#43 「ハクスイテック事件」大阪地裁
2004年6月23日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第43号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【ハクスイテック(以下、H社)事件・大阪地裁判決】(2000年2月28日)
▽ <主な争点>
能力・成果主義賃金制度への改定
1.事件の概要は?
本件は、H社の従業員であるOが、同社における給与規定の変更がいずれも不利益変更であり、かつ不利益変更について合理性のない無効なものであるとして、H社に対し、変更前の規定が現に効力を有することの確認を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<H社およびOについて>
★ H社は、化学工業薬品の製造、販売ならびに輸出入等を目的とする会社である。
★ Oは昭和50年3月、H社に入社し、大阪研究所で勤務していた者である。また、Oは51年1月に労働組合(以下、「組合」)の組合員となり、平成2年より執行委員長を務めていた。
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<新給与規定の導入等について>
★ H社では、従前就業規則に基づき、給与規定(昭和48年3月施行。以下「旧給与規定」という)が定められていた。旧給与規定によると、賃金のうち基準給と勤続給は年齢と勤続年数に応じて支給されており、H社も旧給与規定の賃金体系は年功部分80%、職能部分20%であると説明していた。
▼ 平成7年12月、H社は組合との団交で、従業員の能力、職種に合った、新たな賃金規定を研究していること、8年から実施することを表明した。
▼ 8年6月、H社は団交で組合に対し、従来の年功序列の制度運用を廃止し、「能力・成果に応じた賃金」を標榜する新賃金体系(以下、「新給与規定」という)を文書で提案した。
▼ 組合は同年7月、団交で抗議要求書を提出し、H社の提案は賃金破壊であり、公平な査定はあり得ないと指摘して、新給与規定の実施を凍結するように申し入れたが、同社は新給与規定を同年3月末日に遡って仮に実施した。
▼ 同年8月と9月の団交において、組合は新給与規定が労働者に不利益変更をもたらすものであり、極めて恣意的な運用になるおそれがあるとして反対した。
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