見出し画像

心に存在しない記憶と、存在しない東堂葵

やけに高圧的なジジイに、なぜか話を聞いてない奴ら、今日もバイトの思い出はカスみたいな客で台無しだ、本当なら優雅にタスクをこなし良い一日を迎えるのだろうけど、今日は本当に迷惑な客しか来なかった。

この世からそういう人間が消えてくれたら、私の人生はもっと豊かになるのにとさえ思ってしまう。彼らはそこに存在しているだけなのに…

けれど最近はバイトにも適応してきて、何となくスルー出来るようにはなってきている。それでもどす黒い感情に突き動かされる時はある、こんな奴らに、嫌な気分にさせられるのが本当に気分が悪い…

けれど、今から教えることはもしかしたら人を救う行為にもなるのかもしれない、これさえ覚えていれば、きっと人生だってうまくいく。

皆、今から心の中に「東堂葵」をインストールしよう、そうすれば、あなたの人生は豊かになる。



「よぉ、親友(ブラザー)」
東堂葵はいつでもあなたと親友、瞳を閉じればあの日の記憶がよみがえってくる、東堂の自転車で二人乗りし、追いかけまわす教師どもから笑いながら逃げ回った放課後、若すぎた俺たちはどこまでも行ける気がした。

夕日に向かって走る僕と東堂。

高田ちゃんに二人してフラれた青春。

中学では負け知らず、問題児二人、ただし「最強」の称号を意のままにしていた。



そんなもはや半身といっても過言ではない東堂は、バイトでバツの悪そうな僕を見るや否やビンタしてくる。

(ぱんっ!)痛っ…何すんだ東堂!?

「お前は客を自分に危害を加えるだけの存在だと思っているな?否!!確かに、時には相手の方が悪いことがあるが、しかぁし!!お前の接客が悪いんじゃ、まるで意味がない!」と喝を入れてくる。

ああ、そうだったな、俺がまずは客に歩み寄らなくてはならない、俺が全身全霊で接客すれば、客は絶対にその気持ちに応えてくれる。
「…つかんだな、親友」

ああ…Thank you so much, my best friend!!

こんなかんじで、心に東堂葵がいれば、どんな逆境にも隣り合わせで居てくれて、常に僕にアドバイスをくれる。

こいつがいれば、何も怖くはない、皆も心に東堂葵を住まわして、人生を豊かにしよう。

ちなみに今日はレジをなんかミスってたらしく、普通に接客と関係ないところで怒られました。普通に最悪です。

終わり


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?