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Yes,and!のマインドセット【HEART Global】

HEART Globalのワークショップが終わって一ヶ月経つが、思い返すごとに発見があるのが面白い。

さて、HEART Globalでの合言葉に、”Yes,and”というものがあった。
「まずは、やってみよう」と日本語訳されていたが、その言葉が持つ力について深堀りしていきたいと思う。
そもそも、”Yes,and"とはどういう意味なのか。HGだけでの造語かと思っていたのだが、そういうわけではないらしい。

Yes, And は、インプロと日本で略されて呼ばれている即興演劇や即興コメディの基本精神で、「相手のアイデアを否定せず一旦まるっと受け入れて、アイデアで返す手法」です。

日本即興コメディ協会のブログより

アイデアを否定せず受け入れて、可能性を広げていく、積極的なアプローチの姿勢、それが”Yes,and"である、と言えそうだ。
その対極にあるのが、”Yes,but"である。なんだかんだと理由をつけて、結局否定し、あらゆる可能性の扉を閉ざしてしまう。これをやめて、積極的に、まずは飛び込んでみよう!というのが、ワークショップにおける”Yes,and"の趣旨であった。

ワークショップでの、僕自信の経験を元に考えてみたい。
トランスジェンダーである僕は、女子のパートで歌うことができず、立ちすくんでいた。これは、そのときに書いた記事。

そんな僕に気付いて声をかけてくれたヒーローの、「大丈夫?」の問いかけに、僕は、「大丈夫じゃない、けど……」と答えている。
彼女がその言葉を遮って、連れ出してくれなかったら、僕はこの後にどのような言葉を続けたのだろうか。おそらく、「どうしようもない」とか、「もういい」とか、そういった類の諦めの言葉を口にしただろう。

この後、僕は彼女の助けによって、「男子として歌いたい」と言葉にすることができた。彼女に最初に声をかけられた時点では、想定していなかった選択肢だった。
いや、その選択肢自体は認識していた。なんなら「チーム変わりたかったら言ってね」と先にその選択肢を提示してもらってすらいた。しかし、それは無理だという勝手な思い込みで、無意識のうちに排除してしまっていた。
男子パートに行きたい、でも怖い、きっとうまくいかない。
典型的な”Yes,but”の思考回路であったことが、今ならわかる。絶望し、憔悴しきっていたあのときの僕なら、そんな思考になるのも無理はない。

ヒーローは、その無意識に閉ざしてしまった扉に気付かせてくれたのだ。そして、「そうしたいならその方が良い、とにかくやってみよう!」という、”Yes,and"のマインドで導いてくれたのだった。

ワークショップから1週間後、制服の男子用ネクタイを締めて修了式に出るという決断は、まさにワークショップで学んだ”Yes,and”の表れだった。
男子として式典に参加し、総代の役割を胸を張ってやり遂げたい。怖いけど、不安だけど、自分と背中を押してくれる大切な人を信じて、やってみよう。
自分らしさを表現するアイデアに、”Yes,and”と言えた瞬間だった。

大丈夫、怖がらなくていい。自分らしく進める方へ、飛び込んでみよう。
明日からの新学期は、そんな”Yes,and”のマインドを胸に、頑張っていこうと思う。


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