#名刺代わりの小説10選
定期的にやってみるタグ企画。
今回は #名刺代わりの小説10選 。10年以内に読了した国内作品という縛りをつけてやってみた。
なお、前回やった #私の最愛海外文学10選 はコチラ↓↓↓
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(作者名は敬称略で失礼します)
国宝/吉田修一
任侠の家に生まれた男が歌舞伎界にいざなわれ、稀代の女方として大成するまでの壮大な物語。ライバル関係にある梨園の御曹司とのドラマは、何度読んでも涙なしにはやり過ごせない。吉沢亮×横浜流星で映画化予定とのこと(ピッタリ!!)
弥勒/篠田節子
仏教美術の伝統を持つ架空の国パスキムを舞台に、日本のジャーナリストが政変と殺戮に巻き込まれていく。人間のおぞましい一面をまざまざと見せつけられる問題作。絶望と救済のアンバランスに打ちひしがれながらも、読む手は止められなかった。
テスカトリポカ/佐藤究
アステカの凄惨な神話から、麻薬密売、臓器売買と、金と欲望の大河が流れ出していく。ボタンの掛け違いだらけの群像劇、その果てに救いはあるのか。神話のメタファーがこうなるのかと、終始鳥肌が立ちっぱなしの作品。
イモータル/萩耿介
インドで消息を絶った兄が残した「智慧の書」 その不思議な力に導かれて自らもインドへと向かう。インドの様々な宗教思想に影響を与えたウパニシャッド、その翻訳の歴史を背景に据えた数奇なタイムリープ小説です。
ひらいて/綿矢りさ
女子高生ふたりと男子校生ひとりの三角関係。甘酸っぱい青春小説、、、なんかでは勿論なくそこは烈しい綿矢りさワールド。自意識に抑制され、妙な形に湾曲した欲望。収拾のつかない感情の向かう先は。
そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ
言わずと知れた令和最大のヒット作。瀬尾先生の作品をずっと追っていた身からすると読後「ああ先生のヒューマンドラマここに極まれり」と納得のヒット受賞映画化の流れでした。人にオススメをたずねられたら真っ先に挙げる。
水を縫う/寺地はるな
男らしく、女らしく、母親らしく、父親らしく。ステレオタイプの安寧に乗り切れなかった一家、そのひとりひとりが自分の感性を信じて歩み出す希望の物語。愛情に決まった形はない、タイトルの言葉選びに脱帽。
賢者とマドレーヌ/榎田尤利
BLファンタジーの金字塔といっても過言ではない。聖職者の種族と忌み者の種族。交わることのない2人が出逢ってしまった瞬間に、歴史が閉じていた種族間の物語が再開する。情景描写と象徴表現の巧みさで、アカーシャの地が現前しているかのような気になる。
雨降りvega/凪良ゆう
濃い味が好まれがちなBL界ですが、この作品には静かで優しい時間が流れている。好きになってはいけない人。自分の気持ちに正直になりたくてなれない人たちの背をそっと撫でてくれるような作品です。
瑠璃の書の司は碧の王子の番/魚形青
僕のタグ企画の常連になってきました。いわゆるオメガバース設定ですが、ファンタジーの世界観に寄せてαを「貴種」、Ωを「種壺」とネーミングしたセンスが凄い。そんな中に宗教、分派、還俗と、僕の好物のエッセンスが全部乗せされた最高の小説です。
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#名刺代わりの小説10選 #文学 #小説
#エッセイ #日記
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