毒薬の素性
僅かに盛られた
毒薬
咀嚼の度に体内に流れて
目に見えぬ程度に
緩やかに
しかし
確実に
体を侵してゆく
きっと
甘い味がするのだろう
其れは
まるで熟れた白桃のような
毒と
気付かずば
魅惑の露よ
否
毒と気付くとも
もはや指は止まらず
自身の容れものを
毒で満たしてしまえば
其れは自身なり
何等懼るることなく
受容れるべし
もう遅すぎる
などと呟くより
強きことばを吐けるはず
甘い毒薬で包まれた
心中を吐露するとき
自身の思いが曝け出される
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