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Tome館長
2018年7月22日 09:34
まず最初に水面があった。それは厚さのない鏡であった。水面には表裏の区別はなく そこに姿を映す者はいなかった。音も光もなんにも存在しないので やがて水面はいたたまれなくなった。わだかまりが生まれ 悶え、歪み、乱れ ついに水面に波紋が広がった。限界を超えた水面は千切れ あるいは泡、あるいは雫となった。表裏の区別がないため 泡と雫の区別もなかった。それらは光となり