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レンタル生活保護を始めました。

私は鴨長明の隠遁生活に憧れを持ち、社会から鎖国した生活を続けていた。方丈記の世界観を象徴する有名な書き出しは以下である。

川の流れは絶えまなく、その水はいつも入れ替わり、
もとの水はとどまらない。

方丈記(現代語訳版)

老成した隠者を想像させる文章だが、鴨長明は心も揺れ動き続ける無常観を持っており、色んな葛藤をしながら生きていた。仏の教えは「何事についても執着を持つな」とあるのに音楽の書や楽器、和歌の書は放棄できず気軽に自由を味わっていたのである。そのゆるい感じがいい。

私は社会人という身分を捨てて生活保護になり、自由な時間を有効活用して修行しようと思っていたのだが、隠遁生活に慣れてくると有限な命の時間を無駄に使うという贅沢をする時間が増えてしまった。

このままでもいいのだが、微力ながら自分の能力を社会のために使うことで得られる喜びも知っているため、何かしらの形で社会と関わりを持とうかと考えているときにレンタル生活保護というサービス(趣味)が閃いた。

しかし、レンタル生活保護は明らかにレンタルなんもしない人やプロ奢ラレヤーの二番煎じである。なので1ヶ月ほど悶々と悩み大義名分は色々と見つかったが、最終的には面白そうだという原動力で始めることにした。人間はよい生き方を求める限り迷い続けるものである。迷いを肯定できるようになると何でも楽しめる。失敗すれば人生のネタにすればいい。

時代が生む関心事

みんなに考えて欲しいことがある。
過去に生きる人が現代にタイムスリップしたら何に関心を持つだろうか?

宗教が盛んな時代の人は「どの神様が一番強いか」信仰を気にするだろう。軍事が盛んな時代の人は「どの国の領土が広いか」国境を気にするだろう。現代に生きる人は100年後に行くと「どの企業が稼いでいるか」経済を気にする人が多いだろう。時代によって世界認識は変わるのである。

はたして100年後の未来人は何に関心を払って生きているか。「どのコミュニティが幸福か」であるように思う。予想は楽観的かもしれないが、少なくとも100年後の人は経済と幸福は別物として考えているはずだ。経済成長して先進国の仲間入りを果たした日本が世界の幸福度ランキングで低いところを見ると、経済規模は幸福を保証してくれないと分かる。田舎で幸せそうに暮らしている人を想像すると分かりやすいのではなかろうか。文明が進みより豊かになると物質的なモノより、精神的なモノに価値を見いだす人が増える。悟り世代という言葉が生まれたのは歴史的必然である気がする(若年層が貧しくなった側面もある)。

近年では先進国全体で経済が停滞し、資本主義が目指す経済を拡大し続ける幸福モデルに行き詰まり、生きづらさを感じている人が増えた。世界中でうつ病が増えているのはその原因もあると思う。今は時代の転換期なのである。そんなことを言いながらも私の奥底には僅かながら資本主義の精神が宿っている。物質のエントロピーが増大してくように、資本や欲望も増大していくのが世の理なのだろう。この巨大な魔物は上手に付き合って飼い慣らしていくしかない。鴨長明の無常観が心に沁みる。

分断された社会

日本に生活保護者は200万人いるので国民の60人に1人に該当する。意外と多いと感じただろうが、しかしあなたの周りに生活保護者はいるだろうか。人は学校や職場、趣味が同じなど自分と似た属性を持った人との関わりが多いため、社会が分断されている。ある程度恵まれた環境で育った人は周囲に生活保護者はいないはずだ。刺激は自分の価値観との相対性で決まるので、私のような生活保護者を求めてしまう人がいるかもしれない。生活保護者にご飯を奢ったという話題性が欲しい人、好奇心、興味本位でもいい。

私は学生時代にインドの田舎に行って身分制度の外にあるアウトカーストの人と仲良くなったことがあるが、普段聞けない話をしてもらって刺激的で楽しかった思い出がある。過酷な環境でも前向きに生きている姿には勇気を貰えた。そこと日本の生活保護を比較するとあまりにも恵まれすぎて、一瞬でも現状に不満を感じた自分がバカらしくなる。

途上国に行けば日本のありがたみを全身で感じるのと同じように、生活保護者と食を共にすることで自分の環境が恵まれているとことに気が付くきっかけになるかもしれない。将来が不安な人が私と出会うことで気持ちが楽になる可能性もあるだろう。

まぁ期待値が上がっても困るので、このくらいにしておく笑。

今後の活動について

人生の旅路においては色んなフェーズがあっていいと考えている。私はブラブラ海外を1人旅したり、ゴリゴリ仕事に打ち込んだり、生活保護になって読書三昧の時期を現在経験している。これからは社会のフィールドワーク感覚で色んな人に会い、リアルな関わりを通じて視野を広げたい。隠遁生活が長かったので誰と話しても楽しい気がする。その過程で次の就職先が決まるかもしれないし、個人事業主としての道が見えるかもしれない。炎上して隠遁生活に回帰する可能性もあるがそれはそれで面白い。人生は何が起こるか分からないので、ノリを大切にして生きようと思う。

最初のうちは窓口を最大限に開放するので、友達感覚で誘ってくれると嬉しい。場所は基本的に大阪市内でお願いします。あとは要相談で対応するのでお気軽に。

交通費をいただくと生活保護法の所得認定に該当するのでお金はいただきません。その代わりに会うときの食事代はお世話になります。ケースワーカーが生活保護者を指導するときに参考にする書籍には以下のように記載されているため、ご飯を奢ってもらう行為は問題なさそう。

社会通念上高価な物品、食料(以下、「物品等」という)が贈与された場合には、当該物品等が既に消費されている場合や売却等による活用が困難な場合に、当該物品等そのものの販売価格を収入認定するようなことは、最低生活維持の観点から行うべきではないので留意すること。

生活保護手帳 別冊問答集

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