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【Passenger Coffee】 ニューヨークから車を走らせること3時間! ペンシルベニアの小さな街で、 超ハイレベルなコーヒーに舌鼓。


4月中旬の週末、ペンシルベニア州に旅行に行ってきました。

アメリカ東海岸の中でも比較的大きな面積を有するペンシルベニア州。フィラデルフィアやピッツバーグといった都市が有名ですが、意外なことに州都はハリスバーグという全く別の都市なんです。

このハリスバーグからそう遠くない場所に、アーミッシュコミュニティが健在することで知られるランカスターという町があります。今回、このランカスターに店舗を構えるカフェ「Passenger Coffee(パッセンジャーコーヒー)」に、ニューヨークから車で3時間かけて訪れてみました。

出発進行!


Passenger」がアメリカ東海岸でも屈指のコーヒーを提供しているという話は前から知っており、2018年、2019年、そして2022年にもフード&ワイン誌にペンシルベニアで一番のカフェロースターに選ばれています。

ここまで遠いとなかなか訪れる機会もなかったのですが、今回ピッツバーグとフランクロイドライトの建築を巡るペンシルベニアへの旅行を企画し、ようやく訪問が実現しました。

遠くなっていくマンハッタンのスカイライン
草原には牛の姿も


ニューヨークから西方面にひた走り、ニュージャージーの工業地帯を抜けてペンシルベニアに入ると、長閑な農村風景が広がります。

一袋900キロカロリー、空腹で全部食べてしまった

ドライブ中お腹が空いたので、お気に入りの塩味おかきをパクパク。駄菓子のどんどん焼きを5倍くらいの大きさにした揚げ餅です。

約3時間後、ランカスターの道路標識が見えてきました
ランカスターの中心街に入っていくと、ローカルなお店が多く見受けられます
ダウンタウン中心の塔、カフェはこの左手に

ランカスターのダウンタウンに到着し、車を駐車したら脇目も振らず目的地へ。カフェはあと1時間足らずで閉まってしまう!

カフェのすぐ裏手には、1730年から続くという有名なセントラルマーケットがあります。カフェ訪問後に少しだけ覗いてみましたが、精肉、青果、生花、ベーカリーやデリなどが揃い、地元民と観光客で賑わっていました。

カフェの裏手入り口。道を挟んでマーケットがあります

ダウンタウンのど真ん中に位置する「パッセンジャー・コーヒー」。外からの外観は控えめな印象ですが、一歩中へ入るとその開放的で美しい空間に心が躍りました。高い天井とグラフィカルな植物、タイルの床、レザーチェア・・・言葉で聞くだけではいかにもヒップなカフェの代表格といった内装ですが、窓枠などのトリムやディテールがとても美しく洗練されています。

キングストリート側の正面入り口

それもそのはず、この建物はかつてフリーメイソンの宿泊施設として使われていた歴史のある建造物だとか。カフェ正面の外壁を見ると、確かにその当時の名前が刻された石板のようなものが。

緑に溢れ、開放的で美しい内装
太陽光がふり注ぐコーナー席

店内正面の壁一面には、お店のトレードマークとも言える大きなカフェメニューが。アルファベットと数字ブロックを使用しているのもクレバーです。

こんなに洗練されたカフェはかなり珍しい


こちらはシングルオリジンの豆・茶のメニュー。コーヒーのみならずお茶にも力を入れているので、抹茶からプーアール茶までティーメニューも豊富です。「SEY」や「La Cabra」等のハイエンドなカフェと同様、自分好みの豆を選んで淹れてもらえるシステム。

お茶のセクションには、コールドブリューのナイトロティーなんて変わり種も

とても魅力的な豆ばかりでかなり迷いましたが、明るい酸味でフルーツのような風味のコーヒーが好きと伝え、シングルオリジンコーヒーはおすすめをいただきました。そしてコルタドも。

この日はカラッとして初夏のような気候
ウィンドウ席に腰掛け、行き交う人々の様子を眺めました


木のプレートの上にカリタのサーバーに入って出てきたコーヒー。口直しのスパークリーングウォーターも提供していただきました。

たっぷり入ったコーヒー

その明るい琥珀色を見ただけで美味さを確信、一口飲めばそのフルーツシロップのようなジューシーさに感動!果実を搾り取ったジュースの如きフルーティーさ。とはいえコーヒーは果実から取れる種なので、当然といえば当然。

ウーロン茶のような色味

よく浅煎りコーヒーの酸味が苦手という人がいますが、一度このクオリティの豆を味わえばその概念は覆されること間違いありません。本当にジュースを飲んでいるような軽やかさなんです。

こんなに完成度の高いエスプレッソドリンクは久々

コルタドは口当たりが非常にスムーズで、フォームも濃密。苦味も酸味も驚くほど感じられず、こっくりとホットチョコレートのような滑らかな風味と舌触りが至福です。マイルドな豆の風味の中に、ライムのような柑橘系の爽やかさも感じられ、こちらもエスプレッソではない別の何かを飲んでいるよう。

あまりのレベルの高さに感服し、お店のマネジャーであるタイラーさんに話を伺いました。 まず驚いたのが、「パッセンジャー」のシングルオリジンのコーヒーはいわゆるV60のドリップ形式ではなく、エアロプレスで淹れているという点。

エアロスミスではなく、エアロプレスです

先日、ちょうど旦那と「エアロプレスでコーヒーを淹れるカフェは存在するのか?」と話していたところでした。なんとありましたよ、ここランカスターに。以前ノルウェーのオスロにある「Tim Wendelboe(ティム・ウェンデルボー)」という世界バリスタチャンピオンのティムさんのカフェで頂いたコーヒーはエアロプレスでしたが、アメリカのカフェでは非常に珍しい抽出方法です。

エアロプレスを使用する理由は、抽出の質が均一に保てるからだとか。なるほど、通常のドリップでは湯の注ぎ方や速度の変動により抽出が左右されやすいのが欠点であるのに対し、レシピさえ抑えてしまえば安定性を保てるエアロプレス。我が家では登場機会がやや少ない器具ですが、もっと活用しない手はない!

お豆は2袋お持ち帰りしました

また、「パッセンジャー」においてローストの極意は、なるべく豆のもつ特徴や風味を最大限に引き出すため、焙煎という仲介工程はあくまでミニマルに、というものです。個人的に好みのロースターに共通するフィロソフィーで、本当に美味しい一杯に出会えば「砂糖とミルクを入れなければ美味しく飲めない、こげ茶の苦い飲み物」というコーヒーの既成概念を払拭してくれることでしょう。

断っておきますが、もちろん深煎りが悪いとか良いの話ではなく、ロースト加減はあくまで好みの問題です。豆によってはダークローストにした方がより美味しく飲めると思いますし、イタリアのエスプレッソなんかは深いコクがあってなんぼです。

閉店間際のお店

結論、ニューヨークから遥々3時間かけて訪れた価値は大いにありました。というより、3時間かかってでも再訪したい、パッセンジャー。閉店後にも関わらず色々とお話をしてくださったタイラーさんとバリスタの皆さんには本当に感謝です。

こんなご時世、ただでさえ遠いアメリカ旅行、そんな辺境に行くにはちょっとハードルが高すぎる・・・という方のために動画も作りましたので、ぜひご覧いただけたら幸いです。

今回もお読みいただきありがとうございました。

ではまた次回。

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