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RIPPLE〔詩〕

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花の香の種

花の香の種

戸を開いたら、
春の香りが広がった。
たしかに今朝は
心叩く音を感じていた。

一瞬の風にさらわれる香気に、
問いかけようとする口を噤めば、
いつだって、世界は生まれ変わろうとする。
いつかを知るのは今の私だけ。

ある夜に、
悲しいアリアの種を包んで、
胸元にそっと忍ばせていた。
これ以上泣かないですむように、と。

さあ話そうか。
夜の続きじゃなく、
また手を繋いでさ。
また新しく。

四行詩 16.

四行詩 16.

   掴んだ手 懐に寄せて開いた手

   何も残らない 時は大地と宙を巡り

   砂塵にきらめく 夢のつぶてが

   告げる みずから此処に佇めと