勘違いさせることには成功したのです。
(これが意図的だったかどうかは別です)

なお最初の壁はクリアしていますが、お客さん(=僕)があくまでも「道案内かな」というモチベーションで話をしている点は注意する必要があります。
初めから「物乞いせざるを得ない状況になっている同情すべき人だなあ」という気持ちで会話を始めている人に比べて、その後の物乞い成約率が下がることは避けられません。


NOT believe(信じない)の壁は突破できなかった

今回の物乞いが失敗した最大の理由は僕の信用を勝ち取ることが出来なかったからです。
駅前の募金活動などを見かけると大抵の人が警戒するのが
「そもそも詐欺じゃないの?」
ということですよね。
ニュースなんかでもこういった募金活動で集まったお金が正しく使われなかったみたいな報道をよく聞きます。

今回僕も同じことを考えてしまいました。
つまり彼女を助けるべきとか助けるべきでないとか言う以前に、
「そもそもこの人は本当に困っている外国人留学生なのか?」
ということが信じられていないわけです。

また「コロナで仕事が見つからない」という風に書いてありましたが、それもいまいち信用できませんでした。
確かに飲食店などは今はバイトの採用も絞っているだろうと想像します。
一方でウーバーイーツなどは活発に人を採用しているわけです。
僕の頭の中で「本当は働けるけどめんどくさいだけなんじゃね?」という疑念もしっかり生まれていました。

少なくとも道で全く知らない人に物乞いをするメンタルがあれば、何かしら仕事見つかるのではないかというのが僕の率直な感想です。
というかそれだけ無駄なプライドを捨てることができれば、今後社会で大成功するポテンシャルを秘めていると思います(これは冗談抜きです)。

「お金を払う」という行動を起こす理由が見つからなかった

信用できなかった時点で僕がお金を払うことはあり得なくなったわけですが、一応 NOT act(行動しない)の壁にも触れておきましょう。

仮に僕が彼女のことを信用したとしても彼女にお金を支払うまでには色々とステップがあります。

①財布を鞄から取り出す
②財布の中身を見て支払う金額を決定する
③彼女に手渡す

の3ステップです。

これを初対面の人に対して行うので僕の方も結構エネルギーが必要です。
(特に実際の Web マーケティングの場面では、購買時にお客様がクレジットカード番号等の個人情報を入力する必要があります。これにはいろんな意味で多大なエネルギーが必要なことは理解しておくべきですね)

こういった面倒くささを乗り越えるには圧倒的な感情の高ぶりや、「今お金を払う理由」が必要になることはいうまでもありません。

ビジネスマンが注意すべき点〜僕の事業を例に〜

ここまで彼女に色々と難癖をつけてきましたが、ビジネスの現場でこの三つのNOTを乗り越えるのは中々に難しいです。

例えば僕は先月派遣型の家庭教師サービスを運営し始めました。
お客さんに満足頂けるようなサービスを展開すべく最大限努力していますが、これを書いている時点(2020年10月上旬)のホームページ(https://leon-study.com/)では正直3つのノットを超えることは難しいのではないかと思っています。

理由は色々とありますが、最も重要なポイントだけを述べると「お客様に提示できる実績がまだない」ことですね。
そもそも始まったばかりの家庭教師サービスなので、まだ一度も受験を経験した生徒がいません。
それゆえに合格実績もクソもないわけです。
これは志望校の合格を目指しているお客様の信用獲得という観点からは大きなマイナスポイントです(NOT believeの壁)。

つまり僕的には生徒さんの偏差値を上げて保護者さんにも満足していただけるサービスを運営しているつもりでも、それがお客さんに伝わるかどうかは全く別の話だということですね。

幸いホームページ以外の部分で我々家庭教師のレオンの良さが伝わるように最大限努力した結果もあって、現在お客様が来て下さっています。

今後はこれらのお客様の受験成功に全力でコミットしてそれを実績として昇華していく所存です。

こんな物乞いなら、お金を払っていたかもしれない

さて宣伝はこれくらいにして、例の物乞いに話を戻してみます。
先述した部分で彼女のセールスの問題点はだいたい整理できたと思います。

では一歩進んでどういった物乞いをすれば成功率が高まったのだろうかということを 最後に簡単にまとめておきます。

ここまでですでに長くなってしまったので、日本語の文章ではなく箇条書きのような形式に留めておきます。

NOT believe(信用しない)の壁を超える

・在留カードなどの身分証を見せる(詐欺じゃないと信用してもらう為)
・在籍大学等を明らかにする(信用性を高める&情報開示から、僕との共通点とかがでてくるかも)
・求人の不採用通知など(「今はコロナのせいであなたを採用できません」と書いてあるもの)


NOT act(行動しない)の壁を超える

・今恵んで頂ければ、○○をする等の特典付与
(自分の国の土産物的なのをプレゼントする、家族から感謝のメッセージを送るetc)

他にも僕が考えつかない工夫がたくさんあると思います。

なお仮にこれらの実践を行っても、物乞いが百発百中で成功することなど当然あり得ません。

根本的な不信感の高さや、お金をもらう側が提供する価値が限りなくゼロに近いことから、
そもそも物乞いでお金を稼ぐのは、普通に起業してお金を稼ぐよりも難易度が高いと思います。

ここまで長々とお付き合いありがとうございました。
今回言いたかったのはだいたいこれくらいです。

この文章が今ビジネスについて真剣に向き合っているあなたの為になったのであれば幸いです。
現状の課題にうまく応用できることを願っております。

なお私木村はビジネスを頑張っている友達を募集しています。
気軽に Twitter の DM とか送っていただければなと思います。
(単純に身の回りに起業とかしている友達がいなくて寂しいというだけの話で、ビジネス的な意図は一切ありません)


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