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デザイン会社 LEFTE は、なぜテック企業に強いのか (代表インタビュー:前編)

こんにちは。LEFTE inc.の志水です。

LEFTEは「デザインの力で発明を革命へ」という想いで、デザインマネジメントおよびプロダクトデザインとコミュニケーションデザインを行うデザイン会社です。

今回は代表の田中さんにインタビューを実施し、LEFTE設立までの経歴を振り返りながら、LEFTEがテック企業と相性が良い理由 について伺いました。

後編はこちら

株式会社レフテ 代表取締役:田中 大敦
LEFTE inc. Director : Hironobu Tanaka


志水:
さっそく質問ですが、LEFTEはテック企業との取引が多い会社ですが、
何か理由があるんですか?

田中:
デザインという一見合理的な判断がしづらそうなものを、理系の方々にも納得してもらえるようなアプローチで取り組んでいることが、LEFTEを選んでいただける理由だと思います。

志水:
理系の方々が納得できるアプローチとはなんでしょう?

田中:
簡単にいうと、デザインに関わる事象をできるだけ論理的に言語化or構造化しながら進めるようにしています。

志水:
初めから、そのようなアプローチをしているのでしょうか?

田中:
はい。私の高校大学そして社会人時代の経験から、論理的アプローチを大事にしたいと考えるようになり、LEFTE創業当初からそのようにしています。



論理的(数学的?)アプローチ


志水:
高校時代からデザインに興味があったのですか?

田中:
デザインと言うよりも、工作や絵など考えたものが形になっていくことに楽しさを感じていました。

志水:
そこで論理的思考が身についたのでしょうか?

田中:
どちらかというと同じくらい数学が好きだったのが大きいです。
考えたものを形にするための筋道を考えることを数学の証明問題のように楽しんでいました。
ゴールを定義して、どうすれば自分のノウハウでゴールに辿り着けるか考えることにやり甲斐を感じていました。

志水:
ただ、大学は多摩美術大学ですよね。
ものづくりと数学が好きとなると工学部が向いてそうですがなぜでしょう?

田中:
もちろん工学部も考えましたが、人に見てもらったり使ってもらう状態にすることに興味があると気づき、美大のプロダクトデザインが向いてると判断しました。
また幸運にも多摩美術大学は、自分の年からセンター試験の理系科目を提出できるようになり、数学で満点とれたので無駄にはなりませんでした。

志水:
センター数学満点は凄いですね!

田中:
日常風景が幾何や関数の事象に見えるくらいには数学オタクでした笑
一見複雑そうなことも紐解いていくとシンプルで美しい構造が見えてくるのがたまらなく、大学の卒業研究でも数学的なテーマを選びました。

志水:
その論理的(数学的)なアプローチがLEFTEの事業にも活きているんですね。

田中:
そう思います。数学の証明のように「ゴール」つまりターゲットとなる状況や利用者を定義し、そのために必要な要素と順番を考えていく。そこは疎かにせず丁寧に取り組んでいます。

仕事でエンジニア側の方と話していてなんとなく理解し合えるのは、これらのルーツがあるからかもしれません。

田中の大学卒業研究:数式の造形化、立体トラス構造の応用(→click)




論理と感性のバランス


志水:
論理的なアプローチが田中さんとLEFTEの強みということで良いでしょうか?

田中:
論理的な視点と感性的な視点のバランスが良いことも強みだと思います。

志水:
感性的な視点について詳しく教えてもらえますか?

田中:
デザインのプロセスを「1気づき」「2整理」「3計画」「4表現」とすると分かりやすいと思います。

「こんなことあったら良いな」「これ変じゃない?」といった最初に想い描くこと(=1)や、「美しく見えるように」「楽しく感じるように」表現すること(=4)には、どちらかというと感性が大事になります。

一方、最初の想いを整理して課題や目的を明確にしていくこと(=2)や、具現化するために計画すること(=3)、これらには論理的思考が必要になります。

そして単なる一方通行ではなく、「整理・計画」の段階でも最初の「気づき」を見失ってはいけないですし、最終的な「表現」を見据えて考えなくてはいけない。そして「表現」の際にも論理的なアプローチが活きる時もある。つまり論理と感性、右脳と左脳のパラレル思考が大事ですね。

志水:
そのパラレル思考は大学時代に養ったのでしょうか?

田中:
大学時代から社会人時代にかけてですかね。

志水:
社会人時代というと、トヨタ自動車にいらした時ですね。

田中:
はい。入社から数年はレクサスデザイン部と北米拠点に在籍しており、そこで「3計画」と「4表現」はかなり鍛えられました。
車両開発では設計者と交渉することがあるので論理的な視点も当然大事ですが、レクサスは人の心に訴えかける感性価値もかなり重視しているブランドなので、高度な表現力が求めらました。
さらに北米拠点で担当したコンセプトカーは、それこそ見た目で感動させることがとても重要でした。

志水:
パラレル思考が求められる環境だったんですね。

田中:
はい、口で言うのは簡単ですが右脳と左脳を同時に使ったり切り替えることは結構難しく、当時の経験が今にも活きています。



開発経験を活かしたコミュニケーションデザイン


志水:
ここまではプロダクトデザイン寄りの話だったように思いますが、LEFTEではコミュニケーションデザインも請けていますよね。
コミュニケーションデザインにおける強みは何でしょうか?

田中:
コミュニケーションデザインにおいても論理と感性は大事です。
そして何より、LEFTEメンバーは製品開発の経験者がいることも強みだと思っています。私はデザイナーとして、そして志水も元はエンジニアとして製品開発や商品企画をしていましたよね。
テクノロジーに理解があることや魅力を感じていることはやはり大事です。

志水:
その経験によって、逆に偏ってしまうことは無いですか?

田中:
それは気をつけないといけないですね。
ただ現状としては、デザイナー側がテクノロジーや製品自体の価値や仕組みへの理解が浅く本来の魅力を正しく表現できていないと感じることがあります。技術そのものがとても魅力的なのに、関係のないグラフィックアピールになってしまったり、情報が整理されておらず煩雑になってしまったり。

志水:
なるほど。

田中:
クライアントの要望は必ずしも整理されていないことがあります。
理解が浅いと「要望を鵜呑みにして煩雑なデザインになってしまう」か逆に「自分の得意な表現を押し付けてしまい、なんかカッコいいけど本来伝えたい魅力が死んでいる」なんてことになりかねない。

志水:
たしかに、難しい要望はありますね。

田中:
これもまた簡単なことではありませんが、クライアントの魅力もターゲットの感じ方も両方理解して繋ぐことがデザイナーの役目です。

また、製品開発者には開発物によってどんな行為が生まれ又は無くなるのかという、人の行為をどうしたいのかという視点があります。
製品開発の経験そしてテクノロジーへの理解、それがLEFTEのコミュニケーションデザインの強みだと思います。

(参考1:インターステラテクノロジズ株式会社のコミュニケーションデザイン)

(参考2:プロダクト視点での名刺デザイン)

志水:
ありがとうございました。
今回はLEFTEがテック起業に強い理由についてお聞きしました。

次回は、スタートアップやベンチャー企業に強い理由を聞いていきたいと思います。
後編はこちら

左:田中  右:志水




LEFTE inc. 代表取締役:田中 大敦

多摩美術大学プロダクトデザイン専攻
→トヨタ自動車 株式会社
・レクサスデザイン部 & 北米LA拠点:自動車インテリアデザインを担当
・新規事業拠点:仮眠ポッド、スマートシティ、月面車などを担当
→株式会社 レフテ
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兼務(2023年時点)
 株式会社 BIOTA:Creative Director
 インターステラテクノロジズ 株式会社:Creative Advisor

インタビュアー:志水 亜衣

名古屋大学工学部
→自動車部品メーカー
・自動運転向けの商品企画を担当
・材料、工程開発を担当
→フリーランス
・インフォグラフィックデザイン
・技術系企業向けのライティング業務 など





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