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RIPPLE〔詩〕

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2021年8月の記事一覧

神話詩「暁」

神話詩「暁」

 「暁」

 藍色の空を塗り替える罪

 夜の女神に恨まれぬよう

 平穏な無の去り際を

 誰も惜しむことのないように

 わたしはわたしを祓うため 飾り立て

 世界の始まりに沐浴をする

 まず目を覚ましたのは深海のクジラ

 風が騒いで 遠く白波が沸き立つ

 くすぐられ はだけていく 白い衣

 繰り返される羞恥の染みに

 雪雲のパフを撫でつけられて

 逆上せた 息吹が漏れて広がり

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愛の詩の企画に参加しました

愛の詩の企画に参加しました

Mei&Meさんの【企画】愛の詩を紹介させて頂きますに参加しました。Mei&Meさんには「退廃と色彩の魔術詩」というキャッチコピーを勝手に思い浮かべていました。沈み込みながら跳ねる、俯きながら沸き立つことばたち。そんな矛盾の妙にはいつも心くすぐられています。

今回の企画では13名の方々から寄せられた詩作品に、Mei&Meさんがそれぞれ丁寧なご感想を書いて下さいました。
誠にありがとうございます!

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【詩】次元キャンバス

【詩】次元キャンバス

 「次元キャンバス」

 わた菓子を連ねたような林だ

 毎朝 差し込まれるわずかな時間

 視界の水平120°に手を広げ

 意識と向き合う 静かな林だ

 わたしはその奥行きを未だ知らず

 ましてや 時の奥行きまで知るすべもなく

 それは遠いキャンバスに描かれた

 小さな樹海の油絵に過ぎないのか

 ふと 林の手前で

 青田に隠れて青鷺のこうべが揺れた

 林を見つめる後ろ姿は 心細そ

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