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顔を出来るだけ見ないように言葉を繋いでみたが
すぐにどんな言葉も浮かんでこなくなってしまった。
私が口をつぐむと沈黙がテーブルを埋めていく。
長い長い沈黙の後でグラスの中の溶けかけた氷が
カラン
と止まりかけていた時間を進めた。
すると彼がやっと口を開く。
何故?
ずっと押し黙っていた彼の声はこの場に相応しく程よく掠れていた。
だから私は彼のどこか安堵したような目を見ないように
ごめん
と呟いた。
彼への最後のプレゼントは自分は振られたのだという免罪符だ。

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