見出し画像

#31 「東久商事事件」大阪地裁

2004年3月24日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第31号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【東久商事(以下、T社)事件・大阪地裁判決】(1998年12月25日)

▽ <主な争点>
残業時間不明の場合の割増賃金、出張時のセクハラ行為など

1.事件の概要は?

本件は、T社の従業員であったAが同社に対し、時間外割増賃金の支払いを求めるとともに、T社のK代表が業務上Aを罵倒し、残業手当を支払わずに残業を強要し、また、出張の際にいわゆるセクハラ行為をしたなどとして、同社およびKに対して不法行為に基づく損害賠償を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Aについて>

★ Aは、平成6年1月、T社に雇用され、7年8月に退職するまで勤務していた者である。

--------------------------------------------------------------------------

<Aの勤務状況、出張の際の出来事等について>

★ Aはほぼ毎日18時以降も残業していたが、T社にはタイムカードその他従業員の出退勤時間を管理するものはなかった。また、海外出張中に業務が深夜や土日にまで及ぶことがあったが、出張手当等通常の給与以外の手当の支給は全くなかった。

▼ 6年11月、AとK代表が二人で福井市に出張した際、Kが温泉旅館に宿泊することを提案し、タクシーの運転手に案内させた。旅館に入り、部屋が一部屋しか用意されていなかったことに気づいたAはKに対し、「私の部屋も取って下さい」と抗議した。

ここから先は

1,806字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?