【全文無料】その前進守備、本当に必要?

皆さんこんにちは。今回も野球の話題です。
この記事は選手の方はもちろん、指導者の方にも読んでいただきたいです。タイトルにもあるとおり、前進守備の必要性について話していきます。

早速ですが皆さん。0アウトまたは1アウトで三塁にランナーがいる場面、内野手はどのようなシフトを敷きますか?おそらく、99.9%の方が前進守備と答えると思います。

そこで質問です。なぜですか?

なぜ前進守備を敷くのか、その大きな目的は三塁ランナーをホームに帰さないためです。おそらくほとんどの人が同じような理由を考えたと思います。しかし、「三塁ランナーをホームに帰さない」という目的を達成するためには本当に前進守備が最適解なのでしょうか。
結論から言うと、私は前進守備は必要ないと考えています。それでは、そのメリットとデメリットを考えていきましょう。

前進守備のメリット

1 ホームまでの距離が近く、送球にかかる時間を短縮することができる。
 おそらく、このメリットのために前進守備を敷くチームが多いのではないでしょうか。送球にかかる時間の短縮だけではなく、送球ミスを減らすことにもつながります。

2 打者との距離が近いため、より早く捕球することができる。        
 これも大きなメリットです。捕球が早ければ送球にも時間的な余裕ができ、三塁ランナーをけん制することができたり、送球ミスを減らしたりすることにつながります。

3    三塁ランナーがスタートを切りづらい
 これは非常に効果があります。内野手が前に来ているため、ボテボテのゴロでも一瞬スタートを躊躇うかも知れません。

ここまでをまとめると、送球のため、ランナーにスタートを切らせないためというのが大きなメリットですね。
それでは次に、デメリットを見ていきましょう。

前進守備のデメリット

1    ヒットゾーンが大きく広がる。
 内野手と打者との距離が近いため、本来追いつけたはずの打球に追いつけないことや、内野と外野の間に落ちるポテンヒットの確率が高まります。

2 バウンドを合わせづらくなる
 これも内野手と打者との距離が近いことによって生じるデメリットです。捕球までの時間に余裕が少ないため、前に出て捕るのか、後ろに下がって捕るのかという判断が難しくなります。また、判断できても動作が間に合わない可能性もあります。
更に、ホームに送球する場合、ステップしながら捕るという動作が非常に困難です。ノックのような打球であれば問題はありませんが、実践でそんな打球はまず飛んできませんよね?先述した通り、後ろに下がって捕る打球もありますが、バックホームの場合、後ろに下がって捕ると力のベクトルが逆を向いてしまうため、力のない送球になり、最悪の場合暴投になります。
後ろに下がって捕るような打球を「前に出て捕れ」と言うのは論外です(当たり前ですが)。打球を弾いて打者まで生かしてしまいますからね。

ここまでをまとめると、打球処理の難易度上昇、ヒットゾーンの大幅な拡大が大きなデメリットだということです。
これらを踏まえて、なぜ私が前進守備は必要ないと考えているのかを説明していきます。

前進守備が必要ない理由

1 送球に関しては、ある程度の肩があれば中間守備の距離で十分間に合うから。
 三塁ランナーが第二リードした時点で塁間の1/3程度の位置にいるとしましょう。ホームまではおよそ18mです。打球が転がったのを見て走り始めるのに0.2~0.4秒程度、18m走るのにだいたい3秒程度かかるでしょう。さらにはスライディングで勢いが落ちるため+0.1~0.3秒程度かかるとすると、おおよそ3.5秒前後の猶予があるわけです。中間守備の位置でも十分に間に合うと思います。
しかし、これは肩の弱い小学生や、塁間の距離が伸びたばかりで慣れていない中学一年生の場合は少し話が変わってくるでしょう。そういった場合は内野手の肩の強さに応じてシフトを敷くべきです。
あくまで目的は三塁ランナーをホームに帰さないことであり、そのための手段の一つが前進守備なのです。前進守備が最適解であるのなら、もちろん前進守備を敷くべきです。

2 一点を守りに行ったがために、取れるアウトが取れないことや取られずに済むはずだった二点目を献上してしまう。
 デメリット1,2でも話した通り、前進守備ではヒットゾーンが広くなり、さらには打球処理の難易度が上がります。
例えば三遊間にゴロが転がった場合、本来の守備位置であればショートゴロで一つアウトを取れたかもしれないものが、前進守備を敷いていたがためにレフト前に抜けてしまうかもしれません。また、内野と外野の間のポテンヒットが増えたり、軟式の場合、高いバウンドで頭の上を越されてしまうかもしてません。こういったことは、決して稀なことではないでしょう。これによって取れたはずのアウトが取れなくなってしまいます。また、二塁にもランナーがいた場合は余計な二点目まで取られてしまいます。
また、デメリット2でも話した通り、中間守備の位置であれば一歩前に出てステップをしながら捕球することができた打球を止まって取ったり、最悪の場合は後ろに下がって取ったりすることになりかねません。結果、ホームへの送球が力のない球になってしまいます。それではホームでランナーを刺すことは難しいですよね?
抑止力の観点からみてみると、その点ではやはり劣るでしょう。しかし、ホームでアウトを取れるのであればその方が良いですよね?ランナーが三塁に残るか、一塁に残るかでは天と地ほどの差があります。
なんにせよ、打者と内野手が近づくというのは皆さんが思っているより遥かにリスキーなのです。
分かりやすい例を挙げましょう。バッテリーを除くと、内野手は4人、外野手は3人です。球場によって差はありますが、外野は内野の4~5倍、ないしそれ以上の面積があります。しかし、外野手のほうが内野手より人数が少ないですよね?打者との距離があれば打球に追いつきやすい、つまり、打者との距離が近いと打球に追いつきづらいという何よりの証明です。

以上の理由から、私は前進守備は必要ないと考えます。
しかし、私も前進守備が必要であると思う場面もあります。
それは、同点で最終回の裏、三塁ランナーが足の速い選手である場合。です。足の速いランナーで、前進守備を敷いていないとホームへの送球が間に合わないという場合は前に出るべきです。
何度も言いますが、目的は三塁ランナーをホームに帰さないことです。

まとめると
1 前進守備のメリットは送球の距離短縮及び抑止力
2 前進守備のデメリットはヒットゾーンの拡大及び打球処理の難化
3 前進守備が必要ないと考える理由は①中間守備でも送球は間に合うことが多い。②取れるアウトが取れない、余計な二点目を献上してしまう場面がある。
4 それでも前進守備を敷くべき場面はある。
といった感じです。
この記事を読んでくださった皆さんは、その場面での最適な作戦を遂行し、取るべきアウトを取り、余計な点を取られない。そんな守備をしてほしいものです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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それではまたお会いしましょう!

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